トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > コラム記事一覧

公開日 2021/05/19 14:53
48kHz/24bitは700万曲以上

Apple Musicのハイレゾは100万曲以上でスタート。6月からの進化を探る(前編)

山本 敦
アップルが定額制音楽ストリーミング「Apple Music」に6月から新しく加わるサービスとして、最大192kHz/24bitまでのハイレゾ・ロスレス配信と、ドルビーアトモスによる空間オーディオの提供を発表した。Apple Musicの新しいハイライトについて、独自の取材でわかったことをレポートする。


Apple Musicのロスレス再生が楽しめる環境

Apple Musicのアップデートは現在の月額料金と価格は据え置きで、世界中のすべてのサブスクリプションユーザーに向けて提供される。

最初にロスレスオーディオ配信から解説する。現在9,000万を越えるApple Musicの楽曲カタログを対象に、可逆圧縮コーデック方式のALAC(Apple Lossless Audio Codec)を採用するロスレス配信が実現する格好だ。

ロスレス配信の音源は44.1kHz/16bitと、アップルが “CDより高音質のロスレス” と呼んでいる48kHz/24bitで提供される。

iPhoneにiPad、Macなどアップルのデバイスは単体でそのまま再生できる。iPhone/iPadの場合はLightningイヤホン、または本体のスピーカーで、ロスレス以上のクオリティによる音楽再生が楽しめる。

新しいiMacには6基のスピーカーを内蔵するパワフルなサウンドシステムが内蔵されている。これもまたアップルが推奨する「上質なApple Musicの楽しみ方」のひとつだ。

サウンドシステムを大幅に強化した新しいiMac

また、Apple TV 4KにHDMI接続したサウンドバーなどでも、Apple Musicのロスレス再生が楽しめる。

スマートスピーカー「HomePod」シリーズ、またイヤホン「AirPods」シリーズはロスレス設定のまま聴くこともできるが、再生時にダウンコンバート、またはBluetoothによってワイヤレス送信時に圧縮されることになる。

モバイル通信ストリーミング/Wi-Fi/ダウンロードの音質選択が可能

プレス発表の通り、6月以降はApple Musicアプリの設定から「音楽」>「オーディオ品質」のメニューに入ると、ロスレス以外にもAAC 256kbpsの高音質ストリーミング、または配信時のデータ使用量を抑えるHE-AACによる高効率ストリーミングも選べるようになりそうだ。モバイル通信ストリーミング環境でApple Musicを再生しても、データの使い過ぎを未然に防げる。

なおモバイル通信ストリーミングだけでなく、Wi-Fi再生、端末ダウンロード(キャッシュ)再生も、それぞれ最大192kHz/24bitまでのハイレゾ再生を含む音質が設定から選べるようになる。

ハイレゾ再生は外付けUSB-DACの使用が推奨されている

楽曲のトップページに用意されるファイルのクオリティを示すバッジが表示される

最大192kHz/24bitまでのハイレゾ再生は、先に触れたApple Musicのストリーミング音質設定にハイレゾのチェックを入れた後、iPhoneやiPad、Macに外部USB-DAC機器を接続して再生する。

ハイレゾ楽曲についてはアップルがプレスリリースで説明しているとおり、「アーティストがスタジオで制作したままのロスレスオーディオ」ファイルが、それぞれの製作されたネイティブの音質のまま、アップサンプリングやビット拡張等を行わずに配信する。

ロスレス、ハイレゾ品質による再生時にはミュージックアプリの画面にバッジが表示される。これをタップすると楽曲ごとのサンプリング周波数とビット深度を確かめることができる。

再生中画面の「ロスレスバッジ」をタップすると楽曲の詳しい情報がわかる

ハイレゾ楽曲は100万曲以上からスタート

Apple Musicに用意されるハイレゾ品質の楽曲数も気になるところだ。9,000万曲を越える現在アーカイブされている配信楽曲はすべてロスレスで聴くことができるが、その中でアップルが “CDより高音質のロスレス” と呼ぶ48kHz/24bitの楽曲は700万曲以上、48kHz/24bitを越えるハイレゾ楽曲は100万曲以上がスタート当初の目安になりそうだ。

アップルはAndroid向けのApple Musicアプリも提供している。Android端末でもやはりハイレゾを含むロスレス再生が楽しめる。ハイレゾ対応のスマホやタブレットであれば、外部DAC機器を使わなくても、Apple Musicを良い音で楽しめる所はメリットになるかもしれないが、Androidの場合は機種とアプリの組み合わせによってはハイレゾ再生ができないことも考えられるため、6月以降に実機で検証する必要がある。また一方では6月以降に控えるApple Musicのもうひとつのハイライトである、ドルビーアトモスによる空間オーディオは、Android版では対応していないようだ。

なおApple Musicは現在ブラウザで聴くこともできるが、ブラウザ再生の場合、ハイレゾを含むロスレス再生と、ドルビーアトモスによる空間オーディオの両方とも非対応になる。

読者の多くは、既にハイレゾ再生を楽しむ手段をお持ちと思う。先にハイレゾ音質のストリーミングサービスを開始しているAmazon Music HD、mora qualitasに続いて、新たにApple Musicのアーカイブがハイレゾで楽しめるようになる格好だ。来月のサービス開始後、各サービスのアーカイブに共通する楽曲を聴き比べてみるのも面白そうだ。

Apple Musicではラジオサービスの「Apple Music 1」も提供している。ライブ配信の番組については従来通りの形で配信されることになると思うが、オンデマンドリスニングが可能なアーカイブされた番組についてはロスレスの高音質で聴くこともできるようになるかもしれない。こちらも要注目だ。


関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 【ミニレビュー】空き電源コンセントに挿入するだけ。オーディオみじんこ「SILVER HARMONIZER AC-ADVANCE」
2 連載:世界のオーディオブランドを知る(3)日本発ブランドの象徴「デノン」の歴史を紐解く
3 ボーズ、ながら聴きTWS「Bose Ultra Open Earbuds」にさらに新色。計7色のカラバリを用意
4 FX-AUDIO-、ヘッドホンアンプ/プリアンプとしても使えるコンパクトDAC「DAC-T3J」。税込7480円
5 【完全ワイヤレスイヤホン特集 PART.1】10000円未満のオススメは?
6 日本発、高コスパイヤホン新本命。final「ZE3000SV」は機能充実、そして何より音が良い!
7 BenQ、ノングレアIPSパネル搭載のプログラミング向け31.5型4Kモニター「RD320U」
8 e☆イヤホン、2025年「福耳袋」を12/20から順次販売開始。スタッフセレクト袋や100万円の「超福耳袋」も
9 装着性が向上してさらに進化! “ハイルドライバー” AMT搭載のオープン型ヘッドホン「HEDDphone TWO」を聴く
10 【インタビュー】エソテリックとティアック、進化し続ける2ブランド。世界にアピールする技術力でオーディオを推進
12/18 9:21 更新

WEB