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公開日 2022/12/16 20:34
ライセンス制度で品質を保証
今年で策定から20年。アップデートを続けるHDMIの最新動向をチェック
編集部:成藤 正宣
今ではすっかりおなじみとなったHDMI規格が世に出てから、今年で20年を迎える。この節目に、HDMI技術のライセンス管理やマーケティングなどを行っているHDMI Licensing Administrator(HDMI LA)から、ロブ・トバイアスCEOが来日。HDMI技術や関連する市場の現況、今後の展望について語った。
HDMI規格の最初のバージョン「HDMI 1.0」が発表されたのは2002年12月9日のこと。策定に携わったのは、ソニーやパナソニック、フィリップスなど7社から成る「HDMI Founders」で、彼らの手でアップデートも重ねられた。「HDMI 1.4b」では最大10.2Gbps/4K 30Hzまでの映像伝送が可能となった。
2011年には、より多くの企業が参加する新たな業界団体「HDMI Forum」が設立。次世代HDMI規格の開発が進められ、2013年に「HDMI 2.0」として発表された。さらに2017年には、最大48Gbps/4K 120Hzおよび8K 60Hz伝送まで対応した「HDMI 2.1」が、そして今年2022年には、HDMI 2.1にいくつかの機能を追加した「HDMI 2.1a」が発表され、現在にいたっている。
HDMI Foundersによって策定されたHDMI 1.x系と、HDMI Forumによって策定されたHDMI 2.x系。その両方のライセンス管理やマーケティングを担っている組織が、トバイアス氏が率いるHDMI LAとなる。
元々テレビやSTB(セットトップボックス)、DVDプレーヤーなどのAV機器を接続するために生まれたHDMI規格だが、今ではカメラやパソコン、ゲーム機、自動車の車載設備といった異なるカテゴリーの製品にも採用されるまで普及が進んでいる。トバイアス氏は、「2002年当時にHDMIの策定に携わったメンバーも、まさかドローンのデジタルインターフェースとしてHDMIが使われることになるとは想像もできなかったでしょう」と振り返った。
上述した通り、HDMI規格の現行バージョンは今年発表された「HDMI 2.1a」となる。主な機能はHDMI 2.1から引き継いでおり、最大48Gbps/4K 120Hzおよび8K 60Hzの映像伝送をサポート。他にも、ダイナミックHDRやeARC(エンハンスドオーディオリターンチャンネル)、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低レイテンシーモード)といった機能が盛り込まれ、より高画質な映像コンテンツからゲームまで広く最適化が図られている。
HDMI 2.1aでは、「SBTM(ソースベーストーンマッピング)」と「ケーブルパワー」が新たに加わった。SBTMは、ディスプレイ側の性能に応じて映像を自動的に最適化する機能。ケーブルパワーは、信号を増幅するイコライザー回路を内蔵したアクティブタイプのHDMIケーブルに、外部電源端子ではなくHDMI端子から電力供給ができる機能だ。
どちらの新機能も、使うためには機器やケーブルが対応していなければならないが、SBTMに関しては2023年に対応するSTBとディスプレイがいよいよ発売されるという。
トバイアス氏は、現在量販店に並んでいるような最新モデルのテレビであれば、HDMI 2.1までの主要な機能をほぼ網羅して出荷されているとアピール。また、HDMI 2.1の機能をサポートした「Ultra High-Speed HDMIケーブル」も世界中で普及が進んでいると語った。
HDMI 2.1の普及に大きく貢献した要因のひとつは、やはり大画面のテレビへのニーズだという。HDMIの新機能はまず大画面テレビで採用され、その後小型モデルなどに広まっていくそうだが、それが世界的な大画面モデルの流行とうまく合致したということのようだ。
しかし、その大画面テレビには消費電力という課題が立ちはだかっている。現在、環境への負荷やエネルギーの安定供給といった観点から、世界的に電力消費の削減が求められる傾向にあるが、特にEUでは2023年3月から厳しい消費電力規制が施行される予定となっている。大型の4Kテレビや8Kテレビはこの規制をクリアできず、このままではEUでの販売ができなくなる恐れがある。
一部のテレビメーカーは、画面を暗くするなどして低電力化を図る “EUモード” の搭載を検討しているそうだが、いずれにせよ大画面テレビが引き続きHDMIの普及を後押しできるかは不透明だ。
またトバイアス氏は、HDMI LAの役割であるライセンス事業についても改めて説明。試験と認証を経てライセンスを受けたHDMI製品は品質が保証されるだけでなく、販売の立場においても重要だと語る。
トバイアス氏によれば、2018年の米中間貿易摩擦やコロナ禍によるロックダウンでサプライチェーンが混乱した際、偽造品が増加。偽造品は税関で発見されると差し押さえられてしまうため、仕入れたはずの製品が小売業者のもとに届かないという問題が実際に発生したという。
こうしたトラブルを防ぐためにも、ライセンス品だけを取り引きするよう徹底することが、購入するユーザーだけでなく販売側からも重要だとトバイアス氏は強調。HDMI LAとしてもHDMIブランドの信頼性を守るため、各国と協力してライセンスの無いHDMI製品の排除やライセンスに関する研修といった取り組みを進めており、2023年にはHDMIライセンスの有無をオンラインで検証できる新制度を発表するという。
今後HDMI LAでは、2023年1月にラスベガスで開催される「CES 2023」をはじめ、長らくコロナ禍で中断していたトレードショーへの出展や開発者会議、講習会といったリアルイベントも再開。また上述した通り、HDMI 2.1aのSBTM機能に対応した製品も2023年に登場するほか、HDMI規格のマイナーアップデートも計画されているとのことだ。
■策定から20周年、市場に深く浸透したHDMI
HDMI規格の最初のバージョン「HDMI 1.0」が発表されたのは2002年12月9日のこと。策定に携わったのは、ソニーやパナソニック、フィリップスなど7社から成る「HDMI Founders」で、彼らの手でアップデートも重ねられた。「HDMI 1.4b」では最大10.2Gbps/4K 30Hzまでの映像伝送が可能となった。
2011年には、より多くの企業が参加する新たな業界団体「HDMI Forum」が設立。次世代HDMI規格の開発が進められ、2013年に「HDMI 2.0」として発表された。さらに2017年には、最大48Gbps/4K 120Hzおよび8K 60Hz伝送まで対応した「HDMI 2.1」が、そして今年2022年には、HDMI 2.1にいくつかの機能を追加した「HDMI 2.1a」が発表され、現在にいたっている。
HDMI Foundersによって策定されたHDMI 1.x系と、HDMI Forumによって策定されたHDMI 2.x系。その両方のライセンス管理やマーケティングを担っている組織が、トバイアス氏が率いるHDMI LAとなる。
元々テレビやSTB(セットトップボックス)、DVDプレーヤーなどのAV機器を接続するために生まれたHDMI規格だが、今ではカメラやパソコン、ゲーム機、自動車の車載設備といった異なるカテゴリーの製品にも採用されるまで普及が進んでいる。トバイアス氏は、「2002年当時にHDMIの策定に携わったメンバーも、まさかドローンのデジタルインターフェースとしてHDMIが使われることになるとは想像もできなかったでしょう」と振り返った。
■大画面テレビの需要がHDMI普及の追い風。課題は消費電力
上述した通り、HDMI規格の現行バージョンは今年発表された「HDMI 2.1a」となる。主な機能はHDMI 2.1から引き継いでおり、最大48Gbps/4K 120Hzおよび8K 60Hzの映像伝送をサポート。他にも、ダイナミックHDRやeARC(エンハンスドオーディオリターンチャンネル)、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動低レイテンシーモード)といった機能が盛り込まれ、より高画質な映像コンテンツからゲームまで広く最適化が図られている。
HDMI 2.1aでは、「SBTM(ソースベーストーンマッピング)」と「ケーブルパワー」が新たに加わった。SBTMは、ディスプレイ側の性能に応じて映像を自動的に最適化する機能。ケーブルパワーは、信号を増幅するイコライザー回路を内蔵したアクティブタイプのHDMIケーブルに、外部電源端子ではなくHDMI端子から電力供給ができる機能だ。
どちらの新機能も、使うためには機器やケーブルが対応していなければならないが、SBTMに関しては2023年に対応するSTBとディスプレイがいよいよ発売されるという。
トバイアス氏は、現在量販店に並んでいるような最新モデルのテレビであれば、HDMI 2.1までの主要な機能をほぼ網羅して出荷されているとアピール。また、HDMI 2.1の機能をサポートした「Ultra High-Speed HDMIケーブル」も世界中で普及が進んでいると語った。
HDMI 2.1の普及に大きく貢献した要因のひとつは、やはり大画面のテレビへのニーズだという。HDMIの新機能はまず大画面テレビで採用され、その後小型モデルなどに広まっていくそうだが、それが世界的な大画面モデルの流行とうまく合致したということのようだ。
しかし、その大画面テレビには消費電力という課題が立ちはだかっている。現在、環境への負荷やエネルギーの安定供給といった観点から、世界的に電力消費の削減が求められる傾向にあるが、特にEUでは2023年3月から厳しい消費電力規制が施行される予定となっている。大型の4Kテレビや8Kテレビはこの規制をクリアできず、このままではEUでの販売ができなくなる恐れがある。
一部のテレビメーカーは、画面を暗くするなどして低電力化を図る “EUモード” の搭載を検討しているそうだが、いずれにせよ大画面テレビが引き続きHDMIの普及を後押しできるかは不透明だ。
■改めて強調されるHDMIライセンスの重要性
またトバイアス氏は、HDMI LAの役割であるライセンス事業についても改めて説明。試験と認証を経てライセンスを受けたHDMI製品は品質が保証されるだけでなく、販売の立場においても重要だと語る。
トバイアス氏によれば、2018年の米中間貿易摩擦やコロナ禍によるロックダウンでサプライチェーンが混乱した際、偽造品が増加。偽造品は税関で発見されると差し押さえられてしまうため、仕入れたはずの製品が小売業者のもとに届かないという問題が実際に発生したという。
こうしたトラブルを防ぐためにも、ライセンス品だけを取り引きするよう徹底することが、購入するユーザーだけでなく販売側からも重要だとトバイアス氏は強調。HDMI LAとしてもHDMIブランドの信頼性を守るため、各国と協力してライセンスの無いHDMI製品の排除やライセンスに関する研修といった取り組みを進めており、2023年にはHDMIライセンスの有無をオンラインで検証できる新制度を発表するという。
今後HDMI LAでは、2023年1月にラスベガスで開催される「CES 2023」をはじめ、長らくコロナ禍で中断していたトレードショーへの出展や開発者会議、講習会といったリアルイベントも再開。また上述した通り、HDMI 2.1aのSBTM機能に対応した製品も2023年に登場するほか、HDMI規格のマイナーアップデートも計画されているとのことだ。
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