公開日 2016/12/21 11:02
高橋敦が音質傾向をチェック
【レビュー】JVC新レーベル「N_W」第一弾イヤホン“SOLIDEGE”「HA-FD7」を聴く
高橋 敦
JVCが新たに提案する新レーベル「N_W」の第一弾として登場したイヤホンがこの「HA-FD7」。また「SOLIDEGE」シリーズにもカテゴライズされる。ライフスタイルへの寄り添い方やそのためのデザイン性において、同社の新たなアプローチを具現化しているモデルのひとつだ。
実際に、「質感の高いソリッドなデザインと高解像かつキレのあるソリッドなサウンド」という「SOLIDEGE」コンセプトの方は特に、このモデルを一目見て、そして、しばらく聴けば多くの方が「こういうことか」と納得することかと思う。
いちばんわかりやすいのはハウジングだろう。円筒形でコンパクトな筐体からは、金属ならではの密度や凝縮感が伝わってくる。まさにソリッド。スピン加工による仕上げの精密感もそれを高めているポイントだ。高剛性ステンレス無垢材削り出しハウジングは不要振動を抑える音質効果も担っている。
イヤーピースを外すと見えやすくなるが、ノズル先端にも注目。紙や樹脂ではなく、金属をパンチングしてフィルターにしてある。イヤーピースとケーブル周りの他は全て金属に統一することで、このモデルのクールな雰囲気はさらに高められている印象だ。
さてしかしそのフィルター部分。デザイン性からのその造りではないかもしれない。このモデルには、ドライバーをハウジング先端に搭載することで音を耳の奥に直接届けて音の鮮度を高めるという設計手法、「トップマウント構造」の最新版が採用されているのだ。なので先ほどは便宜上「ノズル」と呼んだが、実際はノズル先端にドライバーが内蔵されているのではなく、ノズル先端はドライバー自体の外装そのもの。
という構造であるので、音響はもちろん、強度などの要因も含めての判断で、あの金属パンチングになっているのかもしれない。理由は何にせよ、結果的にかっこいいことに変わりはないが。
そのドライバーであるが、このところ採用例の増えているチタンコート振動板を本機も採用。伝搬速度に優れたチタンコートによって繊細なニュアンスや音の艶といった描写を高めているとのことだ。
他、イヤーピースは新トップマウント構造に合わせて設計された新型。ケーブルは溝を入れて絡みにくくしたグルーヴケーブル。そしてブルー、ブラック、グレー、ブラウンと、金属のシックな質感を際立たせるカラーバリエーションも用意している。
さて、そのサウンドを聴くと……意図したコンセプトをこれほど見事に具現化できているのはすごいなと感心させられた。たしかにこれは「高解像かつキレのあるソリッドなサウンド」だ。特に低域側での「ソリッド」さが際立つ。
ウイスパー感のある女性ボーカルとロックなリズムセクションによるポップス、相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」は、ステージの照明を少し落としたようなダークな雰囲気で再生。そのダークな空間だからこそ、そこにそれぞれの音が浮かび上がる陰影、立体感が生える。浮かび上がるボーカルやシンバル、ギターは、刺さる成分をほぐしてしっとりとした感触。気候やロックでいうと、カリフォルニアではなくロンドンのような雰囲気のサウンドだ。
「ソリッド」ということではベースの感触が素晴らしい。ドーンと広く広がる豊かさではなく、それと同等のエネルギーをぎゅっと凝縮したかのような、コンパクトでありつつ力感に満ちた音だ。暴れるパワフルさではなく、しっかりと制御された力強さで落ち着いたドライブ感を生み出してくれる。
他に印象的だった曲はglobe「DEPARTURES(Remode 2 Ver.)」。女性ボーカルにヒップホップ的なリズムセクションを組み合わせた、現代的なアレンジ。ヒップホップ的なリズムにはドライな空気感のイヤホンが合う……と思っていたのだが、そういうタイプではないこのモデルが意外にもハマった。
ご存知のように冬の歌だが、このモデルはそれを冬の乾いた空気ではなく、冬の雨上がりのような、しっとりとした空気感で描き出してくれる。特に顕著なのはボーカルだが、艶やかで重みの詰まったベース、抜けすぎず少し詰まったニュアンスも含んで響くスネアドラムなど、全体に湿度を含んで少し重みのある空気感だ。やはりロンドン的、いや日本的な情感とも思える。何れにしても好ましい表現だ。
新レーベル新シリーズの第一弾がこの完成度。いや第一弾だからこそ、その意義の全てを体現するものとしてこの完成度でなくてはならなかったのかもしれない。ルックス、サウンド、コンセプト。全てに凝縮感のあるイヤホンだ。
実際に、「質感の高いソリッドなデザインと高解像かつキレのあるソリッドなサウンド」という「SOLIDEGE」コンセプトの方は特に、このモデルを一目見て、そして、しばらく聴けば多くの方が「こういうことか」と納得することかと思う。
いちばんわかりやすいのはハウジングだろう。円筒形でコンパクトな筐体からは、金属ならではの密度や凝縮感が伝わってくる。まさにソリッド。スピン加工による仕上げの精密感もそれを高めているポイントだ。高剛性ステンレス無垢材削り出しハウジングは不要振動を抑える音質効果も担っている。
イヤーピースを外すと見えやすくなるが、ノズル先端にも注目。紙や樹脂ではなく、金属をパンチングしてフィルターにしてある。イヤーピースとケーブル周りの他は全て金属に統一することで、このモデルのクールな雰囲気はさらに高められている印象だ。
さてしかしそのフィルター部分。デザイン性からのその造りではないかもしれない。このモデルには、ドライバーをハウジング先端に搭載することで音を耳の奥に直接届けて音の鮮度を高めるという設計手法、「トップマウント構造」の最新版が採用されているのだ。なので先ほどは便宜上「ノズル」と呼んだが、実際はノズル先端にドライバーが内蔵されているのではなく、ノズル先端はドライバー自体の外装そのもの。
という構造であるので、音響はもちろん、強度などの要因も含めての判断で、あの金属パンチングになっているのかもしれない。理由は何にせよ、結果的にかっこいいことに変わりはないが。
そのドライバーであるが、このところ採用例の増えているチタンコート振動板を本機も採用。伝搬速度に優れたチタンコートによって繊細なニュアンスや音の艶といった描写を高めているとのことだ。
他、イヤーピースは新トップマウント構造に合わせて設計された新型。ケーブルは溝を入れて絡みにくくしたグルーヴケーブル。そしてブルー、ブラック、グレー、ブラウンと、金属のシックな質感を際立たせるカラーバリエーションも用意している。
さて、そのサウンドを聴くと……意図したコンセプトをこれほど見事に具現化できているのはすごいなと感心させられた。たしかにこれは「高解像かつキレのあるソリッドなサウンド」だ。特に低域側での「ソリッド」さが際立つ。
ウイスパー感のある女性ボーカルとロックなリズムセクションによるポップス、相対性理論「たまたまニュータウン (2DK session)」は、ステージの照明を少し落としたようなダークな雰囲気で再生。そのダークな空間だからこそ、そこにそれぞれの音が浮かび上がる陰影、立体感が生える。浮かび上がるボーカルやシンバル、ギターは、刺さる成分をほぐしてしっとりとした感触。気候やロックでいうと、カリフォルニアではなくロンドンのような雰囲気のサウンドだ。
「ソリッド」ということではベースの感触が素晴らしい。ドーンと広く広がる豊かさではなく、それと同等のエネルギーをぎゅっと凝縮したかのような、コンパクトでありつつ力感に満ちた音だ。暴れるパワフルさではなく、しっかりと制御された力強さで落ち着いたドライブ感を生み出してくれる。
他に印象的だった曲はglobe「DEPARTURES(Remode 2 Ver.)」。女性ボーカルにヒップホップ的なリズムセクションを組み合わせた、現代的なアレンジ。ヒップホップ的なリズムにはドライな空気感のイヤホンが合う……と思っていたのだが、そういうタイプではないこのモデルが意外にもハマった。
ご存知のように冬の歌だが、このモデルはそれを冬の乾いた空気ではなく、冬の雨上がりのような、しっとりとした空気感で描き出してくれる。特に顕著なのはボーカルだが、艶やかで重みの詰まったベース、抜けすぎず少し詰まったニュアンスも含んで響くスネアドラムなど、全体に湿度を含んで少し重みのある空気感だ。やはりロンドン的、いや日本的な情感とも思える。何れにしても好ましい表現だ。
新レーベル新シリーズの第一弾がこの完成度。いや第一弾だからこそ、その意義の全てを体現するものとしてこの完成度でなくてはならなかったのかもしれない。ルックス、サウンド、コンセプト。全てに凝縮感のあるイヤホンだ。