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公開日 2022/11/17 19:09
オフィス向けプリンター全てをインクジェットに切り替えへ
エプソン、インクジェット複合機「LMシリーズ」3機種を発売。レーザープリンターは2026年までに販売終了
編集部:伴 修二郎
セイコーエプソンは、プリンターやコピー機の使用状況に合わせてプランや機器を選べる「スマートチャージ」の新製品発表会を本日11月17日に開催した。新製品としてA3カラーインクジェット複合機3モデルをお披露目。そして、2026年を目標に新規に販売するオフィス向けプリンター本体を全てインクジェット方式に切り替えていくことを発表した。
発表会冒頭、セイコーエプソン(株)代表取締役 専務執行役員 営業本部長の久保田 孝一氏が登壇し、同社が展開するインクジェット複合機の商品戦略についてプレゼンテーションが行われた。
1980年頃から長きにわたり環境問題に取り組み、2010年にオフィス・ホーム向け大容量インクタンクシステム搭載プリンターを販売、2014年には「スマートチャージ」の提供開始や紙のサイクルを変える技術「ドライファイバーテクノロジー」を搭載するなど、「環境配慮型の製品やサービスを多数投入してきた」と説明した。
昨年改定した「環境ビジョン2025」では、2030年までに1.5℃シナリオに沿った総排出量を削減、2050年までに「カーボンマイナス」と「地下資源 消費ゼロ」を達成する目標を掲げ、「持続可能でこころ豊かな社会を実現することを目指す」と力を込めた。
それらを達成するための4つの施策として、再生可能エネルギーの活用や設備の省エネ、グリーンサプライヤー活用などによる「脱炭素」、商品の小型化など資源を有効活用する「資源循環」、環境配慮型製品を提供することで促す「環境負荷低減」、そして、レーザーからインクジェットへの切り替えなどによる「環境技術開発」の取り組みに力を注ぐ。
レーザー方式とインクジェット方式との違いについて、レーザーは熱を必要とするため印刷のプロセスも複数工程となるのに対し、インクジェットでは熱を使わずにインクを吐出する同社「Heat-Free Technology」など、印刷工程や構造が非常にシンプルにできるとのこと。
「Heat-Free Technology」を採用する4つの価値についても語られ、低消費電力による「エネルギーとコスト削減」、省資源による「環境負荷低減」、安定した高速印刷による「業務の効率アップ」、そして、交換部品点数が少ないシンプル構造と低メンテナンスによる「生産性向上」をアピールした。
レーザープリンターを同社スマートチャージに変更することによる具体的な効果にも言及。低消費電力および省資源化によってCO2排出量は47%削減。これにより、日本国内が掲げる2030年に向けた温室効果ガスの削減目標にも大きく貢献できると訴えた。
そしてこの度、オフィス環境でのレーザープリンターからインクジェットプリンターへの移行をさらに加速するため、2026年を目標に、新規に販売するオフィスプリンター本体を全てインクジェット方式に切り替えることを発表。これに伴い、現行の同社レーザープリンターは2026年を目処に本体販売を終了する。なお、消耗品、保守部品に関しては引き続き供給を続けていくとしている。
最後に今後の取り組みとして、軽印刷・PODのさらなる高速化への挑戦を続けるとともに、オフィスのメイン市場となる中速度帯のラインナップ強化に努めていくとの指針が示された。
中速度帯のラインナップ強化のスタートとして、現行商品の高速A3複合機「LXシリーズ」、A4・A3複合機/プリンター「PXシリーズ」に加わるA3カラーインクジェット複合機「LMシリーズ」を発表した。
発表会会場では、LMシリーズ全3モデルの実機が初お披露目され、執行役員 プリンティングソリューションズ事業本部副事業本部長 Pオフィス・ホーム事業部長の山田陽一氏が新製品の特長を説明した。
LMシリーズは、印刷速度帯40〜60枚/分のA3カラー複合機。印刷スピード60枚/分の「LM-C6000」、50枚/分の「LM-C5000」、40枚/分の「LM-C4000」の全3モデルを展開し、24ipm〜100枚/分までの中速度帯ラインナップを大幅に拡充した。発売時期は2023年2月上旬を予定している。
本シリーズの特長として、機内のレイアウトを従来のものから一新することで本体の小型化を実現した。現行品のLXシリーズに対し、紙の搬送経路を本体の右側に変更し、ヘッド部を垂直方向下方ではなく斜め下方向に配置するなどして、本体サイズの最小化が図られた。
フットプリント(設置面積)も35%削減され、スペースを邪魔せず、これまでおけなかった場所にも設置できる。既存の複合機とも現状のレイアウトから変更を強いらることなく置き換えられる。
環境負荷の低減効果では、レーザープリンター(40ppm機TEC基準値)からLMシリーズに切り替えることで、年間CO2排出量を62〜66%削減するとのデータを公開した。インク容量は、大容量インクタンクシステムでも採用するシンプル構造としたことで、ISO基準でBK(ブラック)が50,000枚、CL(カラー)が30,000枚と、コンパクトながら大容量を実現した。
パネル表示においても、ユーザーが印刷で使用した消費電力を確認できる消費電力表示や両面印刷など環境に配慮した設定項目へのリーフマーク表示で環境活動への取り組み改善を促している。
ストレスフリーな使い勝手にも配慮し、インクジェット方式によるシンプル構造により、メンテナンスの手間と時間を削減。修理削減も図られており、プリントヘッドなどの主要部品の交換時間は約50%向上した。
印字プロセスに熱を使用しないことで、電源オンからファーストプリントまでが24.6秒、スリーブ状態からのファーストプリントまでが9.5秒と立ち上がり時間も短い。
良好な印刷状態を保つため「インク循環システム」を採用。インク内の気泡を排出して循環させることや、インクキャップに保湿液を供給してプリントヘッドを保湿することで、印刷に最適な状態を維持するという。インクにはビジネス仕様に最適とする水性顔料インクを採用。フィニッシャーなどオプション品についても紹介された。
最後に山田氏は「この新製品を含むビジネスインクジェットの製品ラインナップによって、オフィス印刷におけるインクジェットプリンターへのテクノロジーシフトを進め、環境負荷低減、そして印刷の利便性向上に貢献していきたい」と訴えた。
発表会後半では、エプソン販売(株)代表取締役社長の鈴村文徳氏が登壇し、今後の販売戦略について説明した。
「今から8年前の2014年にサービスを開始したスマートチャージは、着実にラインナップを増やしてきたことで販売成果としてしっかり繋げられている。当初はプリンターモデルを中心とした高速帯をメインに、ニッチ寄りの商品から展開してきたが、商品作りや販売体制を整えられた今のタイミングに、メイン市場であるボリュームゾーンに参入する。成長を確実なものにしていきたい」と意気込みを示した。
LMシリーズの販売プランとして、月々の基本使用料に要望の多いオプションを標準搭載する「オール・イン・ワンプラン」と機器本体を購入して使った枚数分だけ課金する「カウンター・チャージプラン」の2種を想定しているとのこと。
“独自のインクジェット技術により、新たなお客様価値を創出する”理念を徹底することで、「学校現場での導入」および「オフィスの環境負荷低減」で好評を博しているという。
さらに、オフィスのセンターマシンという競争の激しいマーケットを勝ち抜くための強みとして、インクジェットへの切り替えが、「誰でも、カンタン、すぐにでも実行できる脱炭素施策」である点を強調。再生可能エネルギーへの対応やハイブリッド車の導入といった他の環境対応施策よりも、より手軽に行えることをアピールした。
オフィスの出力環境やプリンターにおけるCO2排出量の「見える化」提案も推し進めている。台数構成を含めた最適配置を提案し、「削減量の価値を可視化し、インクジェットの重要性を加速させたい」とお客様により強く理解してもらうための取り組みにも力を入れる。
最後にパートナー企業との協業について説明。脱炭素を相談するパートナー企業と連携し、脱炭素支援の打ち手としてインクジェットプリンターの環境価値を届けていく。その一環として、先日11月10日にキャプラン(株)と協業を発表した。
キャプランが提供する「CO2排出量可視化BPOサービス」で明らかになったCO2排出量のうち、オフィスにおける印刷業務での排出量に着目。エプソンの「出力環境アセスメントサービス」を組み合わせることで、印刷業務に関わる排出量を詳細まで明らかにするというもの。
これにより、低消費電力のインクジェット方式への切り替えによる排出量削減のシミュレーション結果とともに、最適な印刷環境の提案を行う。先方が即効性をもって簡単に取り組める実行策としてCO2削減を支援していく。
■2026年にはレーザープリンターを販売終了。オフィス環境での移行加速が狙い
発表会冒頭、セイコーエプソン(株)代表取締役 専務執行役員 営業本部長の久保田 孝一氏が登壇し、同社が展開するインクジェット複合機の商品戦略についてプレゼンテーションが行われた。
1980年頃から長きにわたり環境問題に取り組み、2010年にオフィス・ホーム向け大容量インクタンクシステム搭載プリンターを販売、2014年には「スマートチャージ」の提供開始や紙のサイクルを変える技術「ドライファイバーテクノロジー」を搭載するなど、「環境配慮型の製品やサービスを多数投入してきた」と説明した。
昨年改定した「環境ビジョン2025」では、2030年までに1.5℃シナリオに沿った総排出量を削減、2050年までに「カーボンマイナス」と「地下資源 消費ゼロ」を達成する目標を掲げ、「持続可能でこころ豊かな社会を実現することを目指す」と力を込めた。
それらを達成するための4つの施策として、再生可能エネルギーの活用や設備の省エネ、グリーンサプライヤー活用などによる「脱炭素」、商品の小型化など資源を有効活用する「資源循環」、環境配慮型製品を提供することで促す「環境負荷低減」、そして、レーザーからインクジェットへの切り替えなどによる「環境技術開発」の取り組みに力を注ぐ。
レーザー方式とインクジェット方式との違いについて、レーザーは熱を必要とするため印刷のプロセスも複数工程となるのに対し、インクジェットでは熱を使わずにインクを吐出する同社「Heat-Free Technology」など、印刷工程や構造が非常にシンプルにできるとのこと。
「Heat-Free Technology」を採用する4つの価値についても語られ、低消費電力による「エネルギーとコスト削減」、省資源による「環境負荷低減」、安定した高速印刷による「業務の効率アップ」、そして、交換部品点数が少ないシンプル構造と低メンテナンスによる「生産性向上」をアピールした。
レーザープリンターを同社スマートチャージに変更することによる具体的な効果にも言及。低消費電力および省資源化によってCO2排出量は47%削減。これにより、日本国内が掲げる2030年に向けた温室効果ガスの削減目標にも大きく貢献できると訴えた。
そしてこの度、オフィス環境でのレーザープリンターからインクジェットプリンターへの移行をさらに加速するため、2026年を目標に、新規に販売するオフィスプリンター本体を全てインクジェット方式に切り替えることを発表。これに伴い、現行の同社レーザープリンターは2026年を目処に本体販売を終了する。なお、消耗品、保守部品に関しては引き続き供給を続けていくとしている。
最後に今後の取り組みとして、軽印刷・PODのさらなる高速化への挑戦を続けるとともに、オフィスのメイン市場となる中速度帯のラインナップ強化に努めていくとの指針が示された。
■新製品「LMシリーズ」3機種を発表!ラインナップ拡充で脱炭素社会を実現
中速度帯のラインナップ強化のスタートとして、現行商品の高速A3複合機「LXシリーズ」、A4・A3複合機/プリンター「PXシリーズ」に加わるA3カラーインクジェット複合機「LMシリーズ」を発表した。
発表会会場では、LMシリーズ全3モデルの実機が初お披露目され、執行役員 プリンティングソリューションズ事業本部副事業本部長 Pオフィス・ホーム事業部長の山田陽一氏が新製品の特長を説明した。
LMシリーズは、印刷速度帯40〜60枚/分のA3カラー複合機。印刷スピード60枚/分の「LM-C6000」、50枚/分の「LM-C5000」、40枚/分の「LM-C4000」の全3モデルを展開し、24ipm〜100枚/分までの中速度帯ラインナップを大幅に拡充した。発売時期は2023年2月上旬を予定している。
本シリーズの特長として、機内のレイアウトを従来のものから一新することで本体の小型化を実現した。現行品のLXシリーズに対し、紙の搬送経路を本体の右側に変更し、ヘッド部を垂直方向下方ではなく斜め下方向に配置するなどして、本体サイズの最小化が図られた。
フットプリント(設置面積)も35%削減され、スペースを邪魔せず、これまでおけなかった場所にも設置できる。既存の複合機とも現状のレイアウトから変更を強いらることなく置き換えられる。
環境負荷の低減効果では、レーザープリンター(40ppm機TEC基準値)からLMシリーズに切り替えることで、年間CO2排出量を62〜66%削減するとのデータを公開した。インク容量は、大容量インクタンクシステムでも採用するシンプル構造としたことで、ISO基準でBK(ブラック)が50,000枚、CL(カラー)が30,000枚と、コンパクトながら大容量を実現した。
パネル表示においても、ユーザーが印刷で使用した消費電力を確認できる消費電力表示や両面印刷など環境に配慮した設定項目へのリーフマーク表示で環境活動への取り組み改善を促している。
ストレスフリーな使い勝手にも配慮し、インクジェット方式によるシンプル構造により、メンテナンスの手間と時間を削減。修理削減も図られており、プリントヘッドなどの主要部品の交換時間は約50%向上した。
印字プロセスに熱を使用しないことで、電源オンからファーストプリントまでが24.6秒、スリーブ状態からのファーストプリントまでが9.5秒と立ち上がり時間も短い。
良好な印刷状態を保つため「インク循環システム」を採用。インク内の気泡を排出して循環させることや、インクキャップに保湿液を供給してプリントヘッドを保湿することで、印刷に最適な状態を維持するという。インクにはビジネス仕様に最適とする水性顔料インクを採用。フィニッシャーなどオプション品についても紹介された。
最後に山田氏は「この新製品を含むビジネスインクジェットの製品ラインナップによって、オフィス印刷におけるインクジェットプリンターへのテクノロジーシフトを進め、環境負荷低減、そして印刷の利便性向上に貢献していきたい」と訴えた。
■インクジェットへ切り替える強みを改めてアピールする
発表会後半では、エプソン販売(株)代表取締役社長の鈴村文徳氏が登壇し、今後の販売戦略について説明した。
「今から8年前の2014年にサービスを開始したスマートチャージは、着実にラインナップを増やしてきたことで販売成果としてしっかり繋げられている。当初はプリンターモデルを中心とした高速帯をメインに、ニッチ寄りの商品から展開してきたが、商品作りや販売体制を整えられた今のタイミングに、メイン市場であるボリュームゾーンに参入する。成長を確実なものにしていきたい」と意気込みを示した。
LMシリーズの販売プランとして、月々の基本使用料に要望の多いオプションを標準搭載する「オール・イン・ワンプラン」と機器本体を購入して使った枚数分だけ課金する「カウンター・チャージプラン」の2種を想定しているとのこと。
“独自のインクジェット技術により、新たなお客様価値を創出する”理念を徹底することで、「学校現場での導入」および「オフィスの環境負荷低減」で好評を博しているという。
さらに、オフィスのセンターマシンという競争の激しいマーケットを勝ち抜くための強みとして、インクジェットへの切り替えが、「誰でも、カンタン、すぐにでも実行できる脱炭素施策」である点を強調。再生可能エネルギーへの対応やハイブリッド車の導入といった他の環境対応施策よりも、より手軽に行えることをアピールした。
オフィスの出力環境やプリンターにおけるCO2排出量の「見える化」提案も推し進めている。台数構成を含めた最適配置を提案し、「削減量の価値を可視化し、インクジェットの重要性を加速させたい」とお客様により強く理解してもらうための取り組みにも力を入れる。
最後にパートナー企業との協業について説明。脱炭素を相談するパートナー企業と連携し、脱炭素支援の打ち手としてインクジェットプリンターの環境価値を届けていく。その一環として、先日11月10日にキャプラン(株)と協業を発表した。
キャプランが提供する「CO2排出量可視化BPOサービス」で明らかになったCO2排出量のうち、オフィスにおける印刷業務での排出量に着目。エプソンの「出力環境アセスメントサービス」を組み合わせることで、印刷業務に関わる排出量を詳細まで明らかにするというもの。
これにより、低消費電力のインクジェット方式への切り替えによる排出量削減のシミュレーション結果とともに、最適な印刷環境の提案を行う。先方が即効性をもって簡単に取り組める実行策としてCO2削減を支援していく。
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