公開日 2018/08/16 06:30
日本未導入製品を検証
Roonが開発した初の“純正サーバー”「Nucleus」を試す。音質や操作性をパソコンと比較
逆木 一
先日、「Nucleus」をいちはやく試す機会に恵まれた。「Nucleus」とは、Roonの開発元であるRoon Labs自身がリリースした単体Roon Serverである。現時点でNucleusの日本導入は未定となっているが、Roon Labs自身がRoonの性能を最大限引き出すために開発した初のハードウェアとして注目を集めている。
Nucleusについてレポートする前に、あらためて「Roon」について紹介しておこう。
単なる再生ソフトの枠を越えた「聴くだけにとどまらない多面的な音楽の楽しみ」が得られることから、筆者はRoonを「総合音楽鑑賞ソフト」と表現している。
Roonは独自の音楽情報データベースを活用してユーザーの音源とストリーミングサービス(TIDAL)の音源をひとつのライブラリとして統合し、さらに音楽の様々な繋がりそのものを「可視化」する。ローカルとクラウドの垣根を越えて、興味関心の赴くまま広大無辺な「音楽の海」に漕ぎ出す体験。まさに音楽愛好家の夢を叶えてくれるソフトこそがRoonなのだ。
Roonは2015年の登場以来、オーディオの世界を席巻し続けてきた。これほどまでにRoonが受け入れられたのは、やはりかつてない音楽体験が高く評価された結果だろう。2016年初めには「Roon Ready」という仕組みが作られ、ネットワークプレーヤーからも、音質を担保したうえでRoonのユーザー・エクスペリエンスを完璧に味わえるようになった。Roon Readyに対応するブランド/ネットワークプレーヤーは今なお増え続けている。
純粋な再生ソフトとして見ても、Roonは一線級の能力を持っている。バージョンアップを重ねたことでアップサンプリングをはじめとする各種再生オプションも充実し、最新のバージョン1.5ではMQAのソフトウェアデコードにも対応するなど、最先端の機能を獲得するに至った。
■Roon Coreを動かすための純正ハードウェアがついに登場
さて、ここまで見ると、Roonはなんとも夢のようなソフトに思えるかもしれないが、ひとつ大きな難点を抱えている。「サービスを利用する」という販売形態でありそもそも価格が高い(年間119ドル・永年499ドル)……ということは、ひとまず置いておこう。
様々な機能を実現するために、Roonはオーディオに用いるソフトとしては、かなり高いマシンスペックを必要とする。これが難点となり、Roon Readyの仕組みによってネットワークプレーヤーを使えるようになったところで、サーバーとして使われている一般的なNASでは、Roon(Core)が動くモデルはごくわずかしかない。実際、「Roon(Core)が動くオーディオ機器」である単体Roon Serverの製品数は非常に少ない。こうした事情で、多くの場合Roonをシステムに組み込むためにはパソコン(PC)が必要になってきた。
Nucleusはこのような状況を打破すべく誕生した。じゅうぶんなスペックと専用のRoon OSを搭載したNucleusを導入すれば、ユーザーはPCの運用で苦労したりマシンスペックで悩んだりする必要もなく、Roonならではの体験を完璧に味わえるというわけだ(この点については、今年のMunich HIGH ENDにて筆者が行った、Roon Labs社のマーケティングマネージャーへのインタビューも参照いただきたい)。
Nucleusはスペックで2種類のモデルが用意されている。CPUにCore i3とRAMを4GB搭載する通常モデル「Nucleus」が約1400ドル、CPUにCore i7とRAMを8GB搭載する上位モデル「Nucleus+」が約2500ドル。CPUとRAMのほかに、システム用SSDの容量も異なる。どちらのモデルでもRoonは快適に動作するとのことだが、例えば巨大なライブラリを扱う際やハイレートのDSDへのアップサンプリングを行う際にスペックの差が動作に影響を与えることは考えられる。
Nucleusについてレポートする前に、あらためて「Roon」について紹介しておこう。
単なる再生ソフトの枠を越えた「聴くだけにとどまらない多面的な音楽の楽しみ」が得られることから、筆者はRoonを「総合音楽鑑賞ソフト」と表現している。
Roonは独自の音楽情報データベースを活用してユーザーの音源とストリーミングサービス(TIDAL)の音源をひとつのライブラリとして統合し、さらに音楽の様々な繋がりそのものを「可視化」する。ローカルとクラウドの垣根を越えて、興味関心の赴くまま広大無辺な「音楽の海」に漕ぎ出す体験。まさに音楽愛好家の夢を叶えてくれるソフトこそがRoonなのだ。
Roonは2015年の登場以来、オーディオの世界を席巻し続けてきた。これほどまでにRoonが受け入れられたのは、やはりかつてない音楽体験が高く評価された結果だろう。2016年初めには「Roon Ready」という仕組みが作られ、ネットワークプレーヤーからも、音質を担保したうえでRoonのユーザー・エクスペリエンスを完璧に味わえるようになった。Roon Readyに対応するブランド/ネットワークプレーヤーは今なお増え続けている。
純粋な再生ソフトとして見ても、Roonは一線級の能力を持っている。バージョンアップを重ねたことでアップサンプリングをはじめとする各種再生オプションも充実し、最新のバージョン1.5ではMQAのソフトウェアデコードにも対応するなど、最先端の機能を獲得するに至った。
■Roon Coreを動かすための純正ハードウェアがついに登場
さて、ここまで見ると、Roonはなんとも夢のようなソフトに思えるかもしれないが、ひとつ大きな難点を抱えている。「サービスを利用する」という販売形態でありそもそも価格が高い(年間119ドル・永年499ドル)……ということは、ひとまず置いておこう。
様々な機能を実現するために、Roonはオーディオに用いるソフトとしては、かなり高いマシンスペックを必要とする。これが難点となり、Roon Readyの仕組みによってネットワークプレーヤーを使えるようになったところで、サーバーとして使われている一般的なNASでは、Roon(Core)が動くモデルはごくわずかしかない。実際、「Roon(Core)が動くオーディオ機器」である単体Roon Serverの製品数は非常に少ない。こうした事情で、多くの場合Roonをシステムに組み込むためにはパソコン(PC)が必要になってきた。
Nucleusはこのような状況を打破すべく誕生した。じゅうぶんなスペックと専用のRoon OSを搭載したNucleusを導入すれば、ユーザーはPCの運用で苦労したりマシンスペックで悩んだりする必要もなく、Roonならではの体験を完璧に味わえるというわけだ(この点については、今年のMunich HIGH ENDにて筆者が行った、Roon Labs社のマーケティングマネージャーへのインタビューも参照いただきたい)。
Nucleusはスペックで2種類のモデルが用意されている。CPUにCore i3とRAMを4GB搭載する通常モデル「Nucleus」が約1400ドル、CPUにCore i7とRAMを8GB搭載する上位モデル「Nucleus+」が約2500ドル。CPUとRAMのほかに、システム用SSDの容量も異なる。どちらのモデルでもRoonは快適に動作するとのことだが、例えば巨大なライブラリを扱う際やハイレートのDSDへのアップサンプリングを行う際にスペックの差が動作に影響を与えることは考えられる。