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公開日 2017/10/17 11:21
デュアルDAC搭載/性能を大幅向上

【レビュー】Astell&Kern「AK70 MKII」 ー フラグシップの思想を継承した“プレミアム”なエントリーDAP

山本 敦

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Astell&Kernは、ハイレゾ対応のポータブルプレーヤー(DAP)の進化を先頭に立ってリードしてきたブランドだ。2017年はそのAstell&Kernの新製品発売ラッシュが続いている。春にはパワフルなアンプを一体にした“パフォーマンスライン”の「KANN」が登場。それから間を置かず、夏には最新の高音質技術とユーザーインターフェースを搭載する“第4世代”のフラグシップモデル「A&Ultima SP1000」(以下:SP1000)を発売した。

「AK70 MKII」¥OPEN(直販サイト価格79,800円 )

そして秋にはプレミアム・エントリーモデルの「AK70」がリファイン。本稿で取りあげる新製品「AK70 MKII」が誕生した。Astell&Kernの勢いは止まるところを知らないようだ。AK70で好評だった高いポータビリティはそのままに、フラグシップのSP1000の開発から得た高音質化技術を惜しみなく注ぎ込んだという、最新モデルの「AK70 MKII」を発売直前に詳しくチェックしてみよう。

完成された「AK70」デザインを継承

AK70は片手持ちでサクサクと操作できるサイズ感がとてもよい。初心者にとってもスマホで聴く音楽とは次元のちがう音とわかる高音質を備えつつ、シンプルで機敏な操作感、大容量バッテリーなど、スマホとの2台持ちを煩わしく感じさせないほど納得の実力を備えたポータブルDAPだった。

そのAK70と外観のデザインやサイズをほとんど変えずに、音質と音まわりの機能を一段とブラッシュアップした製品がAK70 MKIIだ。本体には3.3型のタッチパネル液晶を搭載。ユーザーインターフェースはSP1000でがらりと変えた新バージョンではなく、AK70と同じものを踏襲した。本体サイドの電源、曲送りなどのボタンやダイヤルボリュームも変わらず搭載している。

AK70とAK70 MKIIの外見はほとんど変わらない。厚みやボリュームホイールの加工がほんの少し異なる

カラーはマットな質感の“Noir Black”。リアパネルは少し青味のかかった深いネイビーブルーとして高級感を持たせている。シンプルな色合いなので様々なヘッドホン・イヤホンとのコーディネイトも楽しめると思う。

やや青みがかったリアパネル

SP1000の思想を取り入れて格段に音質を進化させた

Astell&Kernのエンジニアは、AK70 MKIIで一段と音質のグレードアップを図るために大きく2つのことに新しくチャレンジしている。

ひとつは「デュアルDAC」の採用だ。これまで同社上位クラスのモデルで実現してきたフィーチャーを、AK70のユーザーをはじめとする多くのファンから熱い要望を受けて、ついにエントリークラスのモデルにも搭載してしまった。

歴代トップモデルと同様のデュアルDAC構成

DACのICチップはAK70と同じシーラス・ロジック社製の「CS4398」だが、これを左右のチャンネルに1基ずつ乗せている。同じICチップをL/R独立で搭載する仕様は、かつてのフラグシップモデル「AK240」から受け継いだ格好だ。

デュアルDACを採用する効果は、一般的にクロストークノイズの低減や、分離感の明瞭なステレオイメージの向上などに結びつくものだ。豊かな音場再現やシャープで力強い低音再生も期待できる。

もうひとつのチャレンジは、アンプ部分にフラグシップのSP1000の設計思想が採り入れられたことだ。DAPの常識を越えるSP1000のサウンドの高い解像度と力強さには度肝を抜かれたが、AK70 MKIIもAstell&Kernが目指す最新鋭のサウンドを獲得した。

アンプのパフォーマンスが上がったことで、特にバランス接続時にはヘッドホン出力の電圧実効値がほぼ1.7〜1.8倍となる4.0ボルトに向上している。これがSP1000でバランス出力をした時の電圧実効値である3.9ボルトとほぼ肩を並べるレベルだと説明すれば、いかに贅沢な仕様なのかがわかりやすいだろう。

バランス出力の端子は、これまでのAstell&KernのハイレゾDAPと同じ2.5mm/4極端子となる。スペックを細かく比べていくと、AK70 MKIIになってS/Nや歪率、クロックジッターの特性などがすべてグレードアップを果たしている。

好評の操作性はすべて続投

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