<山本淳のAV進化論 第24回>単体でハイレゾ対応できた理由とは?
「Xperia Z3」ハイレゾ再生の詳細を開発者に訊く − 音質もレポート
「前機種のZ2でハイレゾに対応することを決めた時点から、その先にはヘッドホン端子からの出力にも対応して、再生できるファイルフォーマットも広げたいという思いはありました。そこに向けて実際のフィーチャーをどう落とし込んでいくかという部分で詳細を詰める時間が必要でした」(田代氏)。
結果としてZ3シリーズでは、ハイレゾのファイルフォーマットはWAVとFLACのほかにALAC(アップルロスレス)の再生をサポート。AIFFは非対応になる。USBは従来通り192kHz/24bitまでの出力に、ヘッドホン端子では96kHz/24bitまでの出力にそれぞれ対応する。ほかにもDSDはリニアPCM変換により2.8MHzまでのファイル再生(DSF/DSDIFF)が行える。
Z2の登場から約半年という短いインターバルで、ヘッドホン端子からのハイレゾ出力ができるようになった理由を田代氏に訊ねた。
「Xperia Zシリーズは、もともと本体にハイレゾ対応のDACやアンプといったハードのデバイスが入っていないので、ハードによる制限がありません。その分、内蔵されているクアルコムのオーディオコーデック・チップを使って、ハイレゾ対応をソフトウェアレベルで実現・進化していくことが基本的な開発のスタイルです。ヘッドホンからのハイレゾ出力には一貫して取り組んできましたが、いよいよ商品に搭載して発表できる最良のタイミングが今回訪れたというわけです」(田代氏)。
■USBとイヤホン端子でハイレゾ対応レベルが違うのはなぜ?
ハイレゾのファイルをデコード処理してPCM信号に変換する段をアプリケーションプロセッサーが担当、DA変換の処理はオーディオコーデック・チップが行う。USB経由とヘッドホン端子経由の間で出力できるファイルの周波数帯域とビット深度のスペックが異なっている理由はどこにあるのだろうか。
この点について田代氏は「両者は基本的に同じ処理を行っているのですが、アプリケーションプロセッサーで処理した信号をヘッドホン端子から出力する段で、クアルコムのオーディオコーデック・チップの中に入っているアンプとの接続パスに制限があります。そのため、ヘッドホン端子からの出力については96kHz/24bitに止まっています」と説明する。
さらにヘッドホン出力もハイレゾ対応になったことで、ヘッドホン側の最終のアナログ回路についても入念にチューニングが行われたと田代氏は説明を加える。