公開日 2017/07/10 14:49
CDプレーヤー
HEGEL
MOHICAN
¥500,000(税抜)
ヘーゲルのモデルは、いずれも北欧らしいシンプルなデザインが印象的だ。すべてのモデルラインで共通する特徴は、色付けを抑えた抜けるような鮮度の高いサウンドで、躍動感を聴かせてくれることだ。搭載する技術にもその方向性が見られる。歪みを大幅に低減する「サウンド・エンジン」や強力で高品位なアナログ電源は、コア技術の一つだ。
そのヘーゲルは今回「MOHICAN」というネーミングのCDプレーヤーを発売。名前の由来は、映画化もされた小説『The Last of the Mohicans』に由来し、同社最後のCDプレーヤーとなる。このモデルの細部を見たが、本機で使用する旭化成の高性能32bitDACチップ「AK4490」のDA変換特性を最大限に発揮する徹底した技術が見てとることができ、USB再生もせず、あくまでCDから瑞々しい躍動感に溢れたサウンドを実現しようとした意図が理解できた。
内部を説明しよう。センターには世界で実績のあるサンヨー製CDドライブメカを採用し、強固に設置される。その下には、独自のサーボ回路を使用した制御ボードを配置。ここで高精度に読み取られた信号が、左のDA変換を含めたアナログ回路に伝送される。余分な伝送距離と外来ノイズを避け、前述のAK4490に内蔵するデジタルレシーバーと直結し、ジッター排除のために前述の「サウンド・エンジン」も使用している。
このDACチップでは256倍という高いオーバーサンプリングが行われ、豊かな倍音と音のトランジェント向上に寄与する。ここでDA変換されたアナログ信号は、高品位なオペアンプを使った2段構成のローパスフィルターを通過して、アナログ出力される。
これらを支える電源も充実している。右にトロイダルトランスとNOVER社製の高音質平滑コンデンサーを3個使用するアナログ電源を配置し、各部の基準電圧を生成する。左のアナログ基板上にも平滑コンデンサー用いた電源を配置し、DACチップやオペアンプにノイズレスのクリーンな電源供給を行い、各素子の性能を最大限に発揮させる。同社が最後のCDプレーヤーとしてリリースしたことがよく理解できる。
プーランクのピアノソナタを聴いたが、響板の響に厚みがあり、透明度の高い倍音が空間に舞ったことに感激。弱音も実に美しい。ヘルゲ・リエン・トリオの「スパイラル・サークル」のテイクファイブは圧巻。ドラムとシンバルは、実に俊敏で色付けなくダイナミックに轟く。驚くほど音の鮮度が高い。
ピアノは前述と同様の質感で、驚かされたのは、4分過ぎからのベースだ。おどろおどろしいほど、ゴリゴリとした胴の響きを示し、中低音が迫ってくる。しかも、スタジオ機器を彷彿とさせる高解像度なスケール感を体験する。本機は、この技術と音質ゆえにCDのハードリスナーにとっては、素晴らしいモデルとなるであろう。
(角田郁雄)
Specifications
●DAC解像度:16bit/44.1kHz ●出力シグナルレベル:2.6VRMS(at 0dBFS)●アナログ出力:RCA×1、XLR×1 ●デジタル出力:BNC(75Ω)×1 ●周波数特性:0Hz〜50kHz ●ノイズフロアー:-145dB ●出力インピーダンス:22Ω(アンバランス)、44Ω(バランス)●歪率:0.0015%以下 ●外形寸法:430W×100H×290Dmm ●質量:6.5kg ●カラー:ブラック、シルバー ●取り扱い:?エレクトリ
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」164号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから
技術と音質にこだわりノウハウを全て投入
【製品批評】HEGEL「MOHICAN」 ー 素子の能力を最大に活かした同社最後のCDプレーヤー
角田郁雄CDプレーヤー
HEGEL
MOHICAN
¥500,000(税抜)
ヘーゲルのモデルは、いずれも北欧らしいシンプルなデザインが印象的だ。すべてのモデルラインで共通する特徴は、色付けを抑えた抜けるような鮮度の高いサウンドで、躍動感を聴かせてくれることだ。搭載する技術にもその方向性が見られる。歪みを大幅に低減する「サウンド・エンジン」や強力で高品位なアナログ電源は、コア技術の一つだ。
そのヘーゲルは今回「MOHICAN」というネーミングのCDプレーヤーを発売。名前の由来は、映画化もされた小説『The Last of the Mohicans』に由来し、同社最後のCDプレーヤーとなる。このモデルの細部を見たが、本機で使用する旭化成の高性能32bitDACチップ「AK4490」のDA変換特性を最大限に発揮する徹底した技術が見てとることができ、USB再生もせず、あくまでCDから瑞々しい躍動感に溢れたサウンドを実現しようとした意図が理解できた。
内部を説明しよう。センターには世界で実績のあるサンヨー製CDドライブメカを採用し、強固に設置される。その下には、独自のサーボ回路を使用した制御ボードを配置。ここで高精度に読み取られた信号が、左のDA変換を含めたアナログ回路に伝送される。余分な伝送距離と外来ノイズを避け、前述のAK4490に内蔵するデジタルレシーバーと直結し、ジッター排除のために前述の「サウンド・エンジン」も使用している。
このDACチップでは256倍という高いオーバーサンプリングが行われ、豊かな倍音と音のトランジェント向上に寄与する。ここでDA変換されたアナログ信号は、高品位なオペアンプを使った2段構成のローパスフィルターを通過して、アナログ出力される。
これらを支える電源も充実している。右にトロイダルトランスとNOVER社製の高音質平滑コンデンサーを3個使用するアナログ電源を配置し、各部の基準電圧を生成する。左のアナログ基板上にも平滑コンデンサー用いた電源を配置し、DACチップやオペアンプにノイズレスのクリーンな電源供給を行い、各素子の性能を最大限に発揮させる。同社が最後のCDプレーヤーとしてリリースしたことがよく理解できる。
プーランクのピアノソナタを聴いたが、響板の響に厚みがあり、透明度の高い倍音が空間に舞ったことに感激。弱音も実に美しい。ヘルゲ・リエン・トリオの「スパイラル・サークル」のテイクファイブは圧巻。ドラムとシンバルは、実に俊敏で色付けなくダイナミックに轟く。驚くほど音の鮮度が高い。
ピアノは前述と同様の質感で、驚かされたのは、4分過ぎからのベースだ。おどろおどろしいほど、ゴリゴリとした胴の響きを示し、中低音が迫ってくる。しかも、スタジオ機器を彷彿とさせる高解像度なスケール感を体験する。本機は、この技術と音質ゆえにCDのハードリスナーにとっては、素晴らしいモデルとなるであろう。
(角田郁雄)
Specifications
●DAC解像度:16bit/44.1kHz ●出力シグナルレベル:2.6VRMS(at 0dBFS)●アナログ出力:RCA×1、XLR×1 ●デジタル出力:BNC(75Ω)×1 ●周波数特性:0Hz〜50kHz ●ノイズフロアー:-145dB ●出力インピーダンス:22Ω(アンバランス)、44Ω(バランス)●歪率:0.0015%以下 ●外形寸法:430W×100H×290Dmm ●質量:6.5kg ●カラー:ブラック、シルバー ●取り扱い:?エレクトリ
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」164号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから
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