ニュース
HOME > ニュース > Gadgetニュース
公開日 2023/05/16 13:52
英規制当局「クラウドゲーミングの生殺与奪を握らせるな」
EU、マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収を条件付きで承認
多根清史
マイクロソフトがゲームパブリッシャー大手アクティビジョン・ブリザードを687億ドルで買収する計画につき、EU規制当局が承認すると発表した。最近マイクロソフトが打ち出したクラウドゲーミングに関するコミットメントが守られるのであれば、との条件つきである。
欧州委員会は、マイクロソフトが「ソニーへのアクティビジョン製ゲームの供給を拒否するインセンティブはない」とした上で「仮にマイクロソフトがPlayStationからアクティビジョンのゲームを引き上げると決めたとしても、家庭用ゲーム機市場の競争を著しく害することはない」と判断を下した。
主な焦点の1つだった超人気IP「Call of Duty」につき、少なくともEEA(欧州経済領域)内では他の地域よりも人気が低いため、ソニーも挽回しようがあるという趣旨だ。この件に関しては、英規制当局の競争市場庁(CMA)もほぼ同様の見解を示していた。
それ以上にEU規制当局が問題視していたのが、この買収によりクラウドゲーミングサービスを通じて、マイクロソフトが「PC用OS市場におけるWindowsの地位を強化する」ことだ。すなわちWindows以外のOSを使ったPC向けにアクティビション製ゲームの提供を拒むことで、競争を歪めるとの恐れだ。
しかし、マイクロソフトは(自社のXbox Cloud Gamingにとっての)競合他社に、「Call of Duty」ほかアクティビジョンのタイトルを供給し続ける10年間のライセンス契約を次々と締結していた。今年2月にはNVIDIAのGeForce Now、3月にはウクライナのBoosteroid、さらには日本のユビタスも対象となっていたほどだ。
これを受けて欧州委員会は、EU諸国のユーザーが、現在および将来のアクティビジョン・ブリザードのPCおよび家庭用ゲームにつき「選択した任意のクラウドゲームストリーミングサービス」を通じてプレイできる無償ライセンスと、クラウドゲーム事業者にEU市場でこれらのゲームをストリーミングできる無償ライセンスを自動的に提供するようマイクロソフトに要請。同社はこれを承諾し、今後は全世界にも適用することになるという。
要は今後アクティビジョンのゲームを買った人は、どの会社のクラウドゲーミングでも遊べるとともに、クラウドゲーム事業者もライセンス料を支払わずにストリーミングできるということだ。
実際にクラウドゲーム事業者からは、肯定的な意見が寄せられたとのこと。こうした市場の声を考慮し、マイクロソフトが「コミットメントを完全に遵守すること」を条件として、買収を承認した次第だ。
この判断は、まさに「Cloudゲーム市場での競争を阻害する」との懸念から、買収計画の阻止を発表した英CMAの判断と真っ向から相反するものだ。さっそくCMAは今回の件につき、声明を発表している。
それによれば、欧州委員会が受け入れた提案は「今後10年間、マイクロソフトがこの市場の条件を設定することを可能にする」とのこと。すなわち「自由で開かれた競争力のある市場を、マイクロソフトが販売するゲーム、販売先のプラットフォーム、販売条件につき規制を受け続ける市場に置き換える」と主張。そして欧州委員会が異なる見解を示す権利を認識して尊重しつつ、自らの決定は変えないと述べている。
ほか買収計画について、マイクロソフトは米FTC(連邦取引委員会)からも差し止め訴訟を起こされている。EUの条件付き承認により1つの山を越えたには違いないが、まだ英米という2つの大きな山が残っているようだ。
Source: European Commission
via: The Verge
欧州委員会は、マイクロソフトが「ソニーへのアクティビジョン製ゲームの供給を拒否するインセンティブはない」とした上で「仮にマイクロソフトがPlayStationからアクティビジョンのゲームを引き上げると決めたとしても、家庭用ゲーム機市場の競争を著しく害することはない」と判断を下した。
主な焦点の1つだった超人気IP「Call of Duty」につき、少なくともEEA(欧州経済領域)内では他の地域よりも人気が低いため、ソニーも挽回しようがあるという趣旨だ。この件に関しては、英規制当局の競争市場庁(CMA)もほぼ同様の見解を示していた。
それ以上にEU規制当局が問題視していたのが、この買収によりクラウドゲーミングサービスを通じて、マイクロソフトが「PC用OS市場におけるWindowsの地位を強化する」ことだ。すなわちWindows以外のOSを使ったPC向けにアクティビション製ゲームの提供を拒むことで、競争を歪めるとの恐れだ。
しかし、マイクロソフトは(自社のXbox Cloud Gamingにとっての)競合他社に、「Call of Duty」ほかアクティビジョンのタイトルを供給し続ける10年間のライセンス契約を次々と締結していた。今年2月にはNVIDIAのGeForce Now、3月にはウクライナのBoosteroid、さらには日本のユビタスも対象となっていたほどだ。
これを受けて欧州委員会は、EU諸国のユーザーが、現在および将来のアクティビジョン・ブリザードのPCおよび家庭用ゲームにつき「選択した任意のクラウドゲームストリーミングサービス」を通じてプレイできる無償ライセンスと、クラウドゲーム事業者にEU市場でこれらのゲームをストリーミングできる無償ライセンスを自動的に提供するようマイクロソフトに要請。同社はこれを承諾し、今後は全世界にも適用することになるという。
要は今後アクティビジョンのゲームを買った人は、どの会社のクラウドゲーミングでも遊べるとともに、クラウドゲーム事業者もライセンス料を支払わずにストリーミングできるということだ。
実際にクラウドゲーム事業者からは、肯定的な意見が寄せられたとのこと。こうした市場の声を考慮し、マイクロソフトが「コミットメントを完全に遵守すること」を条件として、買収を承認した次第だ。
この判断は、まさに「Cloudゲーム市場での競争を阻害する」との懸念から、買収計画の阻止を発表した英CMAの判断と真っ向から相反するものだ。さっそくCMAは今回の件につき、声明を発表している。
それによれば、欧州委員会が受け入れた提案は「今後10年間、マイクロソフトがこの市場の条件を設定することを可能にする」とのこと。すなわち「自由で開かれた競争力のある市場を、マイクロソフトが販売するゲーム、販売先のプラットフォーム、販売条件につき規制を受け続ける市場に置き換える」と主張。そして欧州委員会が異なる見解を示す権利を認識して尊重しつつ、自らの決定は変えないと述べている。
ほか買収計画について、マイクロソフトは米FTC(連邦取引委員会)からも差し止め訴訟を起こされている。EUの条件付き承認により1つの山を越えたには違いないが、まだ英米という2つの大きな山が残っているようだ。
Source: European Commission
via: The Verge
- トピック
- Gadget Gate