公開日 2018/08/17 06:30
ワイヤレスだけでなくワイヤードでも音質チェック
<レビュー>重低音&タフネス。JVC“XX”の新Bluetoothヘッドホン「HA-XP50BT」を聴く
山本 敦
JVCのポータブルオーディオ「XXシリーズ」の歴史は2011年にアメリカで始まった。シリーズ名の由来は「XTREME XPLOSIVES」。過激なスポーツやアクティビティの枠を超えて、若者のファッションや音楽にも影響を及ぼしてきたエクストリームスポーツにインスパイアされた、タフネス仕様を特徴とする逆輸入モデルである。ワイヤードタイプのイヤホン・ヘッドホンを中心に展開してきたXXシリーズが、いよいよ時代のニーズに即してワイヤレスヘッドホンや完全ワイヤレスイヤホンにバリエーションを広げてきた。
「HA-XP50BT」はオンイヤースタイルのワイヤレスヘッドホンだ。XXシリーズ共通のキャラクターである重低音にフォーカスしたサウンドや、外部からの衝撃に強いタフネス設計を踏襲。イヤーカップの側面、印象的に見えるポジションに「XX」のエンブレムを置いた。シリーズを象徴する赤黒のカラバリモデルもラインナップに加えている。
XXシリーズのプロダクトデザインは、アメリカのストリートファッションの変遷にアンテナを張りながら常に進化してきた。今回のモデルには従来のゴツい印象はなく、むしろ余計な装飾を省いたミニマルな外観としている。タフネス設計と両立させるためにハウジングの最外層にはリング状のラバープロテクターを配置。強度を確保している。見た目にもシャープな印象になっているのでビジネススーツにも意外にマッチしそうだ。一点注意したいポイントとしては防水・防塵性能は持たせていないため、例えば雨の中、傘もささずに本機を身に着けて音楽を聴くような使い方は避けたい。
オンイヤースタイルのヘッドホンなので、外への音漏れ、あるいは外からのノイズの侵入を防ぎながらフィット感を安定させるためにヘッドバンドの側圧はある程度かかるように設計されている。側圧のプレッシャーを逃がしつつ、心地よい装着感が得られるようにソフトなイヤーパッドが本機には採用されている。遮音性も高く、中高域のディティールや低音のほどよい厚みがこのイヤーパッドのおかげで実現されている。ただ、オンイヤーヘッドホンの装着感は好みが分かれるところだと思うので、購入前にショップの展示機などで確かめてみることをおすすめしたい。
Bluetoothヘッドホンといえばスマホやポータブルオーディオプレーヤーとのペアリングが煩雑に感じられるかもしれないが、本機は特にAndroid OSを搭載するスマホに多いNFC対応のプレーヤー機器とワンタッチでペアリングできる機能を持つ。さらにパッケージに付属するケーブルを活用すれば有線リスニングも可能だ。
もうひとつのタフネスを重視したポイントが「バッテリーライフ」である。フル充電からの連続音楽再生時間は何と約40時間。ふだん使いで充電の手間をほとんど感じさせないだろう。もし外出前に本機のバッテリー切れに気がついたら、10分の充電だけで約3時間の連続再生が楽しめる急速充電機能が搭載されていることを思い出してほしい。
それではいよいよ、気になるHA-XP50BTのサウンドチェックに入ろう。リファレンスの音楽プレーヤーとしてiPhone XとXperia XZ1を用意した。Xperiaではワイヤレスとワイヤードの音も聴き比べている。
まずはiPhone XにBluetoothで接続してSpotifyの音源を聴いた。ヘッドホン側はaptXとAAC、SBCのコーデックによる伝送に対応している。
SPEEDのアルバム「SPEEDLAND」から『Long Way Home - Re Track』ではパンチの効いた重心の低いベースラインが体の芯にまで響いてくる。ボーカルの声の稜線は柔らかくしなやかに描かれる。女性ボーカルの艶やかな表情を上手に引き出すヘッドホンだ。高域の解像度はやや甘いようにも感じるが、中域とスムーズにつながる肉厚でクリーミーな余韻が本機の魅力と受け止めることもできそうだ。
続いてダリル・ホール&ジョン・オーツの「Private Eyes」から『I Can't Go for That(No Can Do)』を聴く。男性ボーカルも柔らかく色気が引き立ってきて魅力的だ。リズムセクションは打ち込みが鋭く安定感も充実している。シンセサイザーのロマンチックなハーモニーに包み込まれる感覚もいい。ギターのファットな音がガツンと響いてくる。
同じ曲を再生しながら、本機の特徴的な機能であるバスブーストモードを試してみた。操作は本体右イヤーカップのボタンでオン・オフを切り替える。ボーカルの音像がふくよかになるものの、エレキベースの低音なども若干太りすぎるところがあった。この曲についてはノーマルモードでもいいと思う。
バスブーストは重低音の迫力を確かに増してくれるのだが、元々低音が豊かに含まれている楽曲の場合は成分が過多になってしまう場合がある。基本オフでも十分に印象的な低音が楽しめるヘッドホンだと思う。上手に使いこなす方法としては、例えば電車の中など騒音に囲まれがちな場所で普通のJ-POPを聴きながら、低音のパンチが物足りなく感じる時になどにバスブーストをオンにしてみると肉付きが豊かになって聴きやすく感じられるだろう。
続いてXperia XZ1にBluetoothで接続して、aptX対応のヘッドホンとして本機の実力を試した。同じ曲がiPhone Xで聴いた時よりも音像がスリムになり、メロディがくっきりと立体的に浮かび上がってきた。低音がぎゅっとタイトに引き締まり、音の幹がしっかりとする。リズム楽器の音の粒立ちやシンセサイザーのアタック感も鋭さを増した。エレキのカッティングはシャキッと歯切れ良く並ぶ。バスブーストモードをオンにしてもボーカルと楽器のメロディが低域のリズムと混ざり合わずに軽快なグルーブをつくりだす。リスニングの相性はXperiaとの組み合わせの方がよかった。
ヘッドホンのパッケージに付属するヘッドホンケーブルを使って有線接続時の音も確認した。本体にケーブルをつなぐとアンプが自動でオフに切り替わり、バスブーストも使えなくなるようだ。有線接続のサウンドは音の輪郭がふわっとしてしまい、特に低音がやや膨らむ傾向にあった。本機はできればワイヤレスリスニングを中心に使うことをおすすめしたい。長時間のバッテリー持続を実現しているので、無線機器の使用が認められていない飛行機の中など限られた条件下でのバックアップ的な機能として構えた方がよさそうだ。
ベースブースト機能は音楽リスニングだけでなく、ミュージックビデオやアクション映画、ゲームなど動画付きのコンテンツをモバイル環境で楽しむ時にもプラスの効果を発揮してくれる。マルチカテゴリーに渡るエンターテインメントの進化に合わせて、ユーティリティ性も高めてきたXXシリーズの最新ヘッドホンを歓迎したい。
「HA-XP50BT」はオンイヤースタイルのワイヤレスヘッドホンだ。XXシリーズ共通のキャラクターである重低音にフォーカスしたサウンドや、外部からの衝撃に強いタフネス設計を踏襲。イヤーカップの側面、印象的に見えるポジションに「XX」のエンブレムを置いた。シリーズを象徴する赤黒のカラバリモデルもラインナップに加えている。
XXシリーズのプロダクトデザインは、アメリカのストリートファッションの変遷にアンテナを張りながら常に進化してきた。今回のモデルには従来のゴツい印象はなく、むしろ余計な装飾を省いたミニマルな外観としている。タフネス設計と両立させるためにハウジングの最外層にはリング状のラバープロテクターを配置。強度を確保している。見た目にもシャープな印象になっているのでビジネススーツにも意外にマッチしそうだ。一点注意したいポイントとしては防水・防塵性能は持たせていないため、例えば雨の中、傘もささずに本機を身に着けて音楽を聴くような使い方は避けたい。
オンイヤースタイルのヘッドホンなので、外への音漏れ、あるいは外からのノイズの侵入を防ぎながらフィット感を安定させるためにヘッドバンドの側圧はある程度かかるように設計されている。側圧のプレッシャーを逃がしつつ、心地よい装着感が得られるようにソフトなイヤーパッドが本機には採用されている。遮音性も高く、中高域のディティールや低音のほどよい厚みがこのイヤーパッドのおかげで実現されている。ただ、オンイヤーヘッドホンの装着感は好みが分かれるところだと思うので、購入前にショップの展示機などで確かめてみることをおすすめしたい。
Bluetoothヘッドホンといえばスマホやポータブルオーディオプレーヤーとのペアリングが煩雑に感じられるかもしれないが、本機は特にAndroid OSを搭載するスマホに多いNFC対応のプレーヤー機器とワンタッチでペアリングできる機能を持つ。さらにパッケージに付属するケーブルを活用すれば有線リスニングも可能だ。
もうひとつのタフネスを重視したポイントが「バッテリーライフ」である。フル充電からの連続音楽再生時間は何と約40時間。ふだん使いで充電の手間をほとんど感じさせないだろう。もし外出前に本機のバッテリー切れに気がついたら、10分の充電だけで約3時間の連続再生が楽しめる急速充電機能が搭載されていることを思い出してほしい。
それではいよいよ、気になるHA-XP50BTのサウンドチェックに入ろう。リファレンスの音楽プレーヤーとしてiPhone XとXperia XZ1を用意した。Xperiaではワイヤレスとワイヤードの音も聴き比べている。
まずはiPhone XにBluetoothで接続してSpotifyの音源を聴いた。ヘッドホン側はaptXとAAC、SBCのコーデックによる伝送に対応している。
SPEEDのアルバム「SPEEDLAND」から『Long Way Home - Re Track』ではパンチの効いた重心の低いベースラインが体の芯にまで響いてくる。ボーカルの声の稜線は柔らかくしなやかに描かれる。女性ボーカルの艶やかな表情を上手に引き出すヘッドホンだ。高域の解像度はやや甘いようにも感じるが、中域とスムーズにつながる肉厚でクリーミーな余韻が本機の魅力と受け止めることもできそうだ。
続いてダリル・ホール&ジョン・オーツの「Private Eyes」から『I Can't Go for That(No Can Do)』を聴く。男性ボーカルも柔らかく色気が引き立ってきて魅力的だ。リズムセクションは打ち込みが鋭く安定感も充実している。シンセサイザーのロマンチックなハーモニーに包み込まれる感覚もいい。ギターのファットな音がガツンと響いてくる。
同じ曲を再生しながら、本機の特徴的な機能であるバスブーストモードを試してみた。操作は本体右イヤーカップのボタンでオン・オフを切り替える。ボーカルの音像がふくよかになるものの、エレキベースの低音なども若干太りすぎるところがあった。この曲についてはノーマルモードでもいいと思う。
バスブーストは重低音の迫力を確かに増してくれるのだが、元々低音が豊かに含まれている楽曲の場合は成分が過多になってしまう場合がある。基本オフでも十分に印象的な低音が楽しめるヘッドホンだと思う。上手に使いこなす方法としては、例えば電車の中など騒音に囲まれがちな場所で普通のJ-POPを聴きながら、低音のパンチが物足りなく感じる時になどにバスブーストをオンにしてみると肉付きが豊かになって聴きやすく感じられるだろう。
続いてXperia XZ1にBluetoothで接続して、aptX対応のヘッドホンとして本機の実力を試した。同じ曲がiPhone Xで聴いた時よりも音像がスリムになり、メロディがくっきりと立体的に浮かび上がってきた。低音がぎゅっとタイトに引き締まり、音の幹がしっかりとする。リズム楽器の音の粒立ちやシンセサイザーのアタック感も鋭さを増した。エレキのカッティングはシャキッと歯切れ良く並ぶ。バスブーストモードをオンにしてもボーカルと楽器のメロディが低域のリズムと混ざり合わずに軽快なグルーブをつくりだす。リスニングの相性はXperiaとの組み合わせの方がよかった。
ヘッドホンのパッケージに付属するヘッドホンケーブルを使って有線接続時の音も確認した。本体にケーブルをつなぐとアンプが自動でオフに切り替わり、バスブーストも使えなくなるようだ。有線接続のサウンドは音の輪郭がふわっとしてしまい、特に低音がやや膨らむ傾向にあった。本機はできればワイヤレスリスニングを中心に使うことをおすすめしたい。長時間のバッテリー持続を実現しているので、無線機器の使用が認められていない飛行機の中など限られた条件下でのバックアップ的な機能として構えた方がよさそうだ。
ベースブースト機能は音楽リスニングだけでなく、ミュージックビデオやアクション映画、ゲームなど動画付きのコンテンツをモバイル環境で楽しむ時にもプラスの効果を発揮してくれる。マルチカテゴリーに渡るエンターテインメントの進化に合わせて、ユーティリティ性も高めてきたXXシリーズの最新ヘッドホンを歓迎したい。