公開日 2022/07/01 06:30
第1回:「オーディオファン/シアターファン両方が要注目な好製品」
マランツ製品、VGP「殿堂入り」! HDMI搭載プリメイン「NR1200」が評価された3つの理由
鴻池賢三
マランツのプリメインアンプ「NR1200」と小型ネットワークCDレシーバー「M-CR612」が、VGP2022 SUMMERで「殿堂入り」を果たした。殿堂入りとは、高い実力を持つロングセラーモデルの証として送られる、栄誉ある賞。VGPアワードには2,000を超える製品がエントリーされるなか、殿堂入りを果たしたのはわずか18製品という点からも、この賞の貴重さがわかる。今回は、そんなマランツの「殿堂入り」2製品の実力を連載形式で特集。まずは「NR1200」の魅力から紹介しよう。
趣味として長らく多くの人々に愛されてきたオーディオ。しかし、より細かく見て行くと、その形態は時代とともに変化し続けてきた。ライフスタイルの変化、音楽の変化、媒介であるメディアの変化、ひいてはその時代の空気感なども反映されているかもしれない。
また、Hi-Fiオーディオは映像との出会いにより、一括りに「オーディオ・ビジュアル」と呼ばれることも多い時代になったのは周知の通り。テレビの薄型化によってサウンドバーといった新しい形態も登場して定着したことも、20年前には想像できなかったことだ。
「NR1200」は、こうした変化の中でも、突然変異の要素を兼ね備えている。進化の最終形と思えた多機能なAVアンプに、再び原点と言えるピュア(ステレオHi-Fi)オーディオの融合は意外と意外である。
AVアンプからは、テレビや周辺ソース機器との接続が便利な「HDMI」を受け継ぎ、ピュアオーディオからはシンプルで「質の良いサウンド」に回帰。オーディオ・ビジュアル業界ではありそうでなかったこの発想が、多くのユーザーに支持され、スマッシュヒットに繋がった。もちろん、単に形態だけでなく、音質、デザイン、使い勝手、価格帯といった全ての要素がユーザーの心に響いたのは言うまでもない。
NR1200が誕生した背景にはマランツの「薄型AVアンプ」の歴史なくしては語れない。
そもそもAVアンプとはオーディオ・ビジュアルシステムの核になるべく、多数の入力切り替え機能、各種オーディオフォーマットのデコードやDA変換など非常な多機能性および、サラウンドサウンドを実現するためのマルチチャンネルアンプを統合し、サイズも含め、モンスターマシン化する傾向があった。
しかし一方で、テレビの薄型化、大画面化という大きな流れがあり、それに伴って、オーディオ機器の収納スペースであるラックは小型化に向かう。そう、リビングに於いては、大型化したAVアンプを導入するのは難しい時代になったのだ。
こうした変化を察知し、マランツは他社に先駆け、2009年夏に薄型のAVアンプ「NR1501」を発売。ユーザーの支持を得て広がり、新しい「薄型AVアンプ」というジャンルを確立したのは記憶に鮮烈。遡ればここがNR1200の原点である。
マランツは、「NR1501」の発売以降、毎年のように改良を積み重ねて新モデルを投入し続けてきたが、その10年で得た利用者の使用状況を聞き取ると、約3割が2chアンプとして利用していることに気が付いたという。
確かに、現代の標準とも言えるリビングを含むLDK間取りは空間が広く、リアスピーカーの設置やケーブルの施設は躊躇しがちだ。マルチチャンネルアンプを2chアンプとして使うことは可能だが、実に勿体ない。そこで製品として2chアンプに絞り込み、無駄を省いてHi-Fi的に質を上げてみればどうなるのか?
「NR1200」はある意味実験的な取り組みだったかもしれないが、結果は品切れを繰り返すほどの大ヒットに。ユーザーの隠れたニーズを見事に掘り起こした格好だ。
「NR1200」のサウンドは、まさにHi-Fiオーディオと言えるもの。左右シンメトリカルレイアウトされ、サウンドマネージャーによって厳選されたパーツを贅沢に用い、丹念にチューニングされた75W+75Wの2chフルディスクリートアンプは、まさにピュアオーディオと呼べる世界。実際にも、静けさまでも描き出すS/Nの高さ、音像の明瞭な定位、そして広大な空間描写などは、「良く出来たアンプ」と実感できる高い水準にある。
また、スピーカー出力端子は2系統搭載し、バイワイヤリングによる高音質化を狙ったり、さらに、2組のスピーカーを接続して切り替えたりといった使い方も可能。アンプとそれを支える電源は、ピュア2ch再生に相応しい骨太な設計で、大型のフロアスタンディングスピーカーを朗々と鳴らすも良し、昔に趣味として楽しんだピュアオーディオ用スピーカーを再び活用してみるのも面白いはず。
また、「NR1200」は、音質を重視したアンプでありながら、機能面では独自のネットワークオーディオ機能「HEOS」に対応し、ネットワーク再生に加え、サブスクリプションのストリーミングサービスにダイレクトアクセスも可能と現代的に進化。
例えば、人気のAmazon Music HDを利用すれば、新譜はもちろん、昔ピュアオーディオ時代に没頭していた音楽を、最新のデジタル技術により、現代に、記憶に、より鮮やかに蘇らせてくれるだろう。
老舗オーディオブランド「マランツ」の中でも、10年にわたるロングセラーの系譜を持つ「NR1200」なら、サウンドもスタイルもオーディオファンの期待に応え、この先も長く付き合えるだろう。今回の「殿堂入り」は、まさしくそうした歴史と実績を称えるものだ。
古き良き時代を知るピュアオーディオファンから、ホームシアターファンまで、注目して欲しい好製品である。
【次回予告】「M-CR612」レポート記事、7月7日(木)掲載予定!
(協力:ディーアンドエムホールディングス)
理由(1):ありそうでなかったHDMIセレクター機能付きHi-Fiアンプ
趣味として長らく多くの人々に愛されてきたオーディオ。しかし、より細かく見て行くと、その形態は時代とともに変化し続けてきた。ライフスタイルの変化、音楽の変化、媒介であるメディアの変化、ひいてはその時代の空気感なども反映されているかもしれない。
また、Hi-Fiオーディオは映像との出会いにより、一括りに「オーディオ・ビジュアル」と呼ばれることも多い時代になったのは周知の通り。テレビの薄型化によってサウンドバーといった新しい形態も登場して定着したことも、20年前には想像できなかったことだ。
「NR1200」は、こうした変化の中でも、突然変異の要素を兼ね備えている。進化の最終形と思えた多機能なAVアンプに、再び原点と言えるピュア(ステレオHi-Fi)オーディオの融合は意外と意外である。
AVアンプからは、テレビや周辺ソース機器との接続が便利な「HDMI」を受け継ぎ、ピュアオーディオからはシンプルで「質の良いサウンド」に回帰。オーディオ・ビジュアル業界ではありそうでなかったこの発想が、多くのユーザーに支持され、スマッシュヒットに繋がった。もちろん、単に形態だけでなく、音質、デザイン、使い勝手、価格帯といった全ての要素がユーザーの心に響いたのは言うまでもない。
理由(2):長い歴史があるマランツの「薄型AVアンプ」から発展
NR1200が誕生した背景にはマランツの「薄型AVアンプ」の歴史なくしては語れない。
そもそもAVアンプとはオーディオ・ビジュアルシステムの核になるべく、多数の入力切り替え機能、各種オーディオフォーマットのデコードやDA変換など非常な多機能性および、サラウンドサウンドを実現するためのマルチチャンネルアンプを統合し、サイズも含め、モンスターマシン化する傾向があった。
しかし一方で、テレビの薄型化、大画面化という大きな流れがあり、それに伴って、オーディオ機器の収納スペースであるラックは小型化に向かう。そう、リビングに於いては、大型化したAVアンプを導入するのは難しい時代になったのだ。
こうした変化を察知し、マランツは他社に先駆け、2009年夏に薄型のAVアンプ「NR1501」を発売。ユーザーの支持を得て広がり、新しい「薄型AVアンプ」というジャンルを確立したのは記憶に鮮烈。遡ればここがNR1200の原点である。
マランツは、「NR1501」の発売以降、毎年のように改良を積み重ねて新モデルを投入し続けてきたが、その10年で得た利用者の使用状況を聞き取ると、約3割が2chアンプとして利用していることに気が付いたという。
確かに、現代の標準とも言えるリビングを含むLDK間取りは空間が広く、リアスピーカーの設置やケーブルの施設は躊躇しがちだ。マルチチャンネルアンプを2chアンプとして使うことは可能だが、実に勿体ない。そこで製品として2chアンプに絞り込み、無駄を省いてHi-Fi的に質を上げてみればどうなるのか?
「NR1200」はある意味実験的な取り組みだったかもしれないが、結果は品切れを繰り返すほどの大ヒットに。ユーザーの隠れたニーズを見事に掘り起こした格好だ。
理由(3):テレビシアターにも、古き良きオーディオファンにも注目して欲しい好製品
「NR1200」のサウンドは、まさにHi-Fiオーディオと言えるもの。左右シンメトリカルレイアウトされ、サウンドマネージャーによって厳選されたパーツを贅沢に用い、丹念にチューニングされた75W+75Wの2chフルディスクリートアンプは、まさにピュアオーディオと呼べる世界。実際にも、静けさまでも描き出すS/Nの高さ、音像の明瞭な定位、そして広大な空間描写などは、「良く出来たアンプ」と実感できる高い水準にある。
また、スピーカー出力端子は2系統搭載し、バイワイヤリングによる高音質化を狙ったり、さらに、2組のスピーカーを接続して切り替えたりといった使い方も可能。アンプとそれを支える電源は、ピュア2ch再生に相応しい骨太な設計で、大型のフロアスタンディングスピーカーを朗々と鳴らすも良し、昔に趣味として楽しんだピュアオーディオ用スピーカーを再び活用してみるのも面白いはず。
また、「NR1200」は、音質を重視したアンプでありながら、機能面では独自のネットワークオーディオ機能「HEOS」に対応し、ネットワーク再生に加え、サブスクリプションのストリーミングサービスにダイレクトアクセスも可能と現代的に進化。
例えば、人気のAmazon Music HDを利用すれば、新譜はもちろん、昔ピュアオーディオ時代に没頭していた音楽を、最新のデジタル技術により、現代に、記憶に、より鮮やかに蘇らせてくれるだろう。
老舗オーディオブランド「マランツ」の中でも、10年にわたるロングセラーの系譜を持つ「NR1200」なら、サウンドもスタイルもオーディオファンの期待に応え、この先も長く付き合えるだろう。今回の「殿堂入り」は、まさしくそうした歴史と実績を称えるものだ。
古き良き時代を知るピュアオーディオファンから、ホームシアターファンまで、注目して欲しい好製品である。
【次回予告】「M-CR612」レポート記事、7月7日(木)掲載予定!
(協力:ディーアンドエムホールディングス)