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公開日 2023/11/23 10:59
飯塚克味と伊尾喜大祐がDTSサウンドの聴きどころも解説
DTS:Xの立体音響をJBLとゼンハイザーのハイエンドサウンドバーで体感。聴きどころ解説も
編集部:長濱行太朗
dts Japanは、立体音響フォーマットのDTS:Xをはじめ、DTS-HD Master Audioなど、DTSの代表的な音声フォーマットを収録したディスクパッケージの映画コンテンツを、ハイエンドサウンドバーで体験できるメディア向け視聴体験会を、dts Japan内の視聴室で開催した。本稿では、視聴体験会のレポートをお届けする。
2023年6月に誕生30周年を迎えたDTS。1993年に映画館の画期的な音響技術として誕生してから、LDやDVD向けの音声フォーマットを開発し、2004年にはBD向けのロスレスコーデックのDTS-HD Master Audioを発表。
DTS-HD Master Audioは、多数のBD作品で高音質なロスレスコーデックとして採用されていき、2015年には同社が買収したSRS Labs社の「MDA(マルチディメンショナルオーディオ)」の技術を駆使した3DオーディオフォーマットのDTS:Xをリリースし、2018年にはIMAX Enhancedの音声にもDTS:Xが導入されることとなった。
DTS:Xは、250以上の上映作品、1000館を超える映画館、そして200タイトル以上の4K UHD BD/BDで採用されている。DTS:Xを採用した作品はハリウッドタイトルが中心となるが、国内の作品でも採用タイトルを増やすべく、IMAGICAが国内初のDTS:X対応の試写環境を整えたり、東映デジタルセンターのダビングステージでDTS:Xのミックスが可能になるなど、対策を図っているとのこと。それらが功を奏し、DTS:X音声でのミキシングからDCPマスタリングまで一貫して国内で行った、DTS:X版・映画『えんとつ町のプペル』の公開を実現させた。
また、DTS:Xをはじめ、ワイヤレス機能の「DTS Play-Fi」やヘッドホン向けの技術「DTS Headphone:X」など、DTSが企画する技術に対応しているオーディオビジュアル機器は20億以上存在する。dts Japanの塚田氏は、「近年のdtsはオーディオジャンルだけでなく、デジタルカメラの赤目防止センサーや手ブレ補正技術、またオートモーティブ向けのドライバーモニタリングシステムなど幅広い分野で高い技術力を持っている。我々はさまざまな技術を用いて、ユーザーの方々に『EXTRAORDINARY EXPERIENCES(特別な体験)』を提供していくことをキーコンセプトとしている」という。
今回の視聴会のレファレンス機器として、ハイエンドサウンドバーのJBL「BAR 1000」がそのひとつに選ばれた。BAR 1000は、JBL製サウンドバーの最上位モデルであり、7.1.4chに対応している。最大の特徴は、電源ケーブルを必要としない充電式ワイヤレスサラウンドスピーカーが搭載されており、サウンドバーながらリアルスピーカーでサラウンド音場を再生できる。そして、イネーブルスピーカーを4基採用したことで3Dオーディオ再生をカバー。サブウーファーもシステムに含まれている。
ハーマンインターナショナルの濱田氏は、「当社は、ホームシアターに“第3の革命”をもたらすアイテムとして『BAR 1000』を開発し、7.1.4ch 完全ワイヤレスサラウンドシステムとして、リビングシアターに一石を投じた。出荷ベースでは7000台を記録し、クラウドファンディングのGREEN FUNDINGで『PLATINUM AWARD』を受賞するなど、BAR 1000は多くのユーザーに支援いただけた」と、BAR 1000が大きくヒットしていることを明らかにした。
そして、もうひとつ選ばれたのがゼンハイザーのハイエンドサウンドバー「AMBEO Soundbar | Plus」。ワンボディにフルレンジ×7基、ロングスローウーファー×2基、全9基のスピーカーと出力400WのハイエンドD級アンプを搭載した、7.1.4ch対応モデルであり、ハイトスピーカーは非搭載だが独自の立体音響技術「AMBEO」によって3Dオーディオフォーマットの再生を可能にしている。また、自動音場補正技術にも対応。今回の視聴会では、別売のサブウーファー「AMBEO Sub」もシステムに組み込まれていた。
ゼンハイザーブランドを展開するソノヴァコンシュマーヒアリングジャパンの加藤氏は、「近年、当社も多くのサウンドバーを発表した。『AMBEO Soundbar | Plus』はサウンドバー1台で7.1.4chサウンドを楽しめることができる世界初のモデルであり、AMBEOテクノロジーをはじめ、オートキャリブレーション機能など、当社がマイクの開発で培ってきた技術を土台に、3Dオーディオにアプローチを図っている」と、AMBEO Soundbar | Plusの魅力を言葉にした。
視聴会では、コンテンツ推薦人として飯塚氏と伊尾喜氏の両名が、DTSのオーディオフォーマットの魅力が一聴できるタイトルを3作品ずつ推薦ソフトとして紹介してくれた。
ホームシアター愛好家であり、「DVD&動画配信でーた」をはじめとするさまざまな媒体で映画ソフトの紹介記事を多数執筆する飯塚氏の1本目の推薦ソフトは、4K UHD BD『ヒックとドラゴン』。DTS:Xが収録されており、チャプター9の00:43:52〜00:46:20、ヒックとトゥースの飛行訓練シーンを視聴ポイントとして挙げた。レファレンスはBAR 1000。
聴きどころについて、「ドラゴンの風を切る移動感と躍動感、それと音楽のコレボレーションが非常に見事。特に移動感の明瞭さが特長で、ハリウッド映画らしい臨場感あるサウンド、そしてDTS:Xならではの立体音響を実感できる」と語る。またこれから米国で実写化も予定しているようだ。
2本目は、4K UHD BD『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』。DTS:X収録で、チャプター9の00:58:40〜01:03:20、バイクでの逃走から飛行機離陸までのシーンをピックアップした。レファレンスはBAR 1000。
聴きどころについて、「作品中盤、恐竜たちが解き放たれて、主人公たちが車やバイクで逃げ惑う場面。そこから飛行機離陸シーンまでを選んだが、恐竜の移動感はもちろん、バイクのスムーズな動き、そういったものが縦横無尽に駆け巡る、これぞサラウンドという音像デザインになっている。どこを切り取っても、ハリウッド映画の楽しみを音声面からも実感することができる。」と明らかにした。
3本目は、4K UHD BD『スリーピー・ホロウ』。DTS-HD Master Audio 5.1chが収録されており、チャプター1の00:01:59〜00:03:52の首なし騎士の馬車襲撃シーンが挙げられた。レファレンスはAMBEO Soundbar | Plus。
聴きどころについて、「冒頭のシーンだが、馬車の疾走感だったり、音楽が表現するスピード感や盛り上がりなど、DTSの音の特長が表れている。また、ティム・バートン監督によるメジャータイトルとしての魅力を、音の側面からも味わってほしいと思えるものだ」と熱い気持ちを吐露する。
250タイトルを超えるディスクメディアの制作・演出に携わり、オーディオビジュアル評論家として執筆活動も行う伊尾喜氏。1本目の推薦ソフトはBD『ルパンの娘 劇場版』。DTS-HD Master Audio 5.1ch収録、こちらをBAR 1000側でNeural:Xで再生。DTS Headphone:Xの音声コーデックも収められている。チャプター14の00:49:00〜00:51:30のタイムトラベルのシーンが視聴ポイントになった。レファレンスはBAR 1000。
聴きどころについて、「作品に登場するタイムマシンで過去へとタイムトラベルするが、そのタイムマシンの移動感やタイムトンネルを通る際の『宇宙戦艦ヤマト』を彷彿させるSEに注目してほしい。そして、過去へと到着した後のジュリアナ東京で流れる曲の重低音と包囲感、タイムマシンの傍を通る足音の移動、そしてスケボーがフロント側からリア側へと通り抜ける動きの表現が特徴」と語る。作品冒頭のDTSのロゴトレーラーは伊尾喜氏の計らい。
2本目は、BD『バスカヴィル家の犬』。DTS-HD Master Audio 5.1ch収録で、AMBEO Soundbar | PlusのDTS Neural:X再生で視聴。DTS Headphone:Xも収める。チャプター1の00:00:00〜00:02:00、作品冒頭のシーンを視聴ポイントに選んだ。レファレンスはAMBEO Soundbar | Plus。
聴きどころについて、「包囲感を重視したシーンを選んだが、冒頭のハサミの音の重量感と立ち上がりの鋭さがポイントのひとつ。菅野祐悟作曲のSE、ストリングを中心とした不穏極まりない劇伴音楽の響きの濃密さ。また森の奥から聴こえてくる野犬の遠吠えの表現など、音場の表現が問われる」と、説明した。
3本目は、4K UHD BD『すずめの戸締まり』。DTS-HD Master Audio 5.1ch収録だが、AMBEO Soundbar | Plus側でDTS Neural:X再生で視聴。チャプター4の00:09:10〜00:12:50、「初めての戸締まり」が視聴ポイント。
聴きどころについて、「DTS Neural:Xで再生すると独立性の高い音が、高さ方向に驚くほど振り分けられる。3Dオーディオフォーマットでデザインされたと言われても納得してしまうほど。みみずと呼ばれる存在が音場高く上がっていく、その際にカラスの大群の鳴き声が音場高く、みみずの音にまとわりつく音場効果が印象的。そして扉からみみずが噴き出す轟音と移動感、扉を閉じる儀式の最中で聴こえる土地の記憶の声が音場に散りばめられて浮かび上がる部分も効果が分かりやすい。」と細かな部分の聴こえ方も教えてくれた。
DTS Headphone:Xは、オーサリング面も特徴で、DTS音声の2chベースで収録することができるため、ディスク容量に対してのパフォーマンスがよく、手軽にヘッドホンで立体音響を楽しめるメリットを備えていると、伊尾喜氏はいう。
実際に最先端技術が投入されたサウンドバーでDTSの音に触れてみて、伊尾喜氏は「dts Japanの視聴室でデモディスクが流れている音を聴いて、KEFのスピーカーが鳴っているものだと思っていたのに、サウンドバーが鳴らしていたことに気付いたとき、“あれ、自分はホームシアターにいくら投資してきたっけ”と思うほど衝撃的な体験だった。リビングにサウンドバーがあるだけで、本格的な映画館のように感じられた」と感想を語った。
また、飯塚氏は「サウンドバーの初期の音の印象しか残っていなかったこともあり、正直聴く前はサウンドバーのことをけっこう舐めてしまっていた。最新機種を聴いて、サウンドバーでここまでの音を鳴らせることに非常に驚いたし、またここからリビングシアターなどを始めることができるユーザーに対して羨ましく思う。自分自信もスピーカーのサラウンドと平行して、サウンドバーを導入したくなるほどだった」と、サウンドバーへの印象が一転したことを明らかにした。
「VODだけでなく、ディスクによる過去の作品のサウンドも、新たな機器で試聴するとまだまだ楽しめるし、ディスクの魅力も再認識することができる。DTSのサウンドもハイエンドの新機種で試聴することで、また新たな側面が見えてくることを実感してもらいたい」と、今回のイベントを通しての思いをdts Japanの津司氏が語った。
dts Japanは、今度も視聴会や体験会といった催しを定期的に企画していきたいという。また、今後も同社ならではの新技術の登場が期待され、2024年の年始に米国のラスベガスで開催される「CES2024」などで、どのような展開が発表されるかも楽しみだ。
■DTSの技術を搭載するAV機器は20億以上。DTS:X採用作品も着実に増加
2023年6月に誕生30周年を迎えたDTS。1993年に映画館の画期的な音響技術として誕生してから、LDやDVD向けの音声フォーマットを開発し、2004年にはBD向けのロスレスコーデックのDTS-HD Master Audioを発表。
DTS-HD Master Audioは、多数のBD作品で高音質なロスレスコーデックとして採用されていき、2015年には同社が買収したSRS Labs社の「MDA(マルチディメンショナルオーディオ)」の技術を駆使した3DオーディオフォーマットのDTS:Xをリリースし、2018年にはIMAX Enhancedの音声にもDTS:Xが導入されることとなった。
DTS:Xは、250以上の上映作品、1000館を超える映画館、そして200タイトル以上の4K UHD BD/BDで採用されている。DTS:Xを採用した作品はハリウッドタイトルが中心となるが、国内の作品でも採用タイトルを増やすべく、IMAGICAが国内初のDTS:X対応の試写環境を整えたり、東映デジタルセンターのダビングステージでDTS:Xのミックスが可能になるなど、対策を図っているとのこと。それらが功を奏し、DTS:X音声でのミキシングからDCPマスタリングまで一貫して国内で行った、DTS:X版・映画『えんとつ町のプペル』の公開を実現させた。
また、DTS:Xをはじめ、ワイヤレス機能の「DTS Play-Fi」やヘッドホン向けの技術「DTS Headphone:X」など、DTSが企画する技術に対応しているオーディオビジュアル機器は20億以上存在する。dts Japanの塚田氏は、「近年のdtsはオーディオジャンルだけでなく、デジタルカメラの赤目防止センサーや手ブレ補正技術、またオートモーティブ向けのドライバーモニタリングシステムなど幅広い分野で高い技術力を持っている。我々はさまざまな技術を用いて、ユーザーの方々に『EXTRAORDINARY EXPERIENCES(特別な体験)』を提供していくことをキーコンセプトとしている」という。
■JBL「BAR 1000」とゼンハイザー「AMBEO Soundbar | Plus」でDTS:X採用作品を視聴
今回の視聴会のレファレンス機器として、ハイエンドサウンドバーのJBL「BAR 1000」がそのひとつに選ばれた。BAR 1000は、JBL製サウンドバーの最上位モデルであり、7.1.4chに対応している。最大の特徴は、電源ケーブルを必要としない充電式ワイヤレスサラウンドスピーカーが搭載されており、サウンドバーながらリアルスピーカーでサラウンド音場を再生できる。そして、イネーブルスピーカーを4基採用したことで3Dオーディオ再生をカバー。サブウーファーもシステムに含まれている。
ハーマンインターナショナルの濱田氏は、「当社は、ホームシアターに“第3の革命”をもたらすアイテムとして『BAR 1000』を開発し、7.1.4ch 完全ワイヤレスサラウンドシステムとして、リビングシアターに一石を投じた。出荷ベースでは7000台を記録し、クラウドファンディングのGREEN FUNDINGで『PLATINUM AWARD』を受賞するなど、BAR 1000は多くのユーザーに支援いただけた」と、BAR 1000が大きくヒットしていることを明らかにした。
そして、もうひとつ選ばれたのがゼンハイザーのハイエンドサウンドバー「AMBEO Soundbar | Plus」。ワンボディにフルレンジ×7基、ロングスローウーファー×2基、全9基のスピーカーと出力400WのハイエンドD級アンプを搭載した、7.1.4ch対応モデルであり、ハイトスピーカーは非搭載だが独自の立体音響技術「AMBEO」によって3Dオーディオフォーマットの再生を可能にしている。また、自動音場補正技術にも対応。今回の視聴会では、別売のサブウーファー「AMBEO Sub」もシステムに組み込まれていた。
ゼンハイザーブランドを展開するソノヴァコンシュマーヒアリングジャパンの加藤氏は、「近年、当社も多くのサウンドバーを発表した。『AMBEO Soundbar | Plus』はサウンドバー1台で7.1.4chサウンドを楽しめることができる世界初のモデルであり、AMBEOテクノロジーをはじめ、オートキャリブレーション機能など、当社がマイクの開発で培ってきた技術を土台に、3Dオーディオにアプローチを図っている」と、AMBEO Soundbar | Plusの魅力を言葉にした。
■プロがDTS:X作品のオススメシーンと聴きどころを解説
視聴会では、コンテンツ推薦人として飯塚氏と伊尾喜氏の両名が、DTSのオーディオフォーマットの魅力が一聴できるタイトルを3作品ずつ推薦ソフトとして紹介してくれた。
ホームシアター愛好家であり、「DVD&動画配信でーた」をはじめとするさまざまな媒体で映画ソフトの紹介記事を多数執筆する飯塚氏の1本目の推薦ソフトは、4K UHD BD『ヒックとドラゴン』。DTS:Xが収録されており、チャプター9の00:43:52〜00:46:20、ヒックとトゥースの飛行訓練シーンを視聴ポイントとして挙げた。レファレンスはBAR 1000。
聴きどころについて、「ドラゴンの風を切る移動感と躍動感、それと音楽のコレボレーションが非常に見事。特に移動感の明瞭さが特長で、ハリウッド映画らしい臨場感あるサウンド、そしてDTS:Xならではの立体音響を実感できる」と語る。またこれから米国で実写化も予定しているようだ。
2本目は、4K UHD BD『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』。DTS:X収録で、チャプター9の00:58:40〜01:03:20、バイクでの逃走から飛行機離陸までのシーンをピックアップした。レファレンスはBAR 1000。
聴きどころについて、「作品中盤、恐竜たちが解き放たれて、主人公たちが車やバイクで逃げ惑う場面。そこから飛行機離陸シーンまでを選んだが、恐竜の移動感はもちろん、バイクのスムーズな動き、そういったものが縦横無尽に駆け巡る、これぞサラウンドという音像デザインになっている。どこを切り取っても、ハリウッド映画の楽しみを音声面からも実感することができる。」と明らかにした。
3本目は、4K UHD BD『スリーピー・ホロウ』。DTS-HD Master Audio 5.1chが収録されており、チャプター1の00:01:59〜00:03:52の首なし騎士の馬車襲撃シーンが挙げられた。レファレンスはAMBEO Soundbar | Plus。
聴きどころについて、「冒頭のシーンだが、馬車の疾走感だったり、音楽が表現するスピード感や盛り上がりなど、DTSの音の特長が表れている。また、ティム・バートン監督によるメジャータイトルとしての魅力を、音の側面からも味わってほしいと思えるものだ」と熱い気持ちを吐露する。
■DTS Neural:X再生での聴きどころもチェック
250タイトルを超えるディスクメディアの制作・演出に携わり、オーディオビジュアル評論家として執筆活動も行う伊尾喜氏。1本目の推薦ソフトはBD『ルパンの娘 劇場版』。DTS-HD Master Audio 5.1ch収録、こちらをBAR 1000側でNeural:Xで再生。DTS Headphone:Xの音声コーデックも収められている。チャプター14の00:49:00〜00:51:30のタイムトラベルのシーンが視聴ポイントになった。レファレンスはBAR 1000。
聴きどころについて、「作品に登場するタイムマシンで過去へとタイムトラベルするが、そのタイムマシンの移動感やタイムトンネルを通る際の『宇宙戦艦ヤマト』を彷彿させるSEに注目してほしい。そして、過去へと到着した後のジュリアナ東京で流れる曲の重低音と包囲感、タイムマシンの傍を通る足音の移動、そしてスケボーがフロント側からリア側へと通り抜ける動きの表現が特徴」と語る。作品冒頭のDTSのロゴトレーラーは伊尾喜氏の計らい。
2本目は、BD『バスカヴィル家の犬』。DTS-HD Master Audio 5.1ch収録で、AMBEO Soundbar | PlusのDTS Neural:X再生で視聴。DTS Headphone:Xも収める。チャプター1の00:00:00〜00:02:00、作品冒頭のシーンを視聴ポイントに選んだ。レファレンスはAMBEO Soundbar | Plus。
聴きどころについて、「包囲感を重視したシーンを選んだが、冒頭のハサミの音の重量感と立ち上がりの鋭さがポイントのひとつ。菅野祐悟作曲のSE、ストリングを中心とした不穏極まりない劇伴音楽の響きの濃密さ。また森の奥から聴こえてくる野犬の遠吠えの表現など、音場の表現が問われる」と、説明した。
3本目は、4K UHD BD『すずめの戸締まり』。DTS-HD Master Audio 5.1ch収録だが、AMBEO Soundbar | Plus側でDTS Neural:X再生で視聴。チャプター4の00:09:10〜00:12:50、「初めての戸締まり」が視聴ポイント。
聴きどころについて、「DTS Neural:Xで再生すると独立性の高い音が、高さ方向に驚くほど振り分けられる。3Dオーディオフォーマットでデザインされたと言われても納得してしまうほど。みみずと呼ばれる存在が音場高く上がっていく、その際にカラスの大群の鳴き声が音場高く、みみずの音にまとわりつく音場効果が印象的。そして扉からみみずが噴き出す轟音と移動感、扉を閉じる儀式の最中で聴こえる土地の記憶の声が音場に散りばめられて浮かび上がる部分も効果が分かりやすい。」と細かな部分の聴こえ方も教えてくれた。
DTS Headphone:Xは、オーサリング面も特徴で、DTS音声の2chベースで収録することができるため、ディスク容量に対してのパフォーマンスがよく、手軽にヘッドホンで立体音響を楽しめるメリットを備えていると、伊尾喜氏はいう。
■サウンドバーでの“DTSの音”は想像以上に本格的
実際に最先端技術が投入されたサウンドバーでDTSの音に触れてみて、伊尾喜氏は「dts Japanの視聴室でデモディスクが流れている音を聴いて、KEFのスピーカーが鳴っているものだと思っていたのに、サウンドバーが鳴らしていたことに気付いたとき、“あれ、自分はホームシアターにいくら投資してきたっけ”と思うほど衝撃的な体験だった。リビングにサウンドバーがあるだけで、本格的な映画館のように感じられた」と感想を語った。
また、飯塚氏は「サウンドバーの初期の音の印象しか残っていなかったこともあり、正直聴く前はサウンドバーのことをけっこう舐めてしまっていた。最新機種を聴いて、サウンドバーでここまでの音を鳴らせることに非常に驚いたし、またここからリビングシアターなどを始めることができるユーザーに対して羨ましく思う。自分自信もスピーカーのサラウンドと平行して、サウンドバーを導入したくなるほどだった」と、サウンドバーへの印象が一転したことを明らかにした。
「VODだけでなく、ディスクによる過去の作品のサウンドも、新たな機器で試聴するとまだまだ楽しめるし、ディスクの魅力も再認識することができる。DTSのサウンドもハイエンドの新機種で試聴することで、また新たな側面が見えてくることを実感してもらいたい」と、今回のイベントを通しての思いをdts Japanの津司氏が語った。
dts Japanは、今度も視聴会や体験会といった催しを定期的に企画していきたいという。また、今後も同社ならではの新技術の登場が期待され、2024年の年始に米国のラスベガスで開催される「CES2024」などで、どのような展開が発表されるかも楽しみだ。
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