AES 2009プロダクトセミナーレポート
Neural Audio担当者&NHK技術者が語る「DTS Neural Surround」の魅力
■DTS Neural Surroundのエンコード/デコード方法とは?
それではDTS Neural Surroundのエンコード/デコードの仕組みとは一体どのようなものなのか。
DTS Neural Surroundのエンコーダーは、5.1ch入力信号をダウンミックスしそれをエンコードすることで2ch信号を生成する。Skaaden氏は「その際に重要なポイントは、ダウンミックス、エンコード処理をおこなうときにアクティブ・コレクションによりチャンネル間の遅延、結合などを調整していることにあります。これにより信号に一貫性を持たせ、ダウンミックス後の音声がイメージしていたものと違ったというような問題を生じにくくします。また明瞭なアナウンスの再生も可能になります」という。
またデコーダーにおいては、「従来のマトリックスデコーダーに比べて優れたチャンネルセパレーションを持っており、位相のズレをなくし、2ch信号からイメージ通りの理想的な5.1chをつくることができます」と説明する。
また5.1ch信号と2ch信号の互換性を持ち、5.1ch/2chを同時入力した場合に、2つの信号を自動検出して最適な処理を行うマルチマージ技術も搭載している。マルチマージ技術を利用することにより、たとえばスポーツ中継のサラウンド放送中に、過去の試合の映像(2ch)を使用して試合のハイライトを流すこといったことが可能になるという。
■アップミックスの「エフェクター」としての利用にも期待
北島氏はDTS Neural Surroundを通常のエンコーダー/デコーダーとしてだけでなく、Up Mixer(デコーダー)のみを使い「エフェクター」として利用するという現場のエンジニアならではのアイディアを実際の使用例を交えて紹介してくれた。
「公開収録をしている音楽番組では、まず空間アンビエンスマイクというオーディエンスマイクを使ってベースとなる5.1chサラウンド空間を作り、そこに2chの楽器をリバーブをかけるような感じでアップミックスします。そうすると楽器の音がサラウンドと混じり合って非常に効果的な空間ができあがります。またスポーツ番組では、サラウンドマイク等でベースのサラウンド空間を作っておき、一部の2ch信号をアップミックスするというような使い方をすることがあります。既設のステレオマイクやカメラのマイクでしか収音できない場合、2chをアップミックスすることでサラウンド空間をスムーズに表現できるようになります」という。
アップミックスにDTS Neural Surroundを使用する理由については、「いろいろなデコーダーを試してみた結果、DTS Neural Surroundが最も位相感が良く、包まれ感が自然な音声を生成できると判断したから」だと説明する。
また今年7月に放送されたNHK広島放送局制作のサラウンドドラマ「火の魚」(中国地方限定で放送)でもDTS Neural SurroundのUp Mixer(デコーダー)を利用し、サラウンド素材で作った空間の一部に2ch素材を差し込むという手法を使ったという。
「このドラマではベース音と呼ばれるザーッ、ゴーッといった音をサラウンドで作りました。そして汽笛の音やドアが開く音などの象徴的な音を2chでサラウンド空間内に定位させ、ライブラリーにある2ch素材をDTS Neural Surroundでアップミックスして作りあげています。終盤に主人公が病院の廊下を歩くシーンがあるのでがあるのですが、そこでははじめリバーブがかったBGMのように流れているピアノの音が、主人公の心情にあわせて徐々に生のピアノの音になるという演出をしました。ピアノの音はCDに収録された2ch素材をアップミックスして使用しています。本来ならばわざわざピアノのソロ演奏をサラウンドで収録しなければいけないところですが、その手間をかけずに今までのステレオ素材を有効活用することができる。そしてこのような効果的な空間を作れるというのはとても便利です」と、そのメリットを説明。
エフェクターとしてのアップミックスの使い方はまだ現場でそれほど普及していないそうだが、サラウンドの醍醐味のひとつとして今後も提案していきたいと北島氏は語ってくれた。
それではDTS Neural Surroundのエンコード/デコードの仕組みとは一体どのようなものなのか。
DTS Neural Surroundのエンコーダーは、5.1ch入力信号をダウンミックスしそれをエンコードすることで2ch信号を生成する。Skaaden氏は「その際に重要なポイントは、ダウンミックス、エンコード処理をおこなうときにアクティブ・コレクションによりチャンネル間の遅延、結合などを調整していることにあります。これにより信号に一貫性を持たせ、ダウンミックス後の音声がイメージしていたものと違ったというような問題を生じにくくします。また明瞭なアナウンスの再生も可能になります」という。
またデコーダーにおいては、「従来のマトリックスデコーダーに比べて優れたチャンネルセパレーションを持っており、位相のズレをなくし、2ch信号からイメージ通りの理想的な5.1chをつくることができます」と説明する。
また5.1ch信号と2ch信号の互換性を持ち、5.1ch/2chを同時入力した場合に、2つの信号を自動検出して最適な処理を行うマルチマージ技術も搭載している。マルチマージ技術を利用することにより、たとえばスポーツ中継のサラウンド放送中に、過去の試合の映像(2ch)を使用して試合のハイライトを流すこといったことが可能になるという。
■アップミックスの「エフェクター」としての利用にも期待
北島氏はDTS Neural Surroundを通常のエンコーダー/デコーダーとしてだけでなく、Up Mixer(デコーダー)のみを使い「エフェクター」として利用するという現場のエンジニアならではのアイディアを実際の使用例を交えて紹介してくれた。
「公開収録をしている音楽番組では、まず空間アンビエンスマイクというオーディエンスマイクを使ってベースとなる5.1chサラウンド空間を作り、そこに2chの楽器をリバーブをかけるような感じでアップミックスします。そうすると楽器の音がサラウンドと混じり合って非常に効果的な空間ができあがります。またスポーツ番組では、サラウンドマイク等でベースのサラウンド空間を作っておき、一部の2ch信号をアップミックスするというような使い方をすることがあります。既設のステレオマイクやカメラのマイクでしか収音できない場合、2chをアップミックスすることでサラウンド空間をスムーズに表現できるようになります」という。
アップミックスにDTS Neural Surroundを使用する理由については、「いろいろなデコーダーを試してみた結果、DTS Neural Surroundが最も位相感が良く、包まれ感が自然な音声を生成できると判断したから」だと説明する。
また今年7月に放送されたNHK広島放送局制作のサラウンドドラマ「火の魚」(中国地方限定で放送)でもDTS Neural SurroundのUp Mixer(デコーダー)を利用し、サラウンド素材で作った空間の一部に2ch素材を差し込むという手法を使ったという。
「このドラマではベース音と呼ばれるザーッ、ゴーッといった音をサラウンドで作りました。そして汽笛の音やドアが開く音などの象徴的な音を2chでサラウンド空間内に定位させ、ライブラリーにある2ch素材をDTS Neural Surroundでアップミックスして作りあげています。終盤に主人公が病院の廊下を歩くシーンがあるのでがあるのですが、そこでははじめリバーブがかったBGMのように流れているピアノの音が、主人公の心情にあわせて徐々に生のピアノの音になるという演出をしました。ピアノの音はCDに収録された2ch素材をアップミックスして使用しています。本来ならばわざわざピアノのソロ演奏をサラウンドで収録しなければいけないところですが、その手間をかけずに今までのステレオ素材を有効活用することができる。そしてこのような効果的な空間を作れるというのはとても便利です」と、そのメリットを説明。
エフェクターとしてのアップミックスの使い方はまだ現場でそれほど普及していないそうだが、サラウンドの醍醐味のひとつとして今後も提案していきたいと北島氏は語ってくれた。
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