公開日 2024/03/29 06:45
ノーランこだわりのIMAX
アカデミー賞7冠『オッペンハイマー』本日公開。改めて知りたい「ノーランはIMAX一択」なワケ
PHILE WEB編集部
本日3月29日、映画『オッペンハイマー』がいよいよ全国の劇場で公開される。全米では7月に封切られるも、日本での公開については案内がなく、昨年12月の劇場公開決定の報に安堵したという方も多いのではないだろうか。
本作は、原子爆弾開発の指導者的役割を果たし「原爆の父」とも呼ばれる理論物理学者、ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記映画で、先日発表が行われた第96回アカデミー賞授賞式では最多7部門を受賞。屈指のフィルムメイカー、クリストファー・ノーラン監督の最新作というだけでも引きが強いが、日本公開に向けてさらなる箔をつけたといったところだろう。
注目したいのはその撮影方法である。作品公式サイトでもアピールされているように、撮影にはIMAX 65ミリと65ミリ・ラージフォーマット・フィルムカメラを使用。史上初となるIMAXモノクロ・アナログ撮影を実現させている。ノーラン監督はフィルム撮影とIMAXカメラでの撮影にこだわり、2008年の『ダークナイト』での初使用から、映画全編におけるIMAXカメラの使用比率が年々上昇。本作『オッペンハイマー』もその例に洩れない。
そもそもIMAXとは何か。くわしく語り出すと、映画館やプロジェクターや音響システムまで踏み込むことになるが、わかりやすい特徴とは、何と言っても対応作品で見られる「画面アスペクト比の変化」だろう。
一般的な映画館で使用されるアスペクト比としてスタンダード(1.375:1)、シネマスコープ(2.35:1)とあるが、IMAXシアターでIMAXカメラ撮影カットを上映すると、1.90:1の拡大された画面比率で上映される。つまり、通常スクリーンでは見えない部分まで楽しむことができる。『オッペンハイマー』も日本の50ものIMAX館で上映されるので、本作を楽しむのであれば、まずIMAX館での鑑賞をおすすめしたい。
そして、IMAX館でも日本に2サイトしかないIMAXレーザー/GTテクノロジーを導入するグランドシネマサンシャイン池袋、109シネマズ大阪エキスポシティでは、IMAXカメラで撮影されたカットを1.43:1画角のフルサイズで楽しむことができる。画像のように、ウェブサイトのTOPページでシネスコ画角とIMAXフルサイズ画角とで比較してみると、まさに「見える世界」が異なるといった風だ。
IMAXカメラを多用した撮影を行うノーラン監督。もちろん本作はIMAX以外のスクリーンでも観ることはできるが、監督の意図したクリエイトをそのまま浴びるならIMAX館一択といったところ。特にこの週末は、日本公開を今か今かと待ちわびたファンたちが座席確保に走ったこともあり、記事執筆時点ではグランドシネマサンシャイン池袋のIMAX上映回は初日完売、土曜は3回の上映の内2回の上映が完売となっている。
なお記事執筆時点では、池袋グランドシネマサンシャインではIMAXシアターでの『オッペンハイマー』上映回こそ完売しているものの、通常スクリーンでの上映回は購入可能な状況が続く。このようなIMAXへの過集中の流れは『デューン 砂の惑星PART2』でも見られた。
さらに余談ではあるが、『オッペンハイマー』には約17.7kmにもおよぶフィルムロールを映写機に掛ける「IMAX 70mmフィルム上映」というフォーマットも用意。撮影段階からフィルムカメラを用いている本作を視聴する上でまさに「最適解」といった上映形態だが、日本国内では70mm映写機を稼働する商業用の劇場が存在しないため、観ることはできない。非常に残念である。
『オッペンハイマー』は、フィルムメイカー、クリストファー・ノーランのこだわりを堪能し尽くすにはIMAXフォーマットでの鑑賞が必須ともいうべき作品に仕上がっているが、全国10館のドルビーシネマと、109シネマズプレミアム新宿での35mm上映も行われる。同作の米国公式サイトによるとドルビーシネマは「最大108ニットの明るさを実現」と、色彩表現やダイナミックレンジを最大限生かした映像表現を売りにしている。
そして、日本国内で、フィルム撮影された本作を、唯一フィルムで鑑賞できる35mm上映については「オリジナル・ネガの粒状感や質感、アナログ的な色彩を35mmに凝縮した非常に効果的な35mm版を制作しました」とコメント。2回、3回と繰り返し観に行くことがあれば劇場でしか味わえない「フォーマット別の『オッペンハイマー』」を楽しむのも良いだろう。
(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
本作は、原子爆弾開発の指導者的役割を果たし「原爆の父」とも呼ばれる理論物理学者、ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた伝記映画で、先日発表が行われた第96回アカデミー賞授賞式では最多7部門を受賞。屈指のフィルムメイカー、クリストファー・ノーラン監督の最新作というだけでも引きが強いが、日本公開に向けてさらなる箔をつけたといったところだろう。
注目したいのはその撮影方法である。作品公式サイトでもアピールされているように、撮影にはIMAX 65ミリと65ミリ・ラージフォーマット・フィルムカメラを使用。史上初となるIMAXモノクロ・アナログ撮影を実現させている。ノーラン監督はフィルム撮影とIMAXカメラでの撮影にこだわり、2008年の『ダークナイト』での初使用から、映画全編におけるIMAXカメラの使用比率が年々上昇。本作『オッペンハイマー』もその例に洩れない。
■『オッペンハイマー』観るならIMAX一択。初日完売の劇場も
そもそもIMAXとは何か。くわしく語り出すと、映画館やプロジェクターや音響システムまで踏み込むことになるが、わかりやすい特徴とは、何と言っても対応作品で見られる「画面アスペクト比の変化」だろう。
一般的な映画館で使用されるアスペクト比としてスタンダード(1.375:1)、シネマスコープ(2.35:1)とあるが、IMAXシアターでIMAXカメラ撮影カットを上映すると、1.90:1の拡大された画面比率で上映される。つまり、通常スクリーンでは見えない部分まで楽しむことができる。『オッペンハイマー』も日本の50ものIMAX館で上映されるので、本作を楽しむのであれば、まずIMAX館での鑑賞をおすすめしたい。
そして、IMAX館でも日本に2サイトしかないIMAXレーザー/GTテクノロジーを導入するグランドシネマサンシャイン池袋、109シネマズ大阪エキスポシティでは、IMAXカメラで撮影されたカットを1.43:1画角のフルサイズで楽しむことができる。画像のように、ウェブサイトのTOPページでシネスコ画角とIMAXフルサイズ画角とで比較してみると、まさに「見える世界」が異なるといった風だ。
IMAXカメラを多用した撮影を行うノーラン監督。もちろん本作はIMAX以外のスクリーンでも観ることはできるが、監督の意図したクリエイトをそのまま浴びるならIMAX館一択といったところ。特にこの週末は、日本公開を今か今かと待ちわびたファンたちが座席確保に走ったこともあり、記事執筆時点ではグランドシネマサンシャイン池袋のIMAX上映回は初日完売、土曜は3回の上映の内2回の上映が完売となっている。
なお記事執筆時点では、池袋グランドシネマサンシャインではIMAXシアターでの『オッペンハイマー』上映回こそ完売しているものの、通常スクリーンでの上映回は購入可能な状況が続く。このようなIMAXへの過集中の流れは『デューン 砂の惑星PART2』でも見られた。
さらに余談ではあるが、『オッペンハイマー』には約17.7kmにもおよぶフィルムロールを映写機に掛ける「IMAX 70mmフィルム上映」というフォーマットも用意。撮影段階からフィルムカメラを用いている本作を視聴する上でまさに「最適解」といった上映形態だが、日本国内では70mm映写機を稼働する商業用の劇場が存在しないため、観ることはできない。非常に残念である。
■ドルビーシネマ、35mmフィルム上映も実施
『オッペンハイマー』は、フィルムメイカー、クリストファー・ノーランのこだわりを堪能し尽くすにはIMAXフォーマットでの鑑賞が必須ともいうべき作品に仕上がっているが、全国10館のドルビーシネマと、109シネマズプレミアム新宿での35mm上映も行われる。同作の米国公式サイトによるとドルビーシネマは「最大108ニットの明るさを実現」と、色彩表現やダイナミックレンジを最大限生かした映像表現を売りにしている。
そして、日本国内で、フィルム撮影された本作を、唯一フィルムで鑑賞できる35mm上映については「オリジナル・ネガの粒状感や質感、アナログ的な色彩を35mmに凝縮した非常に効果的な35mm版を制作しました」とコメント。2回、3回と繰り返し観に行くことがあれば劇場でしか味わえない「フォーマット別の『オッペンハイマー』」を楽しむのも良いだろう。
(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.
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