公開日 2022/12/14 06:30
VGP2023で批評家大賞を受賞
今“ちょうどいい”42インチで最高の視聴体験、LG有機ELテレビ「OLED42C2PJA」の映像はプロを唸らせる
大橋伸太郎
有機ELテレビの新しいトレンドである、42インチモデル。ユーザーからの需要に対して、一歩先を行く供給を実現したのが、LG「OLED42C2PJA」だ。国内最大級のオーディオビジュアルアワード「VGP2023」で批評家大賞を受賞したその実力の詳細をお伝えしたい。
今期のテレビの最大の話題は、有機EL方式の42インチが登場したことである。すでに4社がセットを発売したが、店頭実売価格は20〜30万円前後で4K液晶の55インチが買える価格である。ターゲットは小さくても画質のいいテレビがほしいという層だから、画質はもちろん優れていなければならないが、コントラストに優れた有機ELというだけでなく、このサイズだから得られる映像の魅力があってはじめて、42インチの中型画面有機ELテレビという新カテゴリーがはじまるはずだ。
各社の競作となった42インチ有機ELテレビで、ひときわ強い印象を与えた製品が「OLED42C2PJA」である。VGP2023映像音響部会で、映像クオリティを追求した随一のモデルとして審査員全員の支持を得て、批評家大賞を受賞した。LGが初戦を制したのである。審査員全員をうならせた映像の魅力を語る前にプロフィールを紹介しておこう。
C2シリーズ共通のOLED evoテクノロジーを採用し、第三者機関(インターテック)にてCIE DE2000の125色パターンの色忠実度100%の認証を得た。デジタルシネマの色規格DCI-P3のカラーボリュームも100%を実現している。
映像エンジンには「α9 Gen5 AI Processor」を搭載した。従来、低解像度映像は2Kを経て4Kにアップスケールしたが、これをワンステップで行う。ディープラーニングによるノイズ低減と超解像処理を同時に行う一歩進んだアップスケールである。この点だけ見ても、映像エンジンの性能の高さが窺える。
映像内の顔、身体、オブジェクト(車・動物)、前景、背景を識別し、シャープネスとコントラスト調整を行うAIオブジェクト、1フレームを5,000ゾーンに分割してそれぞれの最も明るい部分と暗い部分を検出し、最適なトーンカーブを適用するダイナミックトーンマッピングプロ、肌色の色調を拡張から除外し自然な人肌を堅持するダイナミックビビッドなど、全方位の進化を遂げた。他モデルでは一部端子だけの対応が多いHDMI 2.1も、4入力全てでサポートする。
加えて、AIが音の反射で視聴空間の広さや形状を認識、視聴位置に合わせて反射の悪影響をなくすAIオートサウンドチューニング、ステレオ音声を立体音響に変えるバーチャル7.1.2chサウンド、Bluetoothといった物理スピーカーの追加に対応するオーディオエンハンスメントテクノロジーなど、サウンドも今期α9 Gen5 AI Processorで進境をみせた。
OLED42C2PJAを視聴した。実機で印象的なのは、潔いまでのミニマリズムの追求だ。薄い。ベゼルが非常に細く、オンにすれば映像だけが浮かび上がる。そして、抱えてみると軽い。中画面サイズの場合、動かしやすいことは重要だ。リビングやダイニングでも活躍するサイズだが、パーソナルなスペースに持ち込むこともできる。55インチ以上だとそうはいかない。
本機は多様なVODに対応し、画面上のホームボタンからVODに入るが、Netflix、Disney+、Amazon Prime Video、U-NEXTについてはリモコンにダイレクトボタンがある。
Netflixオリジナル作品『ブロンド』(4Kドルビービジョン配信)を見てみよう。画質モードは「ドルビービジョンダーク」を選んだ。ノーマ・ジーン役のアナ・デ・アルマスの肌のマゼンタ調の紅潮感、クローズアップの緑の瞳の無垢な透明感に目を奪われる。デジタルプロセスで製作した映像作品の再現範囲と忠実度を高めているわけだが、このワンシーンで広色域ぶりがうかがえる。
アメリカ映画はしばしば作中の時代の映画のルックを取り入れるが、マリリン・モンローの光と影を描いた『ブロンド』では、1950 - 60年代のフィルム映画の粒状感や、マリリンがピンナップに肢体を躍らせたグラビア印刷の低い色温度を撮影とグレーディングに取り入れて、1950年代の映像の既視感とオーバーラップさせていることがわかる。広色域の本機ならではの発見である。
もう一本、映画『デューン』(2K)を「シネマ」モードで見た。スコープサイズの劇場公開作ゆえに上下に黒帯が出るが、OLED42C2PJAは黒が沈み、狭額ベゼルと帯が溶け合うように考えられていて快適だ。天井照明の出力を半分に落とした明るい環境で見たが、シネマモードの設定が的確で、屋内シーンのコントラスト、暗部の沈み、階調も十分で調整いらず。フレメン(砂の民)の青い目も純度高く透明感ゆたかである。
プレーヤーを接続し、4K Ultra HD Blu-ray(UHD BD)でも確かめる。まずはディスプレイ視聴の定番ソフト『8K空撮夜景SKYWALK』。この場合、HDR映像モードが自動選択される。「あざやか」「標準」「シネマブライト」「シネマダーク」「ゲームオプティマイザ」「FILMMAKER MODE」の6種類から選ぶことができるが、本機の推しとなるのが「FILMMAKER MODE」だ。
コンテンツのフレームレートとアスペクトを保持し、白色点D65+色温度6500K、動き補間、エッジ強調とノイズリダクション オフで、原画尊重の画質である。詳細設定、自動ダイナミックコントラスト オフ、ダイナミックトーンマッピングプロ オン、ピーク輝度強、ガンマ2.2、アイケア オフで視聴開始した。ダイナミックトーンマッピングプロはこのソフトの場合、オンがバランスが良い。本機はHDR10+非対応だが、この機能がカバーしてくれそうだ。
42インチモデルのなかでもひときわ強い印象で高い評価を獲得
今期のテレビの最大の話題は、有機EL方式の42インチが登場したことである。すでに4社がセットを発売したが、店頭実売価格は20〜30万円前後で4K液晶の55インチが買える価格である。ターゲットは小さくても画質のいいテレビがほしいという層だから、画質はもちろん優れていなければならないが、コントラストに優れた有機ELというだけでなく、このサイズだから得られる映像の魅力があってはじめて、42インチの中型画面有機ELテレビという新カテゴリーがはじまるはずだ。
各社の競作となった42インチ有機ELテレビで、ひときわ強い印象を与えた製品が「OLED42C2PJA」である。VGP2023映像音響部会で、映像クオリティを追求した随一のモデルとして審査員全員の支持を得て、批評家大賞を受賞した。LGが初戦を制したのである。審査員全員をうならせた映像の魅力を語る前にプロフィールを紹介しておこう。
C2シリーズ共通のOLED evoテクノロジーを採用し、第三者機関(インターテック)にてCIE DE2000の125色パターンの色忠実度100%の認証を得た。デジタルシネマの色規格DCI-P3のカラーボリュームも100%を実現している。
映像エンジンには「α9 Gen5 AI Processor」を搭載した。従来、低解像度映像は2Kを経て4Kにアップスケールしたが、これをワンステップで行う。ディープラーニングによるノイズ低減と超解像処理を同時に行う一歩進んだアップスケールである。この点だけ見ても、映像エンジンの性能の高さが窺える。
映像内の顔、身体、オブジェクト(車・動物)、前景、背景を識別し、シャープネスとコントラスト調整を行うAIオブジェクト、1フレームを5,000ゾーンに分割してそれぞれの最も明るい部分と暗い部分を検出し、最適なトーンカーブを適用するダイナミックトーンマッピングプロ、肌色の色調を拡張から除外し自然な人肌を堅持するダイナミックビビッドなど、全方位の進化を遂げた。他モデルでは一部端子だけの対応が多いHDMI 2.1も、4入力全てでサポートする。
加えて、AIが音の反射で視聴空間の広さや形状を認識、視聴位置に合わせて反射の悪影響をなくすAIオートサウンドチューニング、ステレオ音声を立体音響に変えるバーチャル7.1.2chサウンド、Bluetoothといった物理スピーカーの追加に対応するオーディオエンハンスメントテクノロジーなど、サウンドも今期α9 Gen5 AI Processorで進境をみせた。
画面サイズを感じさせない没入感、コントラストも強み
OLED42C2PJAを視聴した。実機で印象的なのは、潔いまでのミニマリズムの追求だ。薄い。ベゼルが非常に細く、オンにすれば映像だけが浮かび上がる。そして、抱えてみると軽い。中画面サイズの場合、動かしやすいことは重要だ。リビングやダイニングでも活躍するサイズだが、パーソナルなスペースに持ち込むこともできる。55インチ以上だとそうはいかない。
本機は多様なVODに対応し、画面上のホームボタンからVODに入るが、Netflix、Disney+、Amazon Prime Video、U-NEXTについてはリモコンにダイレクトボタンがある。
Netflixオリジナル作品『ブロンド』(4Kドルビービジョン配信)を見てみよう。画質モードは「ドルビービジョンダーク」を選んだ。ノーマ・ジーン役のアナ・デ・アルマスの肌のマゼンタ調の紅潮感、クローズアップの緑の瞳の無垢な透明感に目を奪われる。デジタルプロセスで製作した映像作品の再現範囲と忠実度を高めているわけだが、このワンシーンで広色域ぶりがうかがえる。
アメリカ映画はしばしば作中の時代の映画のルックを取り入れるが、マリリン・モンローの光と影を描いた『ブロンド』では、1950 - 60年代のフィルム映画の粒状感や、マリリンがピンナップに肢体を躍らせたグラビア印刷の低い色温度を撮影とグレーディングに取り入れて、1950年代の映像の既視感とオーバーラップさせていることがわかる。広色域の本機ならではの発見である。
もう一本、映画『デューン』(2K)を「シネマ」モードで見た。スコープサイズの劇場公開作ゆえに上下に黒帯が出るが、OLED42C2PJAは黒が沈み、狭額ベゼルと帯が溶け合うように考えられていて快適だ。天井照明の出力を半分に落とした明るい環境で見たが、シネマモードの設定が的確で、屋内シーンのコントラスト、暗部の沈み、階調も十分で調整いらず。フレメン(砂の民)の青い目も純度高く透明感ゆたかである。
プレーヤーを接続し、4K Ultra HD Blu-ray(UHD BD)でも確かめる。まずはディスプレイ視聴の定番ソフト『8K空撮夜景SKYWALK』。この場合、HDR映像モードが自動選択される。「あざやか」「標準」「シネマブライト」「シネマダーク」「ゲームオプティマイザ」「FILMMAKER MODE」の6種類から選ぶことができるが、本機の推しとなるのが「FILMMAKER MODE」だ。
コンテンツのフレームレートとアスペクトを保持し、白色点D65+色温度6500K、動き補間、エッジ強調とノイズリダクション オフで、原画尊重の画質である。詳細設定、自動ダイナミックコントラスト オフ、ダイナミックトーンマッピングプロ オン、ピーク輝度強、ガンマ2.2、アイケア オフで視聴開始した。ダイナミックトーンマッピングプロはこのソフトの場合、オンがバランスが良い。本機はHDR10+非対応だが、この機能がカバーしてくれそうだ。