公開日 2017/08/23 13:22
モノラルパワーアンプ
ACCUPHASE
A-250
¥1,250,000(1台・税抜)
「A‐250」はアキュフェーズの最高級パワーアンプで、純A級動作方式のモノブロック型だ。読者には周知のことと思うが、同社のパワーアンプは純A級動作型(4機種)とAB級動作型(3機種)があり、双方にモノブロック型(2機種)とステレオ型(5機種)がラインアップされている。
本機A‐250は、これら全機種のフラッグシップモデルとしての位置づけだ。そして、本機は5年前の2012年に同社創立40周年記念モデルとして発売された「A‐200」の後継型である。
ただし、旧A‐200もパワーアンプとして究極の高度なスペックを保有していたわけで、A‐250が新製品だからといってそれをグンと上回ることなど今日ではあり得ない。とにかく、新旧のカタログスペックの違いはSN比の数値のわずかな違いでしかない。
具体的にはGain MAX時でA‐250は127dB(A‐200は126dB)。Gain ‐12dB時でA‐250は133dB(A‐200は132dB)であって、それぞれ1dBの差でしかない。この1dBのアップが最近のハイエンドオーディオでは極めて大きなスペック上の差異となるわけで、アキュフェーズは本機のみならず、今後ともこうした新旧モデルのスペックと格闘していくことになるわけだ。
なお、スペックとは別に信号経路の主要部品を金プレート化、電源部の電解コンデンサーの高音質化、これら以外の部品類についても試聴の繰り返しの中で再検討されているとのことである。さらにバーグラフ方式の出力メーターのバーそのものが旧型と比べてはるかに認識しやすくなっており表示方法も出力電圧に応じてレンジ(単位)が自動的に切り替わる「メーターオートレンジモード」が新開発されている。
本機の概要は、回路構成を含めてその多くが旧型と共通する。出力段はパワーMOSFETの10パラレル・プッシュプルのパワーユニット×2、合計20パラレル・プッシュプルという凄まじい純A級動作回路で100W(8Ω)/200W(4Ω)を発生。まさに、理論値通りの低負荷に対する出力直線性を持つ。
実は、本機A‐250については格別な興味をもって試聴した。何故なら5年間近くA‐200が私のレファレンスのパワーアンプだからだ。試聴は十分なエージングを施した後にスタートさせた。あえてひと言で聴こえについていえば、“大人の音になった”印象だ。これまでのA‐200は高分解能で、わずかにクールな方向性を聴かせた。それだけに若干の緊張感があった。A‐250はそのクールさと緊張感から解き放たれ、穏やかさの中にワイドバンドで繊細な音楽表現を感じる。ほとんど気のせいに近いが、SN比がアップしたことによるダイナミックレンジの拡大があるようにも感じている。いずれにせよ、世界最高水準のモノブロック・パワーアンプである。
(藤岡誠)
Specifications
●定格連続平均出力(20Hz〜20kHz):ノーマル使用時800W(1Ω、音楽信号に限る)、400W(2Ω)、200W(4Ω)、100W(8Ω、純A級出力領域は100W) ●全高調波歪率:0.05%(2Ω)、0.03%(4〜16Ω)●周波数特性:20Hz〜20kHz(+0 -0.2dB)●ゲイン(利得):28.0dB(GAINスイッチ:MAX時)●負荷インピーダンス:2〜16Ω(連続出力仕様時)●ダンピング・ファクター:1,000 ●入力感度(8Ω負荷):1.13V(定格連続平均出力時)●入力インピーダンス:バランス40kΩ、ライン20kΩ●SN比:(A補正、入力ショート):127dB●消費電力:300W(無入力時)、430W(電気用品安全法)、340W(8Ω負荷定格出力時)●サイズ:465W×238H×514Dmm ●質量:46.0kg
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから
A-200からさらなる進化を遂げた
【製品批評】アキュフェーズ「A-250」 ー 世界最高水準のモノブロック・パワーアンプ
藤岡 誠モノラルパワーアンプ
ACCUPHASE
A-250
¥1,250,000(1台・税抜)
「A‐250」はアキュフェーズの最高級パワーアンプで、純A級動作方式のモノブロック型だ。読者には周知のことと思うが、同社のパワーアンプは純A級動作型(4機種)とAB級動作型(3機種)があり、双方にモノブロック型(2機種)とステレオ型(5機種)がラインアップされている。
本機A‐250は、これら全機種のフラッグシップモデルとしての位置づけだ。そして、本機は5年前の2012年に同社創立40周年記念モデルとして発売された「A‐200」の後継型である。
ただし、旧A‐200もパワーアンプとして究極の高度なスペックを保有していたわけで、A‐250が新製品だからといってそれをグンと上回ることなど今日ではあり得ない。とにかく、新旧のカタログスペックの違いはSN比の数値のわずかな違いでしかない。
具体的にはGain MAX時でA‐250は127dB(A‐200は126dB)。Gain ‐12dB時でA‐250は133dB(A‐200は132dB)であって、それぞれ1dBの差でしかない。この1dBのアップが最近のハイエンドオーディオでは極めて大きなスペック上の差異となるわけで、アキュフェーズは本機のみならず、今後ともこうした新旧モデルのスペックと格闘していくことになるわけだ。
なお、スペックとは別に信号経路の主要部品を金プレート化、電源部の電解コンデンサーの高音質化、これら以外の部品類についても試聴の繰り返しの中で再検討されているとのことである。さらにバーグラフ方式の出力メーターのバーそのものが旧型と比べてはるかに認識しやすくなっており表示方法も出力電圧に応じてレンジ(単位)が自動的に切り替わる「メーターオートレンジモード」が新開発されている。
本機の概要は、回路構成を含めてその多くが旧型と共通する。出力段はパワーMOSFETの10パラレル・プッシュプルのパワーユニット×2、合計20パラレル・プッシュプルという凄まじい純A級動作回路で100W(8Ω)/200W(4Ω)を発生。まさに、理論値通りの低負荷に対する出力直線性を持つ。
実は、本機A‐250については格別な興味をもって試聴した。何故なら5年間近くA‐200が私のレファレンスのパワーアンプだからだ。試聴は十分なエージングを施した後にスタートさせた。あえてひと言で聴こえについていえば、“大人の音になった”印象だ。これまでのA‐200は高分解能で、わずかにクールな方向性を聴かせた。それだけに若干の緊張感があった。A‐250はそのクールさと緊張感から解き放たれ、穏やかさの中にワイドバンドで繊細な音楽表現を感じる。ほとんど気のせいに近いが、SN比がアップしたことによるダイナミックレンジの拡大があるようにも感じている。いずれにせよ、世界最高水準のモノブロック・パワーアンプである。
(藤岡誠)
Specifications
●定格連続平均出力(20Hz〜20kHz):ノーマル使用時800W(1Ω、音楽信号に限る)、400W(2Ω)、200W(4Ω)、100W(8Ω、純A級出力領域は100W) ●全高調波歪率:0.05%(2Ω)、0.03%(4〜16Ω)●周波数特性:20Hz〜20kHz(+0 -0.2dB)●ゲイン(利得):28.0dB(GAINスイッチ:MAX時)●負荷インピーダンス:2〜16Ω(連続出力仕様時)●ダンピング・ファクター:1,000 ●入力感度(8Ω負荷):1.13V(定格連続平均出力時)●入力インピーダンス:バランス40kΩ、ライン20kΩ●SN比:(A補正、入力ショート):127dB●消費電力:300W(無入力時)、430W(電気用品安全法)、340W(8Ω負荷定格出力時)●サイズ:465W×238H×514Dmm ●質量:46.0kg
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから