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公開日 2022/09/13 20:01
世界600台限定IEM「Odyssey」詳細も
Astell&Kern「A&ultima SP3000」発表会レポート。10周年を飾るフラグシップDAPの注目ポイントとは
編集部:成藤 正宣
アユートは、本日発表したAstell&Kernの新フラグシップDAP「A&ultima SP3000」、およびAstell&Kernと米Empire EarsのコラボレーションIEM「Odyssey」の発表会を開催。同社オーディオ事業部 部長の齊藤智章氏が各製品の仕様や投入した新技術などの注目ポイントを解説した。
「A&ultima SP3000」(以下、SP3000)は、2019年に発売された「A&ultima SP2000」(以下、SP2000)の後継モデルであり、同時に今年で10周年を迎えるAstell&Kernの集大成としても位置づけられているというフラグシップDAPだ。
まずポイントとなるのが、旭化成エレクトロニクス製DACチップ「AK4499EX」を採用したこと。2022年8月から量産開始となったこの最新DACチップを、DAPとして世界で初めて、しかも合計4基も搭載している。
このAK4499EXは、アンバランス回路に2基、バランス回路に2基ずつ使われる。つまり本モデルは、アンバランス出力/バランス出力それぞれに独立したオーディオ回路を備えた「デュアルオーディオ回路」となっているのだ。
さらにSP3000には、デジタル信号処理専用のチップ「AK4191EQ」も2基搭載。オーディオ信号はまずAK4191EQでデジタル処理を行い、その後AK4499EXでアナログ変換することで、デジタルノイズがアナログ信号に与える悪影響を抑制している。デジタル処理/アナログ処理を完全分離した「HEXAオーディオ回路構造」と呼ばれるこの設計により、“圧倒的なSN比” を実現したのだという。
SoCはクアルコムのSnapdragon 6125、RAMは8GBを備え、操作性や処理速度を向上。一方で省電力性を高め、バッテリー容量もSP2000より大きな約5,000mAhを搭載することで、連続再生時間は “SP2000よりも若干短い程度” を確保しているそうだ。
筐体には、DAPとしては世界初という904Lステンレスを採用。現在一般的なステンレスよりも加工が難しいものの、剛性/耐食性はより高いという。デザインは “Wrapped in Light”(光に包まれる)をコンセプトになめらかな曲線がつけられ、ブラックモデルではつややかなPVDコーティングも施されている。
今回搭載したAK4499EXやアナログ/デジタル分離設計のメリットに関しては、ゲストとして招かれた旭化成エレクトロニクス マーケティング&セールスセンター ソリューション開発第一部のオーディオマイスター 佐藤友則氏が、より詳しく解説してくれた。
佐藤氏によれば、デジタルとアナログを分けることで音質を改善させるという発想自体は以前からあったものの、例えばアナログ部分だけをシールドする程度では大きな効果が見られなかったのだという。
そこでAK4499EXでは、AK4191EQとの組み合わせによってデジタル/アナログを物理的に分離。デジタルノイズがアナログ信号に与える悪影響が抑制され、音質が大きく向上したそうだ。
また佐藤氏はAK4499EXについて、SN比135dB、THD -124dBといった “世界最高クラスのアナログ特性” を実現し、微小な信号でもはっきりと忠実に再現できるともアピール。ほか、音の特徴について「電流出力型DACチップならではの比較的柔らかめで、力強い音が再現できていると思う」と述べていた。
「Odyssey」は、Astell&Kernと米IEMブランドEmpire Earsの初コラボレーションにより開発されたハイエンドIEM。生産数は世界600台、国内取り扱い数は40台予定の数量限定モデルとなる。
本モデルの基幹技術が、左右それぞれ4種類/計10基のドライバーユニットで構成する「Quadbridシステム」。高域に2基の静電ドライバー、中域にKnowles社製/Sonion社製あわせて5基のBAドライバー、低域に2基のダイナミックドライバー「W9」とサブウーファー、そして超低域や空間表現などを強める骨電動ドライバー「W10」を配置している。
これら多種多様なドライバーを「synXクロスオーバーネットワーク」や「EIVEC MKIIエンジン」といった技術でまとめあげ、「非常に優れた立体感を出し、通常のIEMでは味わえないサウンドを出すことに成功した」と斎藤氏は説明した。
またデザイン面でも、9つのポリマー層を3ステップで積層した「ENIGMAフェイスプレート」により、見る角度によって色味の変化が楽しめると話した。
■「A&ultima SP3000」&「Odyssey」ファーストインプレッション
発表会会場に用意された「SP3000」「Odyssey」を試聴して、印象深かったポイントをいくつかピックアップしてお伝えしたい。
SP3000で印象深かったのは、まず “静けさ”。これまでに登場したフラグシップクラスのDAPでも、演奏が終わり、すべての音が収まった直後の静けさ、つまり無音時のノイズの小ささには思わずハッとさせられることがあった。それはSP3000においても際立っていて、演奏の強弱もより細やかに伝わってくる。
また、音のキレや艶やかさにも感心させられる。Daft Punk「Get Lucky(featuring Pharrell Williams)」のハンドクラップなどを注意して聴くと特に分かりやすいが、立ち上がりの鋭さは、他のDAPではなかなかお目にかかれない。
もう一方のOdysseyでは、バスドラムからベースにかけてハッキリと耳に残る低音の存在感、上下左右に展開する適度な音の散らばり方が聴いていて心地よい。こちらも他に類似する音が思いつかない、独自の音を体験させてくれる製品だ。
■デジタル/アナログ、バランス/アンバランスを完全分離「SP3000」
「A&ultima SP3000」(以下、SP3000)は、2019年に発売された「A&ultima SP2000」(以下、SP2000)の後継モデルであり、同時に今年で10周年を迎えるAstell&Kernの集大成としても位置づけられているというフラグシップDAPだ。
まずポイントとなるのが、旭化成エレクトロニクス製DACチップ「AK4499EX」を採用したこと。2022年8月から量産開始となったこの最新DACチップを、DAPとして世界で初めて、しかも合計4基も搭載している。
このAK4499EXは、アンバランス回路に2基、バランス回路に2基ずつ使われる。つまり本モデルは、アンバランス出力/バランス出力それぞれに独立したオーディオ回路を備えた「デュアルオーディオ回路」となっているのだ。
さらにSP3000には、デジタル信号処理専用のチップ「AK4191EQ」も2基搭載。オーディオ信号はまずAK4191EQでデジタル処理を行い、その後AK4499EXでアナログ変換することで、デジタルノイズがアナログ信号に与える悪影響を抑制している。デジタル処理/アナログ処理を完全分離した「HEXAオーディオ回路構造」と呼ばれるこの設計により、“圧倒的なSN比” を実現したのだという。
SoCはクアルコムのSnapdragon 6125、RAMは8GBを備え、操作性や処理速度を向上。一方で省電力性を高め、バッテリー容量もSP2000より大きな約5,000mAhを搭載することで、連続再生時間は “SP2000よりも若干短い程度” を確保しているそうだ。
筐体には、DAPとしては世界初という904Lステンレスを採用。現在一般的なステンレスよりも加工が難しいものの、剛性/耐食性はより高いという。デザインは “Wrapped in Light”(光に包まれる)をコンセプトになめらかな曲線がつけられ、ブラックモデルではつややかなPVDコーティングも施されている。
今回搭載したAK4499EXやアナログ/デジタル分離設計のメリットに関しては、ゲストとして招かれた旭化成エレクトロニクス マーケティング&セールスセンター ソリューション開発第一部のオーディオマイスター 佐藤友則氏が、より詳しく解説してくれた。
佐藤氏によれば、デジタルとアナログを分けることで音質を改善させるという発想自体は以前からあったものの、例えばアナログ部分だけをシールドする程度では大きな効果が見られなかったのだという。
そこでAK4499EXでは、AK4191EQとの組み合わせによってデジタル/アナログを物理的に分離。デジタルノイズがアナログ信号に与える悪影響が抑制され、音質が大きく向上したそうだ。
また佐藤氏はAK4499EXについて、SN比135dB、THD -124dBといった “世界最高クラスのアナログ特性” を実現し、微小な信号でもはっきりと忠実に再現できるともアピール。ほか、音の特徴について「電流出力型DACチップならではの比較的柔らかめで、力強い音が再現できていると思う」と述べていた。
■4種類/10ドライバーのハイブリッドならぬ “クアッドブリッド” IEM「Odyssey」
「Odyssey」は、Astell&Kernと米IEMブランドEmpire Earsの初コラボレーションにより開発されたハイエンドIEM。生産数は世界600台、国内取り扱い数は40台予定の数量限定モデルとなる。
本モデルの基幹技術が、左右それぞれ4種類/計10基のドライバーユニットで構成する「Quadbridシステム」。高域に2基の静電ドライバー、中域にKnowles社製/Sonion社製あわせて5基のBAドライバー、低域に2基のダイナミックドライバー「W9」とサブウーファー、そして超低域や空間表現などを強める骨電動ドライバー「W10」を配置している。
これら多種多様なドライバーを「synXクロスオーバーネットワーク」や「EIVEC MKIIエンジン」といった技術でまとめあげ、「非常に優れた立体感を出し、通常のIEMでは味わえないサウンドを出すことに成功した」と斎藤氏は説明した。
またデザイン面でも、9つのポリマー層を3ステップで積層した「ENIGMAフェイスプレート」により、見る角度によって色味の変化が楽しめると話した。
■「A&ultima SP3000」&「Odyssey」ファーストインプレッション
発表会会場に用意された「SP3000」「Odyssey」を試聴して、印象深かったポイントをいくつかピックアップしてお伝えしたい。
SP3000で印象深かったのは、まず “静けさ”。これまでに登場したフラグシップクラスのDAPでも、演奏が終わり、すべての音が収まった直後の静けさ、つまり無音時のノイズの小ささには思わずハッとさせられることがあった。それはSP3000においても際立っていて、演奏の強弱もより細やかに伝わってくる。
また、音のキレや艶やかさにも感心させられる。Daft Punk「Get Lucky(featuring Pharrell Williams)」のハンドクラップなどを注意して聴くと特に分かりやすいが、立ち上がりの鋭さは、他のDAPではなかなかお目にかかれない。
もう一方のOdysseyでは、バスドラムからベースにかけてハッキリと耳に残る低音の存在感、上下左右に展開する適度な音の散らばり方が聴いていて心地よい。こちらも他に類似する音が思いつかない、独自の音を体験させてくれる製品だ。
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