公開日 2021/11/24 06:35
【特別企画】レコードやハイレゾの音質もチェック!
デノン渾身のプリメイン「PMA-A110」は、音質強化の司令塔に最適。CDやテレビを“良質な音”で楽しめる!
林 正儀
2020年に創業110周年を迎えたデノンから、アニバーサリーモデルに相応しい渾身の110シリーズが登場した。ラインナップは、プリメインアンプ「PMA-A110」、SACDプレーヤー「DCD-A110」、MCカートリッジ「DL-A110」、AVアンプ「AVC-A110」で、いずれもグラファイト・シルバー仕上げが美しい。
今回は、PMA-A110をシステムの “核”に、SACDやレコード再生はもちろん、ハイレゾや動画配信など、様々なメディアを「良い音」で味わい尽くしてみた。
■"音質"と"使い勝手"のバランスが長けている
熱心なオーディオファイルからライトユーザーまで、多彩な試聴スタイルに対応する「PMA-A110」は、ベースモデルが「PMA-2500NE」であるが、最上位の「PMA-SX1 LIMITED」から数多くのカスタムパーツや高品位パーツを受け継ぎ、同社のサウンドマスターを務める山内氏のサウンドチューニングを施した会心作だ。
増幅回路には、差動2段アンプ構成の新世代UHC-MOS(Ultra High Current MOS)FETを搭載。160W+160W(4Ω)の出力で、強力な駆動力を獲得している。また、最新となるUltra AL32 Processingの搭載により、PCMデータの再現性も強化した。
さらに注目したいのは、LIMITED譲りのパーツとチューニングにより音質的なエッセンスを受け継ぎながらも、上位モデルにはないUSB-DACを搭載し、高いユーザビリティも確保していることだ。パソコンをプレーヤー代わりに使い、手軽にストリーミング再生も楽しめる。CR型フォノ入力も備え、限られたコストの中で徹底的に物量投入を果たしている。細かい仕様変更では、テレビの自動再生機能が追加。本機とテレビを光ケーブルで繋げるだけで、テレビの電源オン操作に連動して本機の電源をオンにすることができる。
■ディスクやレコード再生向けのアナログに特化したモードを搭載
このように、PMA-A110は、?音質"と?使い勝手"のバランスが非常に長けているのだ。まず確認したのが、CD/SACDの再生クオリティ。DCD-A110に、スピーカーは以前の聴き比べでも抜群の相性を誇ったJBLから「L100 Classic 75」を選択。デジタル入力回路の電源やフロントパネルがオフになるアナログモードに加え、トーンコントロールをパススルーするソースダイレトモードで試聴した。
そのサウンドはデノン機らしく、音像全体をしっかりと捉える。タッチが明確で、躍動する力感と繊細さを高次元で表現する。しかも、それだけじゃない。音楽が生き生きとして、どのジャンルも肌合いが実に生々しく、音場感や情報量が豊かなのだ。そのサウンドは、間違いなくワンクラス上と言っていい。
特に女性ヴォーカルのCD再生は俄然良く、藤田恵美『Headphone Concert 2021』は、穏やかで柔らかい声のニュアンスと息継ぎがリアル。会場の空気そのままを再現している。幸田浩子の『ARIA 花から花へ〜オペラ・アリア名曲集』は気高く美しく、しかも潤いがあって思わず聴き惚れてしまう。オケとの距離感もよく分かり、天井まで届くような3次元的な美声に包まれた。
起伏の激しい『幻想交響曲』を聴いてみると、対応力の高さに舌を巻く。小刻みに動く弦、そしてオーボエなど木管がポッと空間に浮かび上がる。「断頭台への行進」はエネルギーが爆発。コントラバスは分厚く響き渡り、ティンパニは荒々しく吠え、ブラスがつき抜ける。ピーク音量でのダイナミズムにも余裕すら感じられる。
次にSACD盤『角田健一ビッグバンド結成30周年「無観客ライブat紀尾井ホール」』を再生。サウンド全体に開放感があり、ブラスやサックス、ドラムスなどのビッグバンドのスケール感がステージいっぱいに且つ重層的に展開。JBLの持ち味である、明るくキレ味のあるバイタリティ溢れるジャズサウンドが眼前に迫ってきた。広大な情報量と空間表現は見事で、SACDでもデノンアンプのドライブ力の高さを実感した次第だ。
■レコード再生は、CR型のフラット増幅でサウンド強化
次はアナログレコードを再生。デノンのレコードプレーヤー「DP-500M」に、「DL-A110」を組み合わせて試聴してみると、まさに音溝から音楽が流れ出るような鮮烈なサウンド。どの盤も痛快なワイドレンジで、ステージの描き方も力強くダイナミックだ。ノラ・ジョーンズ『ティル・ウィー・ミート・アゲイン』は、ポテンシャルの高いライブ感がビンビンと伝わる。ヴォーカルは濃密かつ肉厚なタッチ。ピアノの打音にも気迫がこもる。
DL-A110も、その余韻まであまさずトレースしてくれる。圧倒的なプレゼンス(実在感)とはこの音のためにあると感じた。山本剛トリオの『Misty for Direct Cutting』は霧のように静寂で、透明度あふれる。一方で、マンハッタン・ジャズ・クインテットはその対極で、熱気ムンムン。アグレッシブなライブ演奏が爆発する。キックドラムの低周波がすごい。おお!ステージから風圧が押し寄せた感触だ。
今回は、PMA-A110をシステムの “核”に、SACDやレコード再生はもちろん、ハイレゾや動画配信など、様々なメディアを「良い音」で味わい尽くしてみた。
■"音質"と"使い勝手"のバランスが長けている
熱心なオーディオファイルからライトユーザーまで、多彩な試聴スタイルに対応する「PMA-A110」は、ベースモデルが「PMA-2500NE」であるが、最上位の「PMA-SX1 LIMITED」から数多くのカスタムパーツや高品位パーツを受け継ぎ、同社のサウンドマスターを務める山内氏のサウンドチューニングを施した会心作だ。
増幅回路には、差動2段アンプ構成の新世代UHC-MOS(Ultra High Current MOS)FETを搭載。160W+160W(4Ω)の出力で、強力な駆動力を獲得している。また、最新となるUltra AL32 Processingの搭載により、PCMデータの再現性も強化した。
さらに注目したいのは、LIMITED譲りのパーツとチューニングにより音質的なエッセンスを受け継ぎながらも、上位モデルにはないUSB-DACを搭載し、高いユーザビリティも確保していることだ。パソコンをプレーヤー代わりに使い、手軽にストリーミング再生も楽しめる。CR型フォノ入力も備え、限られたコストの中で徹底的に物量投入を果たしている。細かい仕様変更では、テレビの自動再生機能が追加。本機とテレビを光ケーブルで繋げるだけで、テレビの電源オン操作に連動して本機の電源をオンにすることができる。
■ディスクやレコード再生向けのアナログに特化したモードを搭載
このように、PMA-A110は、?音質"と?使い勝手"のバランスが非常に長けているのだ。まず確認したのが、CD/SACDの再生クオリティ。DCD-A110に、スピーカーは以前の聴き比べでも抜群の相性を誇ったJBLから「L100 Classic 75」を選択。デジタル入力回路の電源やフロントパネルがオフになるアナログモードに加え、トーンコントロールをパススルーするソースダイレトモードで試聴した。
そのサウンドはデノン機らしく、音像全体をしっかりと捉える。タッチが明確で、躍動する力感と繊細さを高次元で表現する。しかも、それだけじゃない。音楽が生き生きとして、どのジャンルも肌合いが実に生々しく、音場感や情報量が豊かなのだ。そのサウンドは、間違いなくワンクラス上と言っていい。
特に女性ヴォーカルのCD再生は俄然良く、藤田恵美『Headphone Concert 2021』は、穏やかで柔らかい声のニュアンスと息継ぎがリアル。会場の空気そのままを再現している。幸田浩子の『ARIA 花から花へ〜オペラ・アリア名曲集』は気高く美しく、しかも潤いがあって思わず聴き惚れてしまう。オケとの距離感もよく分かり、天井まで届くような3次元的な美声に包まれた。
起伏の激しい『幻想交響曲』を聴いてみると、対応力の高さに舌を巻く。小刻みに動く弦、そしてオーボエなど木管がポッと空間に浮かび上がる。「断頭台への行進」はエネルギーが爆発。コントラバスは分厚く響き渡り、ティンパニは荒々しく吠え、ブラスがつき抜ける。ピーク音量でのダイナミズムにも余裕すら感じられる。
次にSACD盤『角田健一ビッグバンド結成30周年「無観客ライブat紀尾井ホール」』を再生。サウンド全体に開放感があり、ブラスやサックス、ドラムスなどのビッグバンドのスケール感がステージいっぱいに且つ重層的に展開。JBLの持ち味である、明るくキレ味のあるバイタリティ溢れるジャズサウンドが眼前に迫ってきた。広大な情報量と空間表現は見事で、SACDでもデノンアンプのドライブ力の高さを実感した次第だ。
■レコード再生は、CR型のフラット増幅でサウンド強化
次はアナログレコードを再生。デノンのレコードプレーヤー「DP-500M」に、「DL-A110」を組み合わせて試聴してみると、まさに音溝から音楽が流れ出るような鮮烈なサウンド。どの盤も痛快なワイドレンジで、ステージの描き方も力強くダイナミックだ。ノラ・ジョーンズ『ティル・ウィー・ミート・アゲイン』は、ポテンシャルの高いライブ感がビンビンと伝わる。ヴォーカルは濃密かつ肉厚なタッチ。ピアノの打音にも気迫がこもる。
DL-A110も、その余韻まであまさずトレースしてくれる。圧倒的なプレゼンス(実在感)とはこの音のためにあると感じた。山本剛トリオの『Misty for Direct Cutting』は霧のように静寂で、透明度あふれる。一方で、マンハッタン・ジャズ・クインテットはその対極で、熱気ムンムン。アグレッシブなライブ演奏が爆発する。キックドラムの低周波がすごい。おお!ステージから風圧が押し寄せた感触だ。