公開日 2018/07/09 08:00
【特別企画】映像ソフトやケーブルでも効果を試した
レコードだけでなくCDにも“効果大” − ユキムの除電ブラシ「ASB-1」を評論家3名が試す
山之内正/炭山アキラ/土方久明
ユキムが手がけるオーディオ専用除電ブラシ「ASB-1」が、その効果の高さで話題を集めている。今回、3人のオーディオ評論家が実際にASB-1を自宅で使ってレポート。それぞれの視点からASB-1の効能や使い方を紹介する。
製品プロフィール(山之内正)
■三菱ケミカルの開発した「導電性アクリル繊維」を採用した除電ブラシ
レコードやCDなどディスク全般は静電気の影響を受けやすい。特にレコードは内袋から取り出す際などに静電気が発生しやすく、強く帯電した盤では数千ボルトから数万ボルトに及ぶ静電気が発生することもある。帯電したレコードをそのまま再生すると静電気が原因でバチッという大きなノイズが発生するだけでなく、周囲のチリやホコリを引き寄せてしまうため、さらにノイズが増えて非常に耳障りだ。静電気はハイファイ再生の大敵で、昔からレコードファンを大いに悩ませてきたのだ。
その有害な静電気を取り除くために、導電素材を埋め込んだ除電ブラシが従来から使われてきた。なかでも刷毛状のシンプルな構造の除電ブラシを愛用しているレコードファンが少なくないと思うが、そのおなじみの除電ブラシが繊維素材の見直しによって生まれ変わり、ユキムブランドから「ASB-1」として発売された。
新たに採用された「コアブリッドB」は、三菱ケミカルが開発したハイブリッド構造の導電性アクリル繊維で、繊維の<芯>と<鞘>を異なる素材で構成していることに特徴がある。鞘の内側に埋め込まれた導電素材がコロナ放電によって静電気を除去する仕組みで、摩擦にも強く、除電性能と耐久性を両立させることに成功したとされる。
導電素材がレコード盤に接して除電効果を発揮する仕組みは従来製品も同じだが、ほぼ50:50の割合で混合された天然毛との関係が少し異なっている。従来製品は導電繊維を毛先よりも10mmほど奥まった位置に配置していたため、使い方によっては十分な除電が行えないことがあったのだが、今回のブラシは先端部までコアブリッドBが伸びているため、ブラシの金属部分を持って軽くブラッシングするだけで確実に静電気を取り除くことができる。
さらに、鞘の内側に導電素材を封じ込めているため、摩擦などで力が加わっても導電素材が脱落しにくく、盤面に残ってしまう恐れはほとんどないという。ブラシは非常にしなやかで柔らかく、大切なレコードを傷つけてしまう心配もいらない。繊維が非常に細いので音溝のなかからホコリを掻き出すクリーニング効果も大きい。
ASB-1が効果を発揮するのはレコード盤だけではなく、たとえばCD、DVD、BDなどの光ディスクに対しても除電効果が期待できる。光ディスク自体は光学読み取りなので静電気と無縁のように思われるが、帯電したディスクから光ピックアップや電子部品に静電気の影響が及ぶリスクはゼロではなく、場合によっては画質や音質に悪影響を及ぼす心配もある。除電の前後でCDの音が激変した経験を持つ音楽ファンは少なくないはずだ。
同じ理由でメモリーなど電子部品やパソコンも静電気の影響を受けてトラブルが発生することがあるが、ASB-1はそうしたトラブルを未然に防ぐ効果も期待できる。静電気の怖さを知っている人ほど、除電ブラシの重要性を強く実感しているのだ。
■3人のオーディオ評論家がASB-1の効果を試す
今回、3人のオーディオ評論家に実際にASB-1を使っていただき、その効果に加えて、どのようなシーンで活用できるのかについてレポートしてもらった。三者三様のASB-1の利用方法も、ぜひ参考にしてみてほしい。
▶山之内正レポート
アナログレコードに加え、CDやUHD BDにも効果あり
ロングセラーとして人気の高いSFCの除電ブラシ「SK-2」は筆者も長年愛用している。外見はそれとほとんど変わらないのだが、よく見るとASB-1の方がブラシ部分の毛の配置が均質で、導電材をコーティングしたSK-2の天然毛とは艶や質感が微妙に異なることに気付く。導電素材を練り込んだ内側の繊維を鞘で包み込むという工程は相当に難度が高いはずだが、肉眼で見る限りはそれほど微細な構造で作られているようにはとても思えず、手触りの良さと柔らかい感触も天然毛と同じだ。
柄の根元の金属部分を持って軽くブラッシングするという基本的な使用方法も共通なのだが、ASB-1は先端部まで導電性繊維が伸びているため、撫でるような軽い動作でも十分な除電効果を発揮する。
帯電したレコード盤で実際に試してみると、ゆっくり軽くブラッシングするだけで大きな除電効果が得られることに気付く。1回のブラッシングだけで微細なチリなどもきれいに取り除くことができるので、何度も繰り返すことなく、十分なクリーニング効果が得られる。除電ブラシは使い方を誤ると摩擦で導電材が剥離したり、かえって静電気が発生するリスクもあるのだが、ASB-1は基本的な使用法さえ守ればそこまで神経質になる必要はなさそうだ。
除電したレコードの再生音はS/Nが明らかに向上し、ノイズに埋もれがちな弱音の表情や微妙な音色の違いが鮮明に浮かび上がってきた。声やヴァイオリンの高音部が本来の潤いとなめらかさを取り戻すことに加え、音が消える瞬間の余韻にも澄んだ見通しの良さが蘇ってくる。
静電気から解放されたレコードは深みのある静寂が蘇るので、ダイナミックレンジがとても大きく感じる。レコードにノイズは付き物と思っている人がいるかもしれないが、除電したレコードを聴くと、静電気が及ぼす影響がいかに大きなものか思い知らされるはずだ。
製品プロフィール(山之内正)
■三菱ケミカルの開発した「導電性アクリル繊維」を採用した除電ブラシ
レコードやCDなどディスク全般は静電気の影響を受けやすい。特にレコードは内袋から取り出す際などに静電気が発生しやすく、強く帯電した盤では数千ボルトから数万ボルトに及ぶ静電気が発生することもある。帯電したレコードをそのまま再生すると静電気が原因でバチッという大きなノイズが発生するだけでなく、周囲のチリやホコリを引き寄せてしまうため、さらにノイズが増えて非常に耳障りだ。静電気はハイファイ再生の大敵で、昔からレコードファンを大いに悩ませてきたのだ。
その有害な静電気を取り除くために、導電素材を埋め込んだ除電ブラシが従来から使われてきた。なかでも刷毛状のシンプルな構造の除電ブラシを愛用しているレコードファンが少なくないと思うが、そのおなじみの除電ブラシが繊維素材の見直しによって生まれ変わり、ユキムブランドから「ASB-1」として発売された。
新たに採用された「コアブリッドB」は、三菱ケミカルが開発したハイブリッド構造の導電性アクリル繊維で、繊維の<芯>と<鞘>を異なる素材で構成していることに特徴がある。鞘の内側に埋め込まれた導電素材がコロナ放電によって静電気を除去する仕組みで、摩擦にも強く、除電性能と耐久性を両立させることに成功したとされる。
導電素材がレコード盤に接して除電効果を発揮する仕組みは従来製品も同じだが、ほぼ50:50の割合で混合された天然毛との関係が少し異なっている。従来製品は導電繊維を毛先よりも10mmほど奥まった位置に配置していたため、使い方によっては十分な除電が行えないことがあったのだが、今回のブラシは先端部までコアブリッドBが伸びているため、ブラシの金属部分を持って軽くブラッシングするだけで確実に静電気を取り除くことができる。
さらに、鞘の内側に導電素材を封じ込めているため、摩擦などで力が加わっても導電素材が脱落しにくく、盤面に残ってしまう恐れはほとんどないという。ブラシは非常にしなやかで柔らかく、大切なレコードを傷つけてしまう心配もいらない。繊維が非常に細いので音溝のなかからホコリを掻き出すクリーニング効果も大きい。
ASB-1が効果を発揮するのはレコード盤だけではなく、たとえばCD、DVD、BDなどの光ディスクに対しても除電効果が期待できる。光ディスク自体は光学読み取りなので静電気と無縁のように思われるが、帯電したディスクから光ピックアップや電子部品に静電気の影響が及ぶリスクはゼロではなく、場合によっては画質や音質に悪影響を及ぼす心配もある。除電の前後でCDの音が激変した経験を持つ音楽ファンは少なくないはずだ。
同じ理由でメモリーなど電子部品やパソコンも静電気の影響を受けてトラブルが発生することがあるが、ASB-1はそうしたトラブルを未然に防ぐ効果も期待できる。静電気の怖さを知っている人ほど、除電ブラシの重要性を強く実感しているのだ。
■3人のオーディオ評論家がASB-1の効果を試す
今回、3人のオーディオ評論家に実際にASB-1を使っていただき、その効果に加えて、どのようなシーンで活用できるのかについてレポートしてもらった。三者三様のASB-1の利用方法も、ぜひ参考にしてみてほしい。
▶山之内正レポート
アナログレコードに加え、CDやUHD BDにも効果あり
ロングセラーとして人気の高いSFCの除電ブラシ「SK-2」は筆者も長年愛用している。外見はそれとほとんど変わらないのだが、よく見るとASB-1の方がブラシ部分の毛の配置が均質で、導電材をコーティングしたSK-2の天然毛とは艶や質感が微妙に異なることに気付く。導電素材を練り込んだ内側の繊維を鞘で包み込むという工程は相当に難度が高いはずだが、肉眼で見る限りはそれほど微細な構造で作られているようにはとても思えず、手触りの良さと柔らかい感触も天然毛と同じだ。
柄の根元の金属部分を持って軽くブラッシングするという基本的な使用方法も共通なのだが、ASB-1は先端部まで導電性繊維が伸びているため、撫でるような軽い動作でも十分な除電効果を発揮する。
帯電したレコード盤で実際に試してみると、ゆっくり軽くブラッシングするだけで大きな除電効果が得られることに気付く。1回のブラッシングだけで微細なチリなどもきれいに取り除くことができるので、何度も繰り返すことなく、十分なクリーニング効果が得られる。除電ブラシは使い方を誤ると摩擦で導電材が剥離したり、かえって静電気が発生するリスクもあるのだが、ASB-1は基本的な使用法さえ守ればそこまで神経質になる必要はなさそうだ。
除電したレコードの再生音はS/Nが明らかに向上し、ノイズに埋もれがちな弱音の表情や微妙な音色の違いが鮮明に浮かび上がってきた。声やヴァイオリンの高音部が本来の潤いとなめらかさを取り戻すことに加え、音が消える瞬間の余韻にも澄んだ見通しの良さが蘇ってくる。
静電気から解放されたレコードは深みのある静寂が蘇るので、ダイナミックレンジがとても大きく感じる。レコードにノイズは付き物と思っている人がいるかもしれないが、除電したレコードを聴くと、静電気が及ぼす影響がいかに大きなものか思い知らされるはずだ。
CDはもちろん、UHD BDなど映像ディスクにも効果があった
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