公開日 2020/11/02 06:40
派手目な音作り
Amazon「Echo」第4世代機レビュー。球体が奏でる新時代のサウンド
風間雄介
AmazonがEchoシリーズを刷新した。ラインナップの構成も変わり、本体の構造も様変わりした。
Echoシリーズはどんどんラインナップの拡大を続けている。シリーズはもともと円筒型のスマートスピーカーからスタートしたが、いまでは画面付きのEcho Show、コンセントに直接差す「Echo」、そして先日紹介した車載向けの「Echo Auto」など、多種多様な商品が揃うようになった。
今回試したのは、そのうち画面が付いていない、いわゆる “スマートスピーカー”の新モデル、「Echo」 第4世代機(Amazon詳細ページ)だ。同時に新型の「Echo Dot」も試用したが、価格帯がかなり違うため、今回は「Echo」 に絞ってレビューしていきたい。
まず基本情報から整理する。価格は11,980円(税込)だ。セール時にはさらに安くなることが予想される。本体カラーはチャコール、グレーシャーホワイト、トワイライトブルーの3色が用意されている。サイズは144×144×133mm、質量は940g。
■「まん丸」になり、ライトが底面に移動
さて、とにもかくにも大きく変わったのは、その形状だ。これまでの円筒形のデザインを捨て去り、球体になった。最近発表されたアップル「HomePod mini」は球形の上部をスライスしたような形状だが、本機はほとんど「まん丸」だ。
円筒形に対して球形になると、占有するフットプリントが大きくなりがちだが、実際に見てみると、高さが抑えられるメリットがあり、圧迫感はない。
円筒形から円になっただけではない。もう一つの、デザイン上の大きな違いは、LEDライトの位置が天面から底面へ変わったことだ。名称は「ライトリング」というようだが、これがなかなかよい。スピーカーを置いたテーブルやラックを青やオレンジのライトが照らし、美しく映える。
ボタン類は上部に備えている。ボリュームのアップダウンはもちろん、マイクのオン/オフボタンも備えているため、プライバシーを気にする方も安心だ。
外観が変わっただけではなく、内部のスピーカーも一新された。76.2mmネオジムウーファーを上向きに配置。その下に20mmトゥイーター2基を装備する。
球体だが、360度にぐるりとユニットが向けられているわけではなく、前と後ろの区別はある。
なおACアダプターは30Wで、下位モデルのEcho Dotの2倍程度になっている。ACアダプターは旧モデルに比べ幅が抑えられており、間隔の狭い電源タップも利用しやすくなった。余談だが、電源ケーブルは少し短めなので、長く取り回したい方は気をつけよう。
そのほか細かなところでは、底面に三脚などを取り付けられるネジ穴が用意されている。ミニ三脚を取り付けてデスクの上に置いても良いし、一脚をスタンド代わりにする、などといった使い方もできそうだ。
また3.5mm端子が、入出力をアプリで切り替えられるようになっていることにも注目したい。さらに温度センサーも内蔵しており、Zigbeeにも対応。スマートデバイスのハブとしての機能も高めている。
マイクの精度はどうか。今回の第4世代になってマイクの感度が悪くなったという書き込みを見かけたが、少なくとも今回の自宅内のテストでは、全く気にならなかった。
遠くから話しかけてもきちんと反応するし、あえてボソボソ話しかけてもきちんと拾ってくれる。それでいて、誤反応はほとんど起こさない。よい仕上がりだと思う。
■サウンドはとにかく「派手」
さて、いよいよサウンドを聴いていこう。Official髭男dism「Pretender」やKing Gnu「白日」といったおなじみのJ-POPから、宇多田ヒカル「真夏の通り雨」、斉藤由貴「卒業」などの女性ボーカル、アイドルソング、洋楽ではアリアナ・グランデやアンダーソン・パークなど、人気楽曲を中心に再生した。
ひと言で言うと、低域、中域、高域がそれぞれ持ち上げられた、派手目なサウンドだ。
低域はズーンと響くし、ベースラインはちょっと驚くほどに強調されている。高級スピーカーでも聴いたことがないベースが聞こえてくるのは、その帯域が持ち上げられていると考えてよいだろう。
ボーカルの表現力はなかなかのもので、押し出し感が強い。高域もかなりクリアで、至近距離で聴いていると、少し「刺さり」が感じられるときもあるほどだ。
この音を好ましく思う方も多いだろうが、少なくともHI-FIサウンドとはいえない。だが1万円少しのスピーカーで、これほど迫力のあるサウンドが聴けるというのはすごいことだ。
褒めているのかどうかわかりにくいかもしれないが、褒めているのだ。いわゆる「原音忠実」を求めるなら、他のスピーカーを探せばよい。派手目な音が好きで、1万円ちょいでスマートスピーカー機能も活用したいというのであれば、これほど適した製品は少ない。
◇
至近距離で音楽をじっくり聴く用途にはあまり向かないが、手軽に迫力のあるサウンドを楽しみたいという用途にはぴったりだ。スマートホーム機能の充実もあわせて、トータルの完成度が高い。
上述したように「HomePod mini」も同じ価格帯で登場するため、音質の違いも気になるところだが、当然ながらEchoとHomePodシリーズを連動させることはできない。定評のある音声認識機能、多くのスキル、対応機器を揃えているEchoシリーズにはアドバンテージがある。
すでにAlexaに慣れている方が、買い替えや買い増しを検討しているのなら、十分におすすめできる製品だ。
Echoシリーズはどんどんラインナップの拡大を続けている。シリーズはもともと円筒型のスマートスピーカーからスタートしたが、いまでは画面付きのEcho Show、コンセントに直接差す「Echo」、そして先日紹介した車載向けの「Echo Auto」など、多種多様な商品が揃うようになった。
今回試したのは、そのうち画面が付いていない、いわゆる “スマートスピーカー”の新モデル、「Echo」 第4世代機(Amazon詳細ページ)だ。同時に新型の「Echo Dot」も試用したが、価格帯がかなり違うため、今回は「Echo」 に絞ってレビューしていきたい。
まず基本情報から整理する。価格は11,980円(税込)だ。セール時にはさらに安くなることが予想される。本体カラーはチャコール、グレーシャーホワイト、トワイライトブルーの3色が用意されている。サイズは144×144×133mm、質量は940g。
■「まん丸」になり、ライトが底面に移動
さて、とにもかくにも大きく変わったのは、その形状だ。これまでの円筒形のデザインを捨て去り、球体になった。最近発表されたアップル「HomePod mini」は球形の上部をスライスしたような形状だが、本機はほとんど「まん丸」だ。
円筒形に対して球形になると、占有するフットプリントが大きくなりがちだが、実際に見てみると、高さが抑えられるメリットがあり、圧迫感はない。
円筒形から円になっただけではない。もう一つの、デザイン上の大きな違いは、LEDライトの位置が天面から底面へ変わったことだ。名称は「ライトリング」というようだが、これがなかなかよい。スピーカーを置いたテーブルやラックを青やオレンジのライトが照らし、美しく映える。
ボタン類は上部に備えている。ボリュームのアップダウンはもちろん、マイクのオン/オフボタンも備えているため、プライバシーを気にする方も安心だ。
外観が変わっただけではなく、内部のスピーカーも一新された。76.2mmネオジムウーファーを上向きに配置。その下に20mmトゥイーター2基を装備する。
球体だが、360度にぐるりとユニットが向けられているわけではなく、前と後ろの区別はある。
なおACアダプターは30Wで、下位モデルのEcho Dotの2倍程度になっている。ACアダプターは旧モデルに比べ幅が抑えられており、間隔の狭い電源タップも利用しやすくなった。余談だが、電源ケーブルは少し短めなので、長く取り回したい方は気をつけよう。
そのほか細かなところでは、底面に三脚などを取り付けられるネジ穴が用意されている。ミニ三脚を取り付けてデスクの上に置いても良いし、一脚をスタンド代わりにする、などといった使い方もできそうだ。
また3.5mm端子が、入出力をアプリで切り替えられるようになっていることにも注目したい。さらに温度センサーも内蔵しており、Zigbeeにも対応。スマートデバイスのハブとしての機能も高めている。
マイクの精度はどうか。今回の第4世代になってマイクの感度が悪くなったという書き込みを見かけたが、少なくとも今回の自宅内のテストでは、全く気にならなかった。
遠くから話しかけてもきちんと反応するし、あえてボソボソ話しかけてもきちんと拾ってくれる。それでいて、誤反応はほとんど起こさない。よい仕上がりだと思う。
■サウンドはとにかく「派手」
さて、いよいよサウンドを聴いていこう。Official髭男dism「Pretender」やKing Gnu「白日」といったおなじみのJ-POPから、宇多田ヒカル「真夏の通り雨」、斉藤由貴「卒業」などの女性ボーカル、アイドルソング、洋楽ではアリアナ・グランデやアンダーソン・パークなど、人気楽曲を中心に再生した。
ひと言で言うと、低域、中域、高域がそれぞれ持ち上げられた、派手目なサウンドだ。
低域はズーンと響くし、ベースラインはちょっと驚くほどに強調されている。高級スピーカーでも聴いたことがないベースが聞こえてくるのは、その帯域が持ち上げられていると考えてよいだろう。
ボーカルの表現力はなかなかのもので、押し出し感が強い。高域もかなりクリアで、至近距離で聴いていると、少し「刺さり」が感じられるときもあるほどだ。
この音を好ましく思う方も多いだろうが、少なくともHI-FIサウンドとはいえない。だが1万円少しのスピーカーで、これほど迫力のあるサウンドが聴けるというのはすごいことだ。
褒めているのかどうかわかりにくいかもしれないが、褒めているのだ。いわゆる「原音忠実」を求めるなら、他のスピーカーを探せばよい。派手目な音が好きで、1万円ちょいでスマートスピーカー機能も活用したいというのであれば、これほど適した製品は少ない。
至近距離で音楽をじっくり聴く用途にはあまり向かないが、手軽に迫力のあるサウンドを楽しみたいという用途にはぴったりだ。スマートホーム機能の充実もあわせて、トータルの完成度が高い。
上述したように「HomePod mini」も同じ価格帯で登場するため、音質の違いも気になるところだが、当然ながらEchoとHomePodシリーズを連動させることはできない。定評のある音声認識機能、多くのスキル、対応機器を揃えているEchoシリーズにはアドバンテージがある。
すでにAlexaに慣れている方が、買い替えや買い増しを検討しているのなら、十分におすすめできる製品だ。