公開日 2017/04/28 16:01
海上忍のラズパイ・オーディオ通信(29)
【ラズパイオーディオ】ついに完成!ヘッドフォン祭でアルミ削り出しケースとDACボード試作品を公開
海上 忍
前回、筆者プロデュースによるDACボード換装対応Raspberry Pi用オリジナルケースについて、近日中にお披露目の場を設けると書いたが、その「近日」とは……4月29日、30日。そう、中野サンプラザで開催される「春のヘッドフォン祭2017」にて、試作を進めてきたオーディオケースとDACボードを初公開するのだ。もちろん、ヘッドホン祭なだけに試聴していただくための準備も進行中。今回は、その見どころ・聴きどころを紹介したい。
■金属製ケース
ヘッドフォン祭で初披露するケースは、2月末に設立計画を発表した「ワンボードオーディオ・コンソーシアム」で策定作業を進めている規格のうち、π-A1規格(仮称)を満たす最初の製品となるべく開発を進めてきたもの。市販のRaspberry Pi 2/3 Model Bに拡張ボード(HAT)を装着した状態を前提とし、どちらかといえばポータブルでの利用を念頭に置いている。
π-A1の仕様は、機構図が公開されているRaspberry Pi 2/3 Model BおよびHAT規格が基礎としてあるため、それほど複雑ではない。ただし、拡張ボードの端子にアクセスできるようケースには開口部を設けなければならず、その寸法をどうするかが鍵といってもいい。Raspberry Pi財団が策定したHAT規格には高さ方向の縛りがないため、基板からの高さに制限を設けなければならないが、その点を除けばサイズはおのずと決まってくる。
だから最大の見どころは、「ケースとしての扱いやすさ」にあると言っていい。前面(microSDカードスロット上部)と側面(HDMI端子上部)に設けられた開口部、そこを塞ぐ着脱可能なパネルの機構をご覧いただきたい。自作PCライクにDACボードを取っ替え引っ替えできることが、π-A1規格の存在意義だからだ。
また、コンソーシアム規格とは直接関係ないが、材質にも注目していただきたい。Raspberry Pi用ケースの多くは樹脂製だが、今回の試作品は……総アルミ製、しかも削り出し。製造コストは高くつくが、電磁ノイズ対策やシャーシアースをとることができる。オーディオ機器としての質感も、樹脂製とは段違いだ。重量が増すぶん、ケーブルの重さでケースが浮いてしまうこともない(ラズパイ・オーディオ経験者ならばわかるはず)。
今回の試作品では間に合わなかったが、Raspberry Pi本体とDACボードの間に「仕切り板」も用意する。材質は検討中だが、各種ノイズの抑制につなげるべく金属製にする予定だ。スペーサー(Raspberry Pi本体とDACボードを重ねる4本の金属柱)との間にどのようにレイアウトするか、機構的な課題が残っているものの、導入すればシールドとしての効果は大きいはずで、実現に向け丁寧にフォローしていくつもりだ。
■ここに来れば試聴できる! バランス接続の「T1 2nd」も!
「春のヘッドフォン祭2017」での展示は、販売元・バリュートレード社のブース(14F:クレセント)で行う。もちろん筆者は2日間フル出場するので、興味がある方はぜひご来場いただきたい。
試聴用のヘッドホンは持参いただいて結構だが、同じくワンボードオーディオ・コンソーシアムのメンバーであるTEACの協力により、beyerdynamicの「T1 2nd」を用意している。ORB社に提供いただいた「Clear force 3.5φ Slim body double 2.5φ」にリケーブル、2.5mmバランス接続に対応した特別仕様だ。ぜひ、この構成によるサウンドを堪能いただきたい。
ケースとDACボードの発売日や販売経路は未定だが、これから音質面でのブラッシュアップと問題箇所の修正を行い、1〜2ヶ月以内には予約受付を開始できそう。筆者は全体をプロデュースする役割で販売には直接関与しないため、この場で言及する立場にはないが、正式な発表は後日バリュートレード社側から行われるはずだ。
筆者プロデュースのシステム以外にも、ブライトーン社のRaspberry Pi用DACボード最新版「Terra-Berry2」の展示も予定している。この製品について同社代表・福林氏に訊ねたところ、4層の高密度設計とMCUは前代同様(SRCのAK4137でI2Sを入力、アップサンプリングのうえDACのAK4490を経由して出力)だが、電源回路を徹底的に見直しデジタル/アナログの分離をさらに強化、アナログ部にあるオペアンプの電源調整、AK4490の基準電源見直しなどを実施したという。
なお、同社はワンボードオーディオ・コンソーシアムのメンバーであり、このTerra-Berry2もπ-A1規格に準拠した拡張カードとして、ケース開口部に沿って端子類をレイアウトするなどの調整が施される見込みだ。発売日など詳細は、同社の発表(関連ニュース)でご確認いただきたい。
■金属製ケース
ヘッドフォン祭で初披露するケースは、2月末に設立計画を発表した「ワンボードオーディオ・コンソーシアム」で策定作業を進めている規格のうち、π-A1規格(仮称)を満たす最初の製品となるべく開発を進めてきたもの。市販のRaspberry Pi 2/3 Model Bに拡張ボード(HAT)を装着した状態を前提とし、どちらかといえばポータブルでの利用を念頭に置いている。
π-A1の仕様は、機構図が公開されているRaspberry Pi 2/3 Model BおよびHAT規格が基礎としてあるため、それほど複雑ではない。ただし、拡張ボードの端子にアクセスできるようケースには開口部を設けなければならず、その寸法をどうするかが鍵といってもいい。Raspberry Pi財団が策定したHAT規格には高さ方向の縛りがないため、基板からの高さに制限を設けなければならないが、その点を除けばサイズはおのずと決まってくる。
だから最大の見どころは、「ケースとしての扱いやすさ」にあると言っていい。前面(microSDカードスロット上部)と側面(HDMI端子上部)に設けられた開口部、そこを塞ぐ着脱可能なパネルの機構をご覧いただきたい。自作PCライクにDACボードを取っ替え引っ替えできることが、π-A1規格の存在意義だからだ。
また、コンソーシアム規格とは直接関係ないが、材質にも注目していただきたい。Raspberry Pi用ケースの多くは樹脂製だが、今回の試作品は……総アルミ製、しかも削り出し。製造コストは高くつくが、電磁ノイズ対策やシャーシアースをとることができる。オーディオ機器としての質感も、樹脂製とは段違いだ。重量が増すぶん、ケーブルの重さでケースが浮いてしまうこともない(ラズパイ・オーディオ経験者ならばわかるはず)。
今回の試作品では間に合わなかったが、Raspberry Pi本体とDACボードの間に「仕切り板」も用意する。材質は検討中だが、各種ノイズの抑制につなげるべく金属製にする予定だ。スペーサー(Raspberry Pi本体とDACボードを重ねる4本の金属柱)との間にどのようにレイアウトするか、機構的な課題が残っているものの、導入すればシールドとしての効果は大きいはずで、実現に向け丁寧にフォローしていくつもりだ。
■ここに来れば試聴できる! バランス接続の「T1 2nd」も!
「春のヘッドフォン祭2017」での展示は、販売元・バリュートレード社のブース(14F:クレセント)で行う。もちろん筆者は2日間フル出場するので、興味がある方はぜひご来場いただきたい。
試聴用のヘッドホンは持参いただいて結構だが、同じくワンボードオーディオ・コンソーシアムのメンバーであるTEACの協力により、beyerdynamicの「T1 2nd」を用意している。ORB社に提供いただいた「Clear force 3.5φ Slim body double 2.5φ」にリケーブル、2.5mmバランス接続に対応した特別仕様だ。ぜひ、この構成によるサウンドを堪能いただきたい。
ケースとDACボードの発売日や販売経路は未定だが、これから音質面でのブラッシュアップと問題箇所の修正を行い、1〜2ヶ月以内には予約受付を開始できそう。筆者は全体をプロデュースする役割で販売には直接関与しないため、この場で言及する立場にはないが、正式な発表は後日バリュートレード社側から行われるはずだ。
筆者プロデュースのシステム以外にも、ブライトーン社のRaspberry Pi用DACボード最新版「Terra-Berry2」の展示も予定している。この製品について同社代表・福林氏に訊ねたところ、4層の高密度設計とMCUは前代同様(SRCのAK4137でI2Sを入力、アップサンプリングのうえDACのAK4490を経由して出力)だが、電源回路を徹底的に見直しデジタル/アナログの分離をさらに強化、アナログ部にあるオペアンプの電源調整、AK4490の基準電源見直しなどを実施したという。
なお、同社はワンボードオーディオ・コンソーシアムのメンバーであり、このTerra-Berry2もπ-A1規格に準拠した拡張カードとして、ケース開口部に沿って端子類をレイアウトするなどの調整が施される見込みだ。発売日など詳細は、同社の発表(関連ニュース)でご確認いただきたい。