公開日 2019/01/21 10:07
[PR]アコースティックラボ「第57回Acoustic Audio Forum」レポート
天井や床を吸音すると音質はどう変わった?“高音質な部屋”づくりのポイントを体験できるイベントに記者が密着
編集部:小野佳希
オーディオファンにとって大きなテーマのひとつである「ルームチューニング」。そんな部屋の環境と音質との関係について、部屋づくりのプロによる解説とともに体験できるイベントが定期的に開催されている。オーディオファン向け物件を多数手がける防音工事会社「アコースティックラボ」による「Acoustic Audio Forum」だ。
「天井面と床面の吸音と反射による再生音場パターンの実験試聴」をテーマに過日開催された最新回「第57回Acoustic Audio Forum」でも、興味深いデモが行われた。その模様をレポートしたい。
■人間の耳では認識しにくい“垂直方向の音質変化”だが実際に体験してみると…
イベントの会場となったのは、同社がオーディオにとって最適な響きを計算して構築した“音がいい防音室”「蔵前ヴィレッジ」。大音量で音楽を楽しんでも外部に音漏れしない高い防音性能だけでなく、音楽を心地よく楽しむための配慮が散りばめられている“音がいい部屋”だ。
前述の通り「Acoustic Audio Forum」は毎月定期的に開催されており、今回は天井面と床面、つまり上下方向の吸音の仕方による音質の変化が体験できるという内容になった。「前回(レポート記事)実施した前後、つまり水平方向での吸音による違いでは参加者の方々の好みは意外とバラついた。そこで、上下方向でも試してみようという試みだ」(同社 鈴木代表)という。
鈴木氏によれば「人間の耳は、水平方向に比べて垂直方向の音の変化は認識しづらい」とのこと。それでは実際に上下方向の吸音具合の違いで、音質はどれくらい異なってくるのだろうか? 記者も興味を掻き立てられながらの取材となった。
当日は、床と天井にそれぞれ吸音材を設置。吸音材ナシの状態との比較試聴デモが行われた。個人的には天井面の吸音を強めた際には全体的にあまりしっくりこなかったのだが、再生する音楽ジャンルによっては「これなら“アリ”かもしれないな」と思わされたケースもあり、非常に興味深い体験だった。
何より、天井の吸音具合を変えるという、個人宅ではなかなか実施しにくい実験が体験できたのもありがたい。こうした点も本イベントの魅力のひとつと言える。
鈴木氏は「この20年くらいで建築が変わってきた」とし、「一般的に、天井はクロス張りでつくられ、中高音は反射される性質がある。床はフローリングのことが多く、こちらも音を反射する」と現代住宅の特性を説明。「本イベントでも、そういう自宅の状況をイメージしながら聞いてもらえればと思う」と述べた。
■ネットワークプレーヤーのLAN DAC機能デモも披露
また、この日は同社がリファレンス機器として導入しているスフォルツァートのネットワークプレーヤー「DSP-03」が昨夏のアップデートで備えた新機能「Diretta(ディレッタ)」(レビュー記事)もデモ。
同機能は、パソコンで再生した音楽信号を、USB-DACのようにUSBケーブルで接続するのではなく、LAN(ネットワーク)で受けるため「LAN DAC」機能とも呼ばれる。
ネットワークプレーヤーでありながらDAC部にも注力しているスフォルツァート製品を、DACとしてのみ利用するというもの。プレーヤー機能はパソコンに任せてDACとしての役割に専念することで、そのDAC能力をフルに出し切ろうという考え方だ。
鈴木氏は「以前に新モデルを用いてデモをしたことはあったが、(数年前のモデルである)DSP-03でも格段に音質が向上した。それを皆さんにも体験していただこうと考えた」と、デモの背景を説明。「いい音源を、高いレベルで再生できる機器の重要性というか、音楽信号の流れで言えば“上流”側がよくなることの効果がおわかりいただけたのではないだろうか」と続けた。
一方で、「オーディオ機器で音楽再生の質が上がっても、その音が鳴る部屋の環境が駄目では意味が薄れてしまう」とコメント。「音の印象を変えてしまうことなく、音を脚色することなく素直に再生できる部屋をつくることが重要だ」と語った。
■実例紹介で“音がいい部屋”構築過程もイメージしやすく
加えて、部屋づくりの過程を具体的にイメージしやすいように、同社が手がけた過去事例も紹介。一戸建てを新築する際に13.5畳の防音オーディオルームを構築した物件の構築過程が紹介された。
この物件の工事過程でのポイントのひとつが、基礎が段差になっているところ。通常、基礎は平らに打つものだが、オーディオルーム部分だけ他の部分よりも低くして基礎を打っている。
これは、床を低くすることで天井高を確保するため。音響的に部屋の縦横高さの寸法比は非常に重要なのだが、この部屋では縦幅と横幅を動かすことが難しかったために、天井高を確保することで寸法比率を整えたのだ。「寸法比の悪い部屋では、特に低音に変なクセが出やすくなってしまう」(同社 草階氏)という。
なお、この物件では家全体の設計・施工を三井ホームが行い、オーディオールーム部分をアコースティックラボが担当。ハウスメーカーと連携しながら“音がいい部屋”づくりが行われた。
そのほか、開閉できる窓を設けるなど防音的に不利な条件があっても充分な防音性能を実現していることや、ホームシアター用のサラウンドスピーカーをインテリアに馴染むデザインで壁に埋め込んでいるなどといった工夫も紹介。「サラウンドスピーカーの埋め込みは建築業者だからこそ可能な工夫だと思う。ご予算に応じて様々なプランをつくれるのでぜひ相談してほしい」とアピールした。
■次回は1月25日・26日に開催
上記のように、オーディオと部屋の関係について様々な体験ができる本イベント。次回は「低音・中音・高音の伝送特性のバランスについて」をテーマに、1月25日(金)・26日(土)に開催されることが決定している。当日は3種類の伝送特性を実際に同社オーディオルームで再現したものを体験できるという。
会場は同じく同社防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」で、金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
・日時:
1月25日(金)18:00〜20:00
1月26日(土)14:00〜16:00
・会場:同社防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)
・ 参加申し込み受付メールフォーム
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/ kusakai@acoustic-designsys.com
「天井面と床面の吸音と反射による再生音場パターンの実験試聴」をテーマに過日開催された最新回「第57回Acoustic Audio Forum」でも、興味深いデモが行われた。その模様をレポートしたい。
■人間の耳では認識しにくい“垂直方向の音質変化”だが実際に体験してみると…
イベントの会場となったのは、同社がオーディオにとって最適な響きを計算して構築した“音がいい防音室”「蔵前ヴィレッジ」。大音量で音楽を楽しんでも外部に音漏れしない高い防音性能だけでなく、音楽を心地よく楽しむための配慮が散りばめられている“音がいい部屋”だ。
前述の通り「Acoustic Audio Forum」は毎月定期的に開催されており、今回は天井面と床面、つまり上下方向の吸音の仕方による音質の変化が体験できるという内容になった。「前回(レポート記事)実施した前後、つまり水平方向での吸音による違いでは参加者の方々の好みは意外とバラついた。そこで、上下方向でも試してみようという試みだ」(同社 鈴木代表)という。
鈴木氏によれば「人間の耳は、水平方向に比べて垂直方向の音の変化は認識しづらい」とのこと。それでは実際に上下方向の吸音具合の違いで、音質はどれくらい異なってくるのだろうか? 記者も興味を掻き立てられながらの取材となった。
当日は、床と天井にそれぞれ吸音材を設置。吸音材ナシの状態との比較試聴デモが行われた。個人的には天井面の吸音を強めた際には全体的にあまりしっくりこなかったのだが、再生する音楽ジャンルによっては「これなら“アリ”かもしれないな」と思わされたケースもあり、非常に興味深い体験だった。
何より、天井の吸音具合を変えるという、個人宅ではなかなか実施しにくい実験が体験できたのもありがたい。こうした点も本イベントの魅力のひとつと言える。
鈴木氏は「この20年くらいで建築が変わってきた」とし、「一般的に、天井はクロス張りでつくられ、中高音は反射される性質がある。床はフローリングのことが多く、こちらも音を反射する」と現代住宅の特性を説明。「本イベントでも、そういう自宅の状況をイメージしながら聞いてもらえればと思う」と述べた。
■ネットワークプレーヤーのLAN DAC機能デモも披露
また、この日は同社がリファレンス機器として導入しているスフォルツァートのネットワークプレーヤー「DSP-03」が昨夏のアップデートで備えた新機能「Diretta(ディレッタ)」(レビュー記事)もデモ。
同機能は、パソコンで再生した音楽信号を、USB-DACのようにUSBケーブルで接続するのではなく、LAN(ネットワーク)で受けるため「LAN DAC」機能とも呼ばれる。
ネットワークプレーヤーでありながらDAC部にも注力しているスフォルツァート製品を、DACとしてのみ利用するというもの。プレーヤー機能はパソコンに任せてDACとしての役割に専念することで、そのDAC能力をフルに出し切ろうという考え方だ。
鈴木氏は「以前に新モデルを用いてデモをしたことはあったが、(数年前のモデルである)DSP-03でも格段に音質が向上した。それを皆さんにも体験していただこうと考えた」と、デモの背景を説明。「いい音源を、高いレベルで再生できる機器の重要性というか、音楽信号の流れで言えば“上流”側がよくなることの効果がおわかりいただけたのではないだろうか」と続けた。
一方で、「オーディオ機器で音楽再生の質が上がっても、その音が鳴る部屋の環境が駄目では意味が薄れてしまう」とコメント。「音の印象を変えてしまうことなく、音を脚色することなく素直に再生できる部屋をつくることが重要だ」と語った。
■実例紹介で“音がいい部屋”構築過程もイメージしやすく
加えて、部屋づくりの過程を具体的にイメージしやすいように、同社が手がけた過去事例も紹介。一戸建てを新築する際に13.5畳の防音オーディオルームを構築した物件の構築過程が紹介された。
この物件の工事過程でのポイントのひとつが、基礎が段差になっているところ。通常、基礎は平らに打つものだが、オーディオルーム部分だけ他の部分よりも低くして基礎を打っている。
これは、床を低くすることで天井高を確保するため。音響的に部屋の縦横高さの寸法比は非常に重要なのだが、この部屋では縦幅と横幅を動かすことが難しかったために、天井高を確保することで寸法比率を整えたのだ。「寸法比の悪い部屋では、特に低音に変なクセが出やすくなってしまう」(同社 草階氏)という。
なお、この物件では家全体の設計・施工を三井ホームが行い、オーディオールーム部分をアコースティックラボが担当。ハウスメーカーと連携しながら“音がいい部屋”づくりが行われた。
そのほか、開閉できる窓を設けるなど防音的に不利な条件があっても充分な防音性能を実現していることや、ホームシアター用のサラウンドスピーカーをインテリアに馴染むデザインで壁に埋め込んでいるなどといった工夫も紹介。「サラウンドスピーカーの埋め込みは建築業者だからこそ可能な工夫だと思う。ご予算に応じて様々なプランをつくれるのでぜひ相談してほしい」とアピールした。
■次回は1月25日・26日に開催
上記のように、オーディオと部屋の関係について様々な体験ができる本イベント。次回は「低音・中音・高音の伝送特性のバランスについて」をテーマに、1月25日(金)・26日(土)に開催されることが決定している。当日は3種類の伝送特性を実際に同社オーディオルームで再現したものを体験できるという。
会場は同じく同社防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」で、金曜日、土曜日の両日とも基本的な内容は同一。公式サイトのメールフォーム、または下記問い合わせ先から参加申し込みを受け付けている。
・日時:
1月25日(金)18:00〜20:00
1月26日(土)14:00〜16:00
・会場:同社防音ショールーム「蔵前ヴィレッジ」
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)
・
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
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