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公開日 2024/07/24 12:43
アニメ作品を中心に順次拡大予定

DMM TV、国内大手配信事業者で初めてAV1コーデックに対応。作品の画質はそのまま通信量は約50%オフ

編集部:松原ひな子
合同会社DMM.comが運営する「DMM TV」は、国内の大手配信事業者として初めて次世代動画圧縮コーデック技術「AV1」を採用し、2024年7月よりAV1コーデックを用いた動画配信を本格的に開始することを発表した。

AV1とは、非営利団体のAlliance for Open Mediaが開発した動画圧縮コーデック。このコーデックへの対応によって、DMM TVではフルHD(1080p)の映像において、従来の「H.264」による映像と比較して同等の画質を保ったまま、40%から70%程度の通信量でコンテンツを視聴できるようになったという。

2024年冬アニメ特定コンテンツでの平均ビットレート比較

また、本コーデックはストリーミング視聴だけではなくダウンロード視聴にも適用されるため、スマートフォンのストレージ容量の節約にもつながり、より多くのコンテンツをダウンロードしてオフライン再生を行うことも可能となる。

ダウンロード容量比較

通信量、ストレージ容量の節約につながるだけでなく、混雑した回線での安定的な視聴の実現や、再生開始やシーク操作などのパフォーマンス改善等、様々な視聴体験の向上につながるとアピールした。

同社は20年以上の動画配信サービス運営の中で、コンテンツの高圧縮化と高画質化にも取り組んできたという。AV1対応以前もDMM TVのリリース当初より、コンテンツ種別による独自処理やシーン分析によるパラメータ調整などを用いることで、DMM TV以前にリリースされた「DMM動画」と比較して1/3程度のデータ量で同等の画質を実現していた。

「DMM動画」と「DMM TV」の平均ビットレート(kbps)比較

今回さらなる視聴体験の向上につながるとして対応したAV1コーデックは、一般的に従来コーデックと比較してパラメータによるデータ量のコントロールが難しく、画質と圧縮率の両立が従来以上に困難であることから、採用障壁が高い技術となっている。

これを受けDMMでは、Netflixによって開発された動画品質評価のための知覚的指標「VMAF(Video Multi-Method Assessment Fusion)」や、アニメーション作品における画質を左右するバンディングの発生状況等に着目。様々な画質評価指標を用いて開発した独自の解析技術により、適切なパラメータを選定することを可能にした。

バンディングが多く発生しているグラデーション(左)バンディングが軽減されたグラデーション(右)

バンディング発生例と軽減例

こうした取り組みを通じてAV1コーデックの採用を実現した結果、当初から50%程度の圧縮が可能にしたという。DMM動画での圧縮技術と比較して、1/6程度のデータ量で同等の画質を実現したとアピールする。

VMAFの値とバンディング発生量

複数の大手国内配信事業者と比較しても、半分程度のデータ量で同等以上の画質でのコンテンツ提供を達成しているとした。またDMM TVと同様のAV1コーデックを採用している大手グローバル動画配信サービスと比較しても、アニメ作品において同等かそれ以上の圧縮効率を実現したという。

コンテンツX 1話における大手国内配信事業者とのダウンロード容量比較

コンテンツX 1話における、同様の次世代コーデックを採用している大手グローバル動画配信サービスとのビットレート比較

現在は2024年1月期以降に配信開始したアニメ作品を中心に、AV1コーデックによるコンテンツ提供を行っており、随時対象コンテンツを拡大するとアナウンス。

AV1コーデックの再生に対応したAndroidスマートフォン/Android TV/Fire TV上で、DMM TVアプリを用いて対象作品を再生することで、次世代コーデックによる高圧縮かつ高画質な映像を楽しむことができる。今後、各種Webブラウザや、iPhone/iPad/VR機器等への提供も予定しているという。

再生環境がAV1コーデックに対応しているかは、同社による検証動画を通じて確認できる。Webブラウザからアクセスして、検証動画を「お気に入り」に登録すると、アプリ内で検証動画を活用できる。

検証動画での再生テスト (c) copyright 2008, Blender Foundation www.bigbuckbunny.org

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