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公開日 2024/03/27 19:52
想像できないほど短時間の事象を撮影可能
なんと「秒間156.3兆コマ」の超ハイスピードカメラ、カナダの研究者らが開発
Munenori Taniguchi
カナダのケベック先端科学技術大学院大学(INRS)の研究者が、1秒間に156.3兆コマという想像を絶する高速度撮影が可能なカメラを開発したと、Nature Communications誌に報告した。
撮影速度が高ければ高いほど、通常の速度で再生したときの映像はスローになる。近年、スマートフォンに搭載されるカメラで撮影できるスローモーションカメラは、秒間数百コマ(数百fps)というオーダーで動作する物がほとんどだ。またプロ仕様では数千fpsというものもがあるが、研究者が開発したものは、これらとは比較にならないfpsレートを持つ。
超高速撮影技術は、2014年に開発した超高速圧縮写真撮影法(CUP)と称する技術をベースに、より高速化したものが開発されてきた。CUPの技術はまず、頭に「Trillion:兆」を意味するTを追加したT-CUPと呼ばれる最大10兆fpsの技術に進化し、続く超高速圧縮スペクトル写真撮影法 (CUSP) と呼ぶバージョンで最大70兆fpsにまで到達した。
そして今回、研究者たちはそれをさらに突き詰め、1秒間に156兆3000億フレームという驚異的な記録を打ち立てた。この新しいカメラシステムは、Swept coded aperture real-time femtophotography(SCARF)と呼ばれる技術を採用する。直訳すると「掃引符号化絞りリアルタイム・フェムト写真」となるこの技術は、従来の技術では見ることができないほど高速に変化する現象を捉えることが可能だ。一例として 合金における超高速消磁現象や、半導体の過渡吸収といった現象、生きた細胞内を移動する衝撃波のようなものも含まれる。
SCARFでの撮影は、時間的に引き伸ばし(チャープし)た超短パルスレーザー光を撮像対象に当てて透過させることで機能する。パルスは虹のように様々な色に分かれて順番に撮像対象を透過していくため、まず赤の波長が事象をとらえ、続いてオレンジ、黄色、そして最終的に紫へと波長が変わっていく。この色の変化の間に流れるわずかな時間の差が、それぞれのフレーム(コマ)の違いになる。
この光パルスはその後、集光されて光学的な処理の後、エンコード用コンポーネントを経てCCDセンサーに到達する。そして最終的にコンピューターによって画像に再構成される。
研究者らは、この新しい超高速現象捕捉技術が物理学、生物学、化学、材料科学、工学などの広範な分野で役立つと述べている。ただ、われわれ一般人がこの技術を搭載したスマートフォンやビデオカメラを持つことは、おそらくないはずだ。
Source: Nature Communications, INRS
via: Interesting Engineering
撮影速度が高ければ高いほど、通常の速度で再生したときの映像はスローになる。近年、スマートフォンに搭載されるカメラで撮影できるスローモーションカメラは、秒間数百コマ(数百fps)というオーダーで動作する物がほとんどだ。またプロ仕様では数千fpsというものもがあるが、研究者が開発したものは、これらとは比較にならないfpsレートを持つ。
超高速撮影技術は、2014年に開発した超高速圧縮写真撮影法(CUP)と称する技術をベースに、より高速化したものが開発されてきた。CUPの技術はまず、頭に「Trillion:兆」を意味するTを追加したT-CUPと呼ばれる最大10兆fpsの技術に進化し、続く超高速圧縮スペクトル写真撮影法 (CUSP) と呼ぶバージョンで最大70兆fpsにまで到達した。
そして今回、研究者たちはそれをさらに突き詰め、1秒間に156兆3000億フレームという驚異的な記録を打ち立てた。この新しいカメラシステムは、Swept coded aperture real-time femtophotography(SCARF)と呼ばれる技術を採用する。直訳すると「掃引符号化絞りリアルタイム・フェムト写真」となるこの技術は、従来の技術では見ることができないほど高速に変化する現象を捉えることが可能だ。一例として 合金における超高速消磁現象や、半導体の過渡吸収といった現象、生きた細胞内を移動する衝撃波のようなものも含まれる。
SCARFでの撮影は、時間的に引き伸ばし(チャープし)た超短パルスレーザー光を撮像対象に当てて透過させることで機能する。パルスは虹のように様々な色に分かれて順番に撮像対象を透過していくため、まず赤の波長が事象をとらえ、続いてオレンジ、黄色、そして最終的に紫へと波長が変わっていく。この色の変化の間に流れるわずかな時間の差が、それぞれのフレーム(コマ)の違いになる。
この光パルスはその後、集光されて光学的な処理の後、エンコード用コンポーネントを経てCCDセンサーに到達する。そして最終的にコンピューターによって画像に再構成される。
研究者らは、この新しい超高速現象捕捉技術が物理学、生物学、化学、材料科学、工学などの広範な分野で役立つと述べている。ただ、われわれ一般人がこの技術を搭載したスマートフォンやビデオカメラを持つことは、おそらくないはずだ。
Source: Nature Communications, INRS
via: Interesting Engineering
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