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公開日 2023/02/02 21:21
「ビデオゲームのNetflix」は成立しないという指摘
Xboxゲームパスは「持続不能」、任天堂のビジネスモデルがベストとの分析
多根清史
今や米マイクロソフト(以下「MS」)、ソニー、任天堂といったゲーム最大手企業が、3社とも定額制ゲームサービスを提供している。この中では一見すればMSのXbox Game Pass(以下、「ゲームパス」)が最も順調に推移している印象があるが、長期的には持続可能ではないとの分析が発表されている。
ゲーム業界の市場調査会社DFC Intelligenceは、最近のMSの収益に、ゲームパスがあまり貢献していないようだと指摘している。
直近の2023年度第2四半期決算を見ても、Xboxハードウェアの売上は前年同期比13%減、コンテンツおよびサービスは同12%減という数字が何よりそれを裏付けている。ゲームパスの加入者数はさらに伸びているにもかかわらず、である。
DFCによれば、ゲームパスの問題はXboxハードの売上に貢献していない(Windows PC向けや、端末を選ばないクラウドゲーミングも含まれる)一方で、収益を上げるために多くのコンテンツを提供しすぎていることだという。
ゲームパスが1億人の加入者を獲得できれば状況は変わるとしても、それは絵空事に近い。買収が難航しているアクティビジョン・ブリザードのユーザー数を加えてもはるかに足りず、トップセラーの『Call of Duty』シリーズも3000万本がせいぜいである。
しかも、ゲームパスは定期的にゲームカタログの一部を入れ替えるため、プレイヤーが遊び終える前に配信が終わってしまうことがある。そして消費者が本当に気に入ったゲームは製品版を購入する傾向があり、マルチプラットフォーム作品であればXbox以外のストアを選ぶ可能性が高いという。
最近ゲームパスで無料配信が始まった『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』にしても、DFCのオフィスでは何人かがNintendo Switch版を20ドル(日本では税込1,980円)で買ったとのこと。40時間以上も楽しめるなら20ドルなんて大したことない、というわけだ。
つまり、ゲームパスほど多くのゲームを提供すると、MSにとっては支出が大幅に増えるばかりか、本来は売れるはずだった製品版の売り上げという「確立した大きな収入源」を手放さなければならなくなる、と分析されている。
それに対して任天堂の「Nintendo Switch Online」(以下「スイッチオンライン」)は、料金がさほど高くないが、サービス内容もそれにあわせて、ファミコンほかレトロゲームに加えて(拡張オプションの「+追加パック」コースでは)『マリオカート8』や『とびだせ どうぶつの森』などの追加コンテンツを提供しているに過ぎない。
このあり方が、任天堂のハードウェアとソフトウェアの販売というビジネスモデル全体を強化しているとのこと。『マリオカート8』と『とびだせ どうぶつの森』はそれぞれ4800万本と4000万本をフルプライスで販売しており、つまり2本だけでゲームパス1年以上の収益を上げていると推定されている。
DFCの結論は、ゲームの定額サービスは「付加価値の提案」として上手く機能するということだ。ゲームパスは年間200ドル以下であらゆる種類のゲームにアクセスでき、PC用のGPUカードやスイッチ、PlayStation製品に使うお金を貯められる。しかし任天堂のスイッチオンラインは、スイッチ本体とスイッチ専用ゲームソフトの売上を後押しする、というわけだ。
また、ゲーム定額サービスを「ビデオゲームのNetflix」と呼ぶことは大きな間違いだとも指摘されている。Netflixのような動画ストリーミングは、ユーザーは一度番組を見ると、たいていすぐに次の番組へと移ってしまう。これに対してゲームは、ある1つのゲームを長期的にやり込む傾向があり、ゲームパスのようにライブラリ入れ替え制と相性が良くない、との趣旨が語られている。
ゲームパスは消費者にとって非常にコストパフォーマンスに優れたサービスではあるが、企業の持続可能性の観点から見れば、スイッチオンラインこそが絶妙なバランスなのかもしれない。
Source: DFC Intelligence
via: Wccftech
ゲーム業界の市場調査会社DFC Intelligenceは、最近のMSの収益に、ゲームパスがあまり貢献していないようだと指摘している。
直近の2023年度第2四半期決算を見ても、Xboxハードウェアの売上は前年同期比13%減、コンテンツおよびサービスは同12%減という数字が何よりそれを裏付けている。ゲームパスの加入者数はさらに伸びているにもかかわらず、である。
DFCによれば、ゲームパスの問題はXboxハードの売上に貢献していない(Windows PC向けや、端末を選ばないクラウドゲーミングも含まれる)一方で、収益を上げるために多くのコンテンツを提供しすぎていることだという。
ゲームパスが1億人の加入者を獲得できれば状況は変わるとしても、それは絵空事に近い。買収が難航しているアクティビジョン・ブリザードのユーザー数を加えてもはるかに足りず、トップセラーの『Call of Duty』シリーズも3000万本がせいぜいである。
しかも、ゲームパスは定期的にゲームカタログの一部を入れ替えるため、プレイヤーが遊び終える前に配信が終わってしまうことがある。そして消費者が本当に気に入ったゲームは製品版を購入する傾向があり、マルチプラットフォーム作品であればXbox以外のストアを選ぶ可能性が高いという。
最近ゲームパスで無料配信が始まった『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』にしても、DFCのオフィスでは何人かがNintendo Switch版を20ドル(日本では税込1,980円)で買ったとのこと。40時間以上も楽しめるなら20ドルなんて大したことない、というわけだ。
つまり、ゲームパスほど多くのゲームを提供すると、MSにとっては支出が大幅に増えるばかりか、本来は売れるはずだった製品版の売り上げという「確立した大きな収入源」を手放さなければならなくなる、と分析されている。
それに対して任天堂の「Nintendo Switch Online」(以下「スイッチオンライン」)は、料金がさほど高くないが、サービス内容もそれにあわせて、ファミコンほかレトロゲームに加えて(拡張オプションの「+追加パック」コースでは)『マリオカート8』や『とびだせ どうぶつの森』などの追加コンテンツを提供しているに過ぎない。
このあり方が、任天堂のハードウェアとソフトウェアの販売というビジネスモデル全体を強化しているとのこと。『マリオカート8』と『とびだせ どうぶつの森』はそれぞれ4800万本と4000万本をフルプライスで販売しており、つまり2本だけでゲームパス1年以上の収益を上げていると推定されている。
DFCの結論は、ゲームの定額サービスは「付加価値の提案」として上手く機能するということだ。ゲームパスは年間200ドル以下であらゆる種類のゲームにアクセスでき、PC用のGPUカードやスイッチ、PlayStation製品に使うお金を貯められる。しかし任天堂のスイッチオンラインは、スイッチ本体とスイッチ専用ゲームソフトの売上を後押しする、というわけだ。
また、ゲーム定額サービスを「ビデオゲームのNetflix」と呼ぶことは大きな間違いだとも指摘されている。Netflixのような動画ストリーミングは、ユーザーは一度番組を見ると、たいていすぐに次の番組へと移ってしまう。これに対してゲームは、ある1つのゲームを長期的にやり込む傾向があり、ゲームパスのようにライブラリ入れ替え制と相性が良くない、との趣旨が語られている。
ゲームパスは消費者にとって非常にコストパフォーマンスに優れたサービスではあるが、企業の持続可能性の観点から見れば、スイッチオンラインこそが絶妙なバランスなのかもしれない。
Source: DFC Intelligence
via: Wccftech
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