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公開日 2022/12/06 16:16
単なるマスク氏の勘違いだった可能性
アップルがTwitter広告を減らした理由、「マスク氏とは特に関係なかった」との証言
多根清史
Twitterのイーロン・マスクCEOは、アップルが広告を削減したと不満を表明。それを受けてアップル本社に招待され、同社のティム・クックCEOと会談した直後に「アップルの広告は完全に再開された」と発言していた。
アップルが一時的に広告を減らしたのは事実としても、それはマスク氏の言動と特に関係がなかったとの元Twitter従業員の証言が伝えられている。
米The New York Times(以下、「NYT」)報道によると、ことの発端は11月に米コロラド州のLGBTQ+ナイトクラブで起きた銃乱射により5人が死亡、数十人が負傷した事件だったという。この直後にアップルはTwitterの広告を一時的に停止するという、ごく普通の経営判断と思える行動をとったに過ぎないとのことだ。
元Twitter従業員ら2人はNYTに対して、アップルは自社の広告が銃乱射事件の報道の隣に表示されないようにすることで、ブランドを守っていたと証言。一般的に大手ブランドは、銃撃事件や災害が発生すると広告を控える傾向があるとも付け加えられている。
しかし、マスク氏はこの惨劇とアップルがTwitterでの広告を停止したことを結びつけて考えていなかったようだ。マスク氏は「アップルはTwitterの広告をほとんどやめた」「彼らは米国での言論の自由を嫌っているんだろうか?」とつぶやき、あたかも自らのTwitterでのコンテンツ・モデレーション(投稿規制)に関する方針へ介入されたかのように仄めかしたわけだ。
コロラド州での銃乱射事件から約2週間が経ち、マスク氏がクック氏と「良い会話」をした数日後に、「アップルの広告が完全に再開された」と語ったのは上述の通りだ。
もっとも、マスク氏も大手広告主の半分が去ったといわれる直後のためか、かなり歩み寄ったようだ。米Reuters報道によると、Twitterは広告代理店を通じて「Twitter史上最大の広告主インセンティブ」を提示したという。その甲斐あって、Amazonも年間約1億ドルでTwitter広告を再開する予定だと報じられている。
マスク氏の「Twitterに戻ってきてくれた広告主に感謝する」とのメッセージは、アップルだけに向けられたものではなかったようだ。
ちなみにFiancial Times(9to5Mac経由)は、マスク氏のような人物を宥められるクック氏のスキルについて、「10年以上の元アップルのベテラン」として同社の共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏や元CEOのジョン・スカリー氏らに取材している。
それによれば「ティムが彼を魅了したのは確かだ」(匿名人物)、「クック氏の最高のスキルは、とにかく全員の面倒を見る必要性を理解していること」(ウォズニアック氏)、「最初の1兆ドルはジョブズとアイブから、次の1兆ドルはティム・クックがやったことから生まれた」(スカリー氏)とのこと。
これらを手短にまとめれば、クック氏は個人的な感情を抜きにして人と接することができ、スティーブ・ジョブズ氏のような気難しい上司とも上手く付き合えたほどの対人スキルを持っている、といったところだろう。
確かに、思想や信条がかけ離れているはずのトランプ前米大統領をテキサス州のMac Pro工場に招き、トランプ氏に絶賛されたことを考えると、マスク氏を宥める程度はたやすかったのかもしれない。
Source: The New York Times
via: Ars Technica
アップルが一時的に広告を減らしたのは事実としても、それはマスク氏の言動と特に関係がなかったとの元Twitter従業員の証言が伝えられている。
米The New York Times(以下、「NYT」)報道によると、ことの発端は11月に米コロラド州のLGBTQ+ナイトクラブで起きた銃乱射により5人が死亡、数十人が負傷した事件だったという。この直後にアップルはTwitterの広告を一時的に停止するという、ごく普通の経営判断と思える行動をとったに過ぎないとのことだ。
元Twitter従業員ら2人はNYTに対して、アップルは自社の広告が銃乱射事件の報道の隣に表示されないようにすることで、ブランドを守っていたと証言。一般的に大手ブランドは、銃撃事件や災害が発生すると広告を控える傾向があるとも付け加えられている。
しかし、マスク氏はこの惨劇とアップルがTwitterでの広告を停止したことを結びつけて考えていなかったようだ。マスク氏は「アップルはTwitterの広告をほとんどやめた」「彼らは米国での言論の自由を嫌っているんだろうか?」とつぶやき、あたかも自らのTwitterでのコンテンツ・モデレーション(投稿規制)に関する方針へ介入されたかのように仄めかしたわけだ。
コロラド州での銃乱射事件から約2週間が経ち、マスク氏がクック氏と「良い会話」をした数日後に、「アップルの広告が完全に再開された」と語ったのは上述の通りだ。
もっとも、マスク氏も大手広告主の半分が去ったといわれる直後のためか、かなり歩み寄ったようだ。米Reuters報道によると、Twitterは広告代理店を通じて「Twitter史上最大の広告主インセンティブ」を提示したという。その甲斐あって、Amazonも年間約1億ドルでTwitter広告を再開する予定だと報じられている。
マスク氏の「Twitterに戻ってきてくれた広告主に感謝する」とのメッセージは、アップルだけに向けられたものではなかったようだ。
ちなみにFiancial Times(9to5Mac経由)は、マスク氏のような人物を宥められるクック氏のスキルについて、「10年以上の元アップルのベテラン」として同社の共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏や元CEOのジョン・スカリー氏らに取材している。
それによれば「ティムが彼を魅了したのは確かだ」(匿名人物)、「クック氏の最高のスキルは、とにかく全員の面倒を見る必要性を理解していること」(ウォズニアック氏)、「最初の1兆ドルはジョブズとアイブから、次の1兆ドルはティム・クックがやったことから生まれた」(スカリー氏)とのこと。
これらを手短にまとめれば、クック氏は個人的な感情を抜きにして人と接することができ、スティーブ・ジョブズ氏のような気難しい上司とも上手く付き合えたほどの対人スキルを持っている、といったところだろう。
確かに、思想や信条がかけ離れているはずのトランプ前米大統領をテキサス州のMac Pro工場に招き、トランプ氏に絶賛されたことを考えると、マスク氏を宥める程度はたやすかったのかもしれない。
Source: The New York Times
via: Ars Technica
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