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公開日 2024/05/24 20:25
稲葉会長が定例会見で説明
NHKネット配信「必須業務化」は2025年度後半開始を目指す。ネット受信料額は「地上波契約と同水準」
編集部:小野佳希
NHKの稲葉延雄会長は、番組のネット配信をはじめとするインターネット活用業務が従来の“任意業務”から“必須業務”に格上げされることを盛り込んだ改正放送法が可決されたことについて、定例会見であらためて言及。必須業務化のスケジュールなどについて説明した。
NHKのインターネット活用業務については、必須業務化することを盛り込んだ改正放送法が先日に国会で可決・成立した。これについて稲葉会長は「これは、これまで任意業務だったNHKのインターネットサービスが放送と全く同じ扱いとなり、放送と同じ情報内容や同じ価値を提供しなければならないということだと理解している」とコメント。
「ネットサービスがこれまでよりも高い位置づけとなり、放送を主な業務としてきたNHKにとっては、まさに歴史的な転換点を迎えるということになると重く受け止めている」と続けた。
NHKがインターネットサービスを提供する意義については、「ネットの世界ではいわゆるアテンション・エコノミーが横行したり、偽情報・誤情報が蔓延したりしがちで、その結果、人々の注目を集めやすいショッキングでネガティブな情報に偏りがちとなり、人々の世界観を歪ませ、社会の分断につながっていると思っている」と、インターネットの現状に対する認識を述べた。
「そうしたなかでNHKが、ネットの世界に放送と同等の正確で信頼性の高い情報や価値をどんどん提供し、サービスの水準を高めていくことによって、ネット上の情報の隔たり、偏りが是正されれば、情報空有感の健全性は確保されることになり、ひいては平和で豊かな社会の実現につながる」とした上で、「(NHKのネット活用業務は)そのような役割を果たすことが求められた結果ではないか」と語った。
“必須業務”としてのインターネット活用業務が具体的にいつからスタートするかについては、改正放送法で「交付の日から1年6か月を超えない範囲内において、政令で定める日から施工する」と定められている。NHKとしても、その施行日から新たな仕組みの下でNHKとしてサービスを始めることになるだろうという見解を示した。
一方で、サービスの開始に向けては今後、総務省が定める受信契約や配信設備などに関する省令を踏まえながら準備を進めていく必要があるとも説明。必須業務のスタートに必要な来年度(2025年度)の予算・事業計画の策定や受信機役の改定とシステム改修、インターネット配信基盤の整備などに一定の期間が必要になるため、「2025年度の後半からのスタートを目指して準備を進めていきたい」とした。
サービス内容や配信方法など具体的な内容については「来年度の予算・事業計画のなかでしっかり示したい」としているが、基本的には現行のNHKプラスのような形で提供することになると考えているという。
また、インターネット配信のみで受信契約を結んだ場合の、いわゆる“ネット受信料”については、「基本的には地上契約と同じ水準とする方向で検討している」と説明。これは、衛星放送(BS)の番組の同時配信や見逃し配信の実施が、権利処理の関係でただちに実施するというのは困難であることを勘案した考えだという。
その一方で、地上波(総合/Eテレ)のネット配信については「基本的には放送と同内容」になる見込みで、「ネットオリジナルのコンテンツはない。放送と同一の内容になる」とのこと。これを受けて「地上波の契約と同水準の料金をいただくことに対して整合的なサービスの提供ができると思っている」とした。
ただし、現在のNHKプラスでは例えばスポーツニュースを視聴できないケースも存在する。こうした権利処理の問題も、実際に必須業務化がスタートするまでの間にできるだけ解決したいとの考えを示した。
この点については、会見に出席したメディアから「放送と同一価値のものが出せないことになった場合に、(ネット受信料の)料金を下げる可能性はあるのか?」という質問も。
これに対し稲葉会長は「できるだけそういうことのないように、例えば地上波については、ほぼ同一の内容になるようにという努力を、これから時間を使ってやっていくことになる」と回答した。
またネット受信料については、スマホやパソコンなどを持っているだけでは負担の対象にならないこと、そして、テレビ放送ですでに受信契約をしている場合には追加費用が発生しないという、従来からの姿勢を改めて説明。「例えばアプリのダウンロード、あるいはIDの取得などの一定の操作を行って、配信を受け始めた方を対象としている。詳細については検討を進めており、しっかり決まった時点であらゆる方法を使って周知・広報をしていく」とした。
ネットのみでの視聴という観点では、放送チューナーを搭載しない、いわゆるチューナーレステレビが昨今増えてきている。これについても「一部で販売されているチューナーレステレビは受信契約の対象にならないと理解している」(小池専務理事)とコメント。スマホやパソコン同様に、チューナーレステレビもアプリのインストールやID取得などを行うなどした場合のみがネット受信料の対象になるという考えを示した。
ネット受信料を徴収することは必然的に収入増にもつながるが、「新聞や民放の方々といっしょになってネットの世界で正しい情報をまずは供給していくことが大目的で、そのあとに収入という問題がついてくるということ」だとコメント。収入増が目的ではなく、あくまでも適切な情報提供が大切であるとした。
そのほか金銭面関連では、インターネット活用業務への予算に対して現在は年間200億円という上限が設けられているが、必須業務化後にこの上限が撤廃されるかは「これからの検討課題」(NHK 小池専務理事)とのこと。「放送と同様に予算・事業計画において予算を編成して国会で審議いただくことなる」とし、「現在はサービスの設計を開始した段階であり、具体的な予算規模は今後精査していく」と語り、「いずれにせよ、いたずらに拡大することは想定していない」と説明した。
稲葉会長がNHKのネット配信“必須業務化”にコメント
NHKのインターネット活用業務については、必須業務化することを盛り込んだ改正放送法が先日に国会で可決・成立した。これについて稲葉会長は「これは、これまで任意業務だったNHKのインターネットサービスが放送と全く同じ扱いとなり、放送と同じ情報内容や同じ価値を提供しなければならないということだと理解している」とコメント。
「ネットサービスがこれまでよりも高い位置づけとなり、放送を主な業務としてきたNHKにとっては、まさに歴史的な転換点を迎えるということになると重く受け止めている」と続けた。
NHKがインターネットサービスを提供する意義については、「ネットの世界ではいわゆるアテンション・エコノミーが横行したり、偽情報・誤情報が蔓延したりしがちで、その結果、人々の注目を集めやすいショッキングでネガティブな情報に偏りがちとなり、人々の世界観を歪ませ、社会の分断につながっていると思っている」と、インターネットの現状に対する認識を述べた。
「そうしたなかでNHKが、ネットの世界に放送と同等の正確で信頼性の高い情報や価値をどんどん提供し、サービスの水準を高めていくことによって、ネット上の情報の隔たり、偏りが是正されれば、情報空有感の健全性は確保されることになり、ひいては平和で豊かな社会の実現につながる」とした上で、「(NHKのネット活用業務は)そのような役割を果たすことが求められた結果ではないか」と語った。
“必須業務化”スタート時期は「2025年度後半を目指して準備」
“必須業務”としてのインターネット活用業務が具体的にいつからスタートするかについては、改正放送法で「交付の日から1年6か月を超えない範囲内において、政令で定める日から施工する」と定められている。NHKとしても、その施行日から新たな仕組みの下でNHKとしてサービスを始めることになるだろうという見解を示した。
一方で、サービスの開始に向けては今後、総務省が定める受信契約や配信設備などに関する省令を踏まえながら準備を進めていく必要があるとも説明。必須業務のスタートに必要な来年度(2025年度)の予算・事業計画の策定や受信機役の改定とシステム改修、インターネット配信基盤の整備などに一定の期間が必要になるため、「2025年度の後半からのスタートを目指して準備を進めていきたい」とした。
サービス内容や配信方法など具体的な内容については「来年度の予算・事業計画のなかでしっかり示したい」としているが、基本的には現行のNHKプラスのような形で提供することになると考えているという。
“ネット受信料”金額は「地上契約と同じ水準で検討」
また、インターネット配信のみで受信契約を結んだ場合の、いわゆる“ネット受信料”については、「基本的には地上契約と同じ水準とする方向で検討している」と説明。これは、衛星放送(BS)の番組の同時配信や見逃し配信の実施が、権利処理の関係でただちに実施するというのは困難であることを勘案した考えだという。
その一方で、地上波(総合/Eテレ)のネット配信については「基本的には放送と同内容」になる見込みで、「ネットオリジナルのコンテンツはない。放送と同一の内容になる」とのこと。これを受けて「地上波の契約と同水準の料金をいただくことに対して整合的なサービスの提供ができると思っている」とした。
ただし、現在のNHKプラスでは例えばスポーツニュースを視聴できないケースも存在する。こうした権利処理の問題も、実際に必須業務化がスタートするまでの間にできるだけ解決したいとの考えを示した。
この点については、会見に出席したメディアから「放送と同一価値のものが出せないことになった場合に、(ネット受信料の)料金を下げる可能性はあるのか?」という質問も。
これに対し稲葉会長は「できるだけそういうことのないように、例えば地上波については、ほぼ同一の内容になるようにという努力を、これから時間を使ってやっていくことになる」と回答した。
「スマホやPCを持っただけではネット受信料対象にならない」。チューナーレステレビも同様
またネット受信料については、スマホやパソコンなどを持っているだけでは負担の対象にならないこと、そして、テレビ放送ですでに受信契約をしている場合には追加費用が発生しないという、従来からの姿勢を改めて説明。「例えばアプリのダウンロード、あるいはIDの取得などの一定の操作を行って、配信を受け始めた方を対象としている。詳細については検討を進めており、しっかり決まった時点であらゆる方法を使って周知・広報をしていく」とした。
ネットのみでの視聴という観点では、放送チューナーを搭載しない、いわゆるチューナーレステレビが昨今増えてきている。これについても「一部で販売されているチューナーレステレビは受信契約の対象にならないと理解している」(小池専務理事)とコメント。スマホやパソコン同様に、チューナーレステレビもアプリのインストールやID取得などを行うなどした場合のみがネット受信料の対象になるという考えを示した。
ネット受信料を徴収することは必然的に収入増にもつながるが、「新聞や民放の方々といっしょになってネットの世界で正しい情報をまずは供給していくことが大目的で、そのあとに収入という問題がついてくるということ」だとコメント。収入増が目的ではなく、あくまでも適切な情報提供が大切であるとした。
そのほか金銭面関連では、インターネット活用業務への予算に対して現在は年間200億円という上限が設けられているが、必須業務化後にこの上限が撤廃されるかは「これからの検討課題」(NHK 小池専務理事)とのこと。「放送と同様に予算・事業計画において予算を編成して国会で審議いただくことなる」とし、「現在はサービスの設計を開始した段階であり、具体的な予算規模は今後精査していく」と語り、「いずれにせよ、いたずらに拡大することは想定していない」と説明した。