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公開日 2023/10/16 20:44
明日から一般公開が開始

<CEATEC>シャープ、「Click Display」「ネイチャープロダクト」を参考出展/京セラ、聴覚や触覚が加わった「空中ディスプレイ」

編集部 : 伴 修二郎
エレクトロニクス/IoT関連の見本市「CEATEC 2023」が、明日10月17日(火)- 20日(金)に幕張メッセで開催される。本稿では、HALL8にブースを構えるシャープ、京セラの展示をレポートする。

■シャープ/ヒトと社会と地球のためのSHARPソリューション



シャープのブースでは「Next-generation global environment」をテーマに、「創・蓄・省で実現するSHARPのカーボンニュートラル」「SHARPのサスティナビリティ」「DIGITAL HEALTHCARE」「独自技術(ネイチャーテクノロジー)」の4つのゾーンを設け、「ヒトと社会と地球のためのSHARPソリューション」を提案している。

シャープブースの様子

「創・蓄・省で実現するSHARPのカーボンニュートラル」ゾーンでは、独自の透明フレキシブルセンサーシートによって“触れる”と“押す”を判別し、タッチ操作に加えて物理ボタンの操作性をディスプレイ上で実現した「Click Display(クリック ディスプレイ)」を参考出展している。

「Click Display(クリック ディスプレイ)」

通常のタッチ性能は確保しながら、高感度圧力センサを搭載することで押し込みも検知。表面凹凸+触感によってディプレイ上でブラインド入力も可能になる。押し込み荷重は25g、マルチタッチにも対応する。担当者によればタッチディスプレイと比較して誤操作も防ぎ、「誰にでも使いやすい、操作性に優れたユニバーサルUI」とアピールしている。

表面凹凸で物理ボタンの特性も備える

消費電力0Wで表示保持が可能な電子ペーパーディスプレイとして展示されたのは「ePoster」。低消費電力に加え、外光の反射で表示することで明るい環境下でも高い視認性を保てる。バックライトがないため薄型・軽量化を実現でき、様々な設置環境に対応する点も特長だ。最近追加されたカラーモデルも確認できた。

電子ペーパーディスプレイ「ePoster」

さまざまなサイズのカラーモデルが展示

屋外でも視認性が高い、低消費電力で世界最大を謳う90型反射型LCDサイネージの実機や「CEATEC AWARD 2022」で経済産業大臣賞を受賞した屋内光発電デバイス「LC-LH」を搭載した試作機の参考出展も行っている。

90型反射型LCDサイネージを実機展示

屋内光発電デバイス「LC-LH」

「SHARPのサスティナビリティ」ゾーンでは、本体筐体に再生プラスチックを使用するスマートフォン「AQUOS wish3」を展示。第3世代となり、再生プラスチック材の使用率が約60%に向上。より環境に配慮した製品になった。

「AQUOS wish3」と再生プラスチックの実物

カメラ飾り/内部ホルダーにも35%再生プラスチックを使用

「トナーカートリッジのリユース」「全社の環境配慮商品・部品の紹介(3R実例紹介)」など、全社で取り組む環境配慮商品の開発や事業活動についても紹介する。

そのほか、本年春に実施したAIoT家電による防災情報伝達の実証実験結果、NHK技研と検討中の新しい放送技術を活用した災害情報受信方法の内容といった防災情報活用ソリューション、静岡県浜松市と共同で実施する「生理用ナプキンIoTディスペンサー」と「在庫管理システム」を活用した生理用品無料配布の実証実験取り組みなどを参考出展している。

「DIGITAL HEALTHCARE」ゾーンでは、人々の健康な暮らしを守るDIGITAL HEALTHCARE関連の各種ソリューションを提案する。そのひとつとして、独自開発の適温蓄冷材や熱中対策ウォッチ「カナリア」を活用した暑熱対策を紹介。今夏、実際に学校や建設現場で行った暑熱対策に関する検証内容や結果も披露している。

独自開発の適温蓄冷材は、手のひらで冷却するのに最適な10℃をキープする蓄冷剤。握っても痛くない快適な温度を一定時間キープすることが可能で、手のひら冷却により深部体温を効果的に下げることができる。学校の部活動などでの現場検証では、練習前に約20分ほど蓄冷剤を手のひらで握っておくことで、作業・運動中でも深部体温が上昇しにくいことが分かったという。

最適な10℃をキープする蓄冷剤

BiodataBank(株)製の熱中対策ウォッチ「カナリア」は、腕に巻いて装着することで熱中症リスクの上昇を検知し、深部体温の上昇を音と光で通知するというデバイス。熱中症が発症する手前で危険を感知し、塩分や水分を補給する熱中症対策が行える。

熱中対策ウォッチ「カナリア」

そのほかにも、専用機器にて転倒リスクを約1分間で判定し。計測体験および結果に応じた改善プログラムを紹介する「転倒予防ソリューション」を初出展。ユーザーの睡眠状態に合わせた家電による最適な空間制御や入眠・起床時に自動で切り替わる香りによって心地よい睡眠空間を演出する「睡眠環境ソリューション」も参考出展している。

「転倒予防ソリューション」の展示様子

ブース中心に大きく構える「独自技術(ネイチャーテクノロジー)」ゾーンでは、生物の“構造”から着想を得て商品の性能改善を行う独自の生物形態模倣技術「ネイチャーテクノロジー」の15年にわたる取り組みを紹介。技術領域の拡大を目指し、新たに生物の“動き”にも着目した初の運動模倣技術を採用する商品「ネイチャープロダクト」を参考出展する。

「ネイチャープロダクト」のひとつとして、フクロウの羽ばたきを手本に心地よい「自然の風」を再現するヒーリングファン「はねやすめ」を初出展する。

ヒーリングファン「はねやすめ」

モスアイ(蛾の目)の形状を応用したフェイスシールド、鳥の翼の平面形を応用したエアコンの室外機プロペラファン、アマツバメの翼形状を応用したドライヤーファン、イルカの尾びれと表皮しわを応用したタテ型洗濯乾燥機「パルセータ」などが展示されている。

室外機プロペラファン

タテ型洗濯乾燥機「パルセータ」

なお、同社ブースでは昨年に引き続き、カーボンニュートラルへの貢献とサスティナビリティに配慮した取り組みを実施。使用する木材や素材の削減に加え、リユース・リサイクル素材を中心にして、「展示会終了後の廃棄物の最小化を目指した」としている。

■京セラ/超スマート社会「Society 5.0」の実現に向けて



京セラのブースでは、「“we connect new stories”わたしたちは、未来を紡ぐ。物語を紡ぐ。」をコンセプトに、超スマート社会「Society 5.0」の実現に向けたさまざまなソリューションや製品、テクノロジーを披露。主に「生活をより豊かにする技術」「次世代インフラを支える技術」の2項目に関する展示を多数行っている。

京セラブースの様子

「生活をより豊かにする技術」では、非接触で衛生的な映像操作が可能な「高精細 空中ディスプレイ」をデモ展示。独自の光学設計により光学系の小型化と歪みによる画質劣化を抑制し、高画質を維持したまま映像の飛び出し距離を長くすることができる。ディスプレイ(光源)と同等の高画質映像を空中像として再現する。

「高精細 空中ディスプレイ」デモ機

空中像の真ん中部分に手をやると熱気が体感できた

さらに、各種センサを組み合わせることで、空中像に聴覚や触覚の刺激を加え、よりインタラクティブな非接触操作が可能になる。デモ機では実際に焚き火が燃えている空中像の真ん中部分に手をやると、パチパチという音や暖かい空気が感じられ、より没入感のある体験ができる。

人間拡張技術「歩行センシング&3Dデモシステム」は、独自開発のセンシング技術を用いたウェアラブルセンサとAIによる歩行印象判定のマップを、3Dアニメーションと組み合わせることで歩行を可視化。自分の歩き方を知り、美しく正しい歩き方を目指すことができる。ウォーキング教室、リハビリ、スポーツジムへの展開で、健康維持・増進・回復のサポートを促せるとアピールする。

本展示ではタブレット上で確認可能

歩行アニメーション例のイメージ

ウェアラブルセンサを、頭にはイヤホンカチューシャ型、腕にはブレスレット型、足首にはアクレット型と全3箇所に装着。スマホを用いて高精度な歩行計測や全身の姿勢を推定することができる。計測結果は歩行解析AIを用いて3Dアニメーションで可視化し、歩き方の印象を6分類から提示する。リアルタイムの音声コーチングもサポートする。

ウェアラブルセンサも展示

微細な振動を非接触で検知し、ヘルスケアや見守りなどへ活用が期待される「ミリ波センシングシステム」では、独自の高周波材料と高精度基板製造技術、高度な信号処理技術により、非接触で心拍や呼吸などの生体振動や物体の微細振動を高精度に検知することが可能だ。実際にミリ波センシングシステムを体感できる体験デモも用意されている。

体験デモの様子

ARグラス・ディスプレイなど幅広い微小光源の活用分野へ展開可能な「micro-LED/micro-レーザー用独自基板と新工法」、「車道を走る 無人自動走行ロボット」の移動販売ソリューションなども紹介された。

「車道を走る 無人自動走行ロボット」

「次世代インフラを支える技術」では、今後の新技術として期待される電波エネルギーを効率的に電力に変換し供給する「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」の基礎技術を紹介する。京セラが培ってきた電波放射を集中させる「ビームフォーミング技術」と、電波環境に応じてリアルタイムに電波放射を制御する「アダプティブアレー技術」を融合することで、電波による高効率電力供給を実現する。

「空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム」の展示様子

これにより、ドローンなどの移動体やモバイル機器への稼働中の電力供給、センサやIoT機器のケーブルレス・電池レス化を実現。「電源に不自由のない社会の実現に貢献する」と説明している。ワイヤレスでの電力供給に加えて、指定した箇所に電力供給が行える電波コントロールの体験デモも用意されている。

電波コントロールの体験デモ

「可視光レーザー高速無線通信」は、京セラ独自の可視光レーザーを用いることで水中高速通信を実現するというもの。GaN(窒化ガリウム)基板の半極性面を用いることで、高効率・高出力な可視光レーザーを実現。可視光レーザー通信では電波干渉・電磁波障害のない高いセキュリティを確保でき、「期待の高まる海中インフラ構築への実装を目指す」とアピールしている。

「期待の高まる海中インフラ構築への実装を目指す」

そのほか、高速大容量化が求められるデータセンターの脱炭素化に貢献すると謳う「オンボード光電気集積モジュール」では、液浸冷却への対応や省電力化、高速・大容量通信や省スペースの実現により「高速大容量・省電力化の課題解決に貢献する」としている。

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