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公開日 2024/03/11 06:30
ANC、外音取り込みも納得の音質

とどまる所を知らない音質追求。ゼンハイザー「MOMENTUM True Wireless 4」レビュー

山本敦

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ゼンハイザーはコンシューマ向けのワイヤレスヘッドホン・イヤホンについて、絶えずその「音質」を向上することに全身全霊を傾けているオーディオブランドだ。

現在のラインナップの中で、特にプレミアムクラスの“MOMENTUMシリーズ”については最新鋭のワイヤレステクノロジーも貪欲に盛り込んでいる。完全ワイヤレスイヤホンの新しいフラグシップである「MOMENTUM True Wireless 4」(以下:MTW4)はその代表格だ。

「MOMENTUM True Wireless 4」(予想実売価格:税込49940円前後)

MTW4は2022年に発売した前機種の「MOMENTUM True Wireless 3」(以下:MTW3)からデザインをほぼそのまま踏襲しつつ、内容はさらに充実させている。

MTW4(左)と前機種MTW3(右)は、ケースを含めて形状面でほとんど差異が無い

色合いについては、MTW4(左)では存在感のあるメタリックカラーを採用した

オーディオ的にはQualcomm Snapdragon Soundにも対応した。aptX Adaptiveによる接続時には最大96kHz/24bitの可変ビットレート方式によるハイレゾワイヤレス再生が楽しめるほか、aptX Losslessにも対応したことから、CD音質の非圧縮ワイヤレス再生ができる。

利用可能なBluetooth接続品質は、アプリ「Smart Control」からも確認できる

前機種にはなかったBluetooth LE Audio再生の機能がMTW4に加わる。発売後に実施を予定するソフトウェア・アップデートを経て、スマートフォンなど音楽プレーヤー側とLE Audioでつながる際には音質と低レイテンシ、接続安定性などバランスに優れるLC3コーデックが選べるようになる。なおLE Audioのブロードキャスト機能である「Auracast」もアップデートにより加わることが予告されている。

■磨きに磨いた音質は、バンドの「生音」感すら引き出す


最初にゼンハイザーが磨きをかけたMTW4の音質からチェックした。ドライバーは自社開発による7mm口径のTrueResponseトランスデューサーを前機種から引き継ぎ、チューニングをアップグレードしている。

カラーバリエーションは、ブラックグラファイト/ホワイトシルバーから選べる

年初に米ラスベガスで開催されたエレクトロニクスショー「CES 2024」に出展していたゼンハイザーのブースを訪問した際、本機の担当者は8kHz周辺に残っていたわずかにピーキーなバランスを整えて、3 - 5kHzの高音域は見晴らしを改善したことがチューニングのポイントと語っていた。

自社開発のダイナミックドライバーは前機種と共通だが、チューニングをさらに追い込んでいる

ケースはイヤホン本体のメタリックカラーと馴染む色合いに

試聴はiPhone 15 Proに加え、aptX Adaptiveの再生はAQUOS R8 proでも聴いた。Apple MusicでReiのアルバム『VOICE』から「Love is Beautiful」を再生。ボーカル、エレキギターのメロディが力強く浮かび上がる。音の輪郭線がMTW3よりも一段と鮮明に浮かび上がる印象だ。シンセサイザーやコーラスによるハーモニーはとてもふくよかで色鮮やかだ。ベース、ドラムスの低音は重心が低く抜群に安定している。

特定の音域だけを目立たせることなく、それでいて煌めくエネルギーを伝えるサウンドがMOMENTUMシリーズの魅力。バンドが演奏する「生の音」を全身で浴びているような臨場感に引き込まれ、思わず同じ曲を何度も繰り返し聴いてしまった。

角野隼斗の楽曲「かすみ草」を聴いた。ピアノ、ヴァイオリンが演奏する繊細なメロディは芯をしなやかに、そしてダイナミックに描き出す。楽器の音色が豊かに響き、空間の広がりに限界を感じさせない。ピアニストの指先が鍵盤を優しく、軽やかにタッチする動きが活き活きと蘇る。

MTW4は前機種よりも音楽の足もとが安定感を増したようだ。音楽のジャンルを問わず、ソースのうまみを余すところなく引き出せる実力がさらに一段、飛躍を遂げた。映画にアニメ、ゲームのサウンドもMTW4で聴くと大きな充実感が得られると思う。多くの音楽ファンにぜひ一度試聴してほしい。

同じ楽曲を繰り返し聴き込みたくなる、そんな前機種のサウンドを、MTW4はさらに高い次元へ押し上げた

ノイズキャンセリングや外音取り込みすら“音が良い”

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