公開日 2018/11/12 06:00
【特別企画】オーディオ愛好家こそ聴くべきヘッドホン
独ULTRASONE「Edition 11」と伊PATHOS製アンプ、“実は近い” 2ブランドが奏でる極上ヘッドホンサウンド
山之内正
ドイツのヘッドホンブランド ULTRASONE(ウルトラゾーン)と、イタリアのアンプブランド PATHOS(パトス)。意外な組み合わせに思えるが、山之内正氏は、各社が拠点を構える南ドイツと北イタリアにおける古くからの強い結び付きを指摘する。今回、同氏がULTRASONEの旗艦ヘッドホンシリーズ“Edition”の最新モデル「Edition 11」と、PATHOSのヘッドホンアンプを組み合わせて、オーディオファンにこそ知って欲しいという極上のプライベートリスニングを追究した。
■かつて、優れたオーディオ装置を持っている人ほどヘッドホンにこだわっていた
スピーカーの大音圧を身体で受け止めるのは格別だが、深夜までその快感に浸り続けるわけにはいかない。それでも周囲を気にせず音楽を聴きたいときはヘッドホンの出番だ。優れたオーディオ装置を持っている人ほど、ヘッドホンにもこだわるのはオーディオ全盛期の頃からの常識で、そんな人のための良質なヘッドホンは根強い人気を誇ってきた。
近年は以前とは比較にならないほど高性能ヘッドホンが増えているが、スピーカーと上手に使い分けるのはなぜか以前よりも難しくなった気がする。細分化が進みすぎて、オールラウンドに良い音を楽しめるヘッドホンを選びにくくなったのだろうか。フラグシップ級のモデルは高価格化が著しく、なかなか手を出せないという事情もある。肩肘張ることなく、しかも良い音でじっくり楽しめるヘッドホンを望む声はいまも根強い。
■ホームリスニングに特化したヘッドホン「Edition 11」
そんな声に応える有力な候補のひとつがULTRASONEの最新作、「Edition 11」である。用途をホームユースに絞り込んで素材や構造を吟味した結果、40mm口径のドライバーにバイオセルロース複合材の振動板を採用。無垢のウォールナット製ハウジングに複数のメッシュを組み合わせたオープン型とし、Editionシリーズのなかでは異彩を放つ存在となった。世界で1111台限定という希少性もあり、注目度の高さは他の上位モデルに引けを取らない。
Edition 11に採用されたTruTexバイオセルロースは内部損失が大きく、くせのない自然な音響特性に特徴がある。これまでEditionシリーズはメタルとマイラーを組み合わせた振動板構造を採用していたが、共振をていねいにコントロールして固有音を抑える必要があり、設計のハードルはかなり高くなる。高分解能や鮮鋭感を引き出せるメリットの半面、設計とチューニングに時間がかかり、価格上昇の一因になり得るというわけだ。
バイオセルロース複合材は良質な素材さえ確保すれば音響的にコントロールしやすく、良好な特性を実現しやすい。いうまでもなく独自のS-Logic Plus技術と組み合わせているため、スピーカー再生との違和感が少ない自然な音場再現にも期待が募る。
ハウジングに採用したウォールナットは楽器にも採用されるレベルの上質な無垢材を奢り、ドイツの生産現場で手作業によって仕上げられている。背面は6箇所の開口部に複数のメッシュを組み合わせて振動と空気の流れを最適化。素材を吟味しつつ無駄な要素を省くことで軽量化を実現している点に注目したい。イヤーパッドはファブリック材、ヘッドバンドにはアルカンターラという具合に既存のEditionシリーズとは異なる素材をあえて使用し、良好な装着性を確保しつつ価格上昇を抑える工夫を凝らしている点も見逃せない。
コネクターはカスタムイヤホンで採用例の多い2pin仕様を選び、ケーブル交換による音質改善も視野に入れている。
■音にもデザインにもこだわるイタリアブランドが手がけた真空管ヘッドホンアンプ
Edition 11のポテンャルをフルに引き出すためには、ヘッドホンアンプの選択が重要なカギを握る。音響的なくせのないドライバーとシンプルな構造がもたらす音質メリットを活かすには、音調がナチュラルで反応の良いアンプを組み合わせるのが理想的だが、その2つの基準を満たすヘッドホンアンプとして、イタリアのPATHOS(パトス)に注目してみたい。
イタリアと言えばスピーカーの名門ブランドを思い出す読者が多いと思うが、アンプで高い評価を獲得したブランドも少なくない。なかでもPATHOSはイタリアのヴィツェンツァに本拠を置く著名なアンプ専業メーカーで、海外のオーディオイベントでは名の知られた存在だ。
■かつて、優れたオーディオ装置を持っている人ほどヘッドホンにこだわっていた
スピーカーの大音圧を身体で受け止めるのは格別だが、深夜までその快感に浸り続けるわけにはいかない。それでも周囲を気にせず音楽を聴きたいときはヘッドホンの出番だ。優れたオーディオ装置を持っている人ほど、ヘッドホンにもこだわるのはオーディオ全盛期の頃からの常識で、そんな人のための良質なヘッドホンは根強い人気を誇ってきた。
近年は以前とは比較にならないほど高性能ヘッドホンが増えているが、スピーカーと上手に使い分けるのはなぜか以前よりも難しくなった気がする。細分化が進みすぎて、オールラウンドに良い音を楽しめるヘッドホンを選びにくくなったのだろうか。フラグシップ級のモデルは高価格化が著しく、なかなか手を出せないという事情もある。肩肘張ることなく、しかも良い音でじっくり楽しめるヘッドホンを望む声はいまも根強い。
■ホームリスニングに特化したヘッドホン「Edition 11」
そんな声に応える有力な候補のひとつがULTRASONEの最新作、「Edition 11」である。用途をホームユースに絞り込んで素材や構造を吟味した結果、40mm口径のドライバーにバイオセルロース複合材の振動板を採用。無垢のウォールナット製ハウジングに複数のメッシュを組み合わせたオープン型とし、Editionシリーズのなかでは異彩を放つ存在となった。世界で1111台限定という希少性もあり、注目度の高さは他の上位モデルに引けを取らない。
Edition 11に採用されたTruTexバイオセルロースは内部損失が大きく、くせのない自然な音響特性に特徴がある。これまでEditionシリーズはメタルとマイラーを組み合わせた振動板構造を採用していたが、共振をていねいにコントロールして固有音を抑える必要があり、設計のハードルはかなり高くなる。高分解能や鮮鋭感を引き出せるメリットの半面、設計とチューニングに時間がかかり、価格上昇の一因になり得るというわけだ。
バイオセルロース複合材は良質な素材さえ確保すれば音響的にコントロールしやすく、良好な特性を実現しやすい。いうまでもなく独自のS-Logic Plus技術と組み合わせているため、スピーカー再生との違和感が少ない自然な音場再現にも期待が募る。
ハウジングに採用したウォールナットは楽器にも採用されるレベルの上質な無垢材を奢り、ドイツの生産現場で手作業によって仕上げられている。背面は6箇所の開口部に複数のメッシュを組み合わせて振動と空気の流れを最適化。素材を吟味しつつ無駄な要素を省くことで軽量化を実現している点に注目したい。イヤーパッドはファブリック材、ヘッドバンドにはアルカンターラという具合に既存のEditionシリーズとは異なる素材をあえて使用し、良好な装着性を確保しつつ価格上昇を抑える工夫を凝らしている点も見逃せない。
コネクターはカスタムイヤホンで採用例の多い2pin仕様を選び、ケーブル交換による音質改善も視野に入れている。
■音にもデザインにもこだわるイタリアブランドが手がけた真空管ヘッドホンアンプ
Edition 11のポテンャルをフルに引き出すためには、ヘッドホンアンプの選択が重要なカギを握る。音響的なくせのないドライバーとシンプルな構造がもたらす音質メリットを活かすには、音調がナチュラルで反応の良いアンプを組み合わせるのが理想的だが、その2つの基準を満たすヘッドホンアンプとして、イタリアのPATHOS(パトス)に注目してみたい。
イタリアと言えばスピーカーの名門ブランドを思い出す読者が多いと思うが、アンプで高い評価を獲得したブランドも少なくない。なかでもPATHOSはイタリアのヴィツェンツァに本拠を置く著名なアンプ専業メーカーで、海外のオーディオイベントでは名の知られた存在だ。