小泉今日子ハイレゾ化キーマンに訊く制作裏話と音へのこだわり
80年代を席捲したアイドルである中森明菜や松田聖子の作品がハイレゾ化され、大きな話題を生んでいるが、3月21日からはついに小泉今日子のハイレゾ配信もスタート。全シングル42曲が一斉に登場する。
小泉今日子の楽曲の魅力は、“アイドル歌手"という存在を超えるような高いクオリティだ。筒美京平、馬飼野康二、松本隆、秋元康、康珍化など超一流制作陣による歌詞とメロディはもちろん、今回のハイレゾ版では当時の第一線で活躍していたレコーディングエンジニアが作り上げた魅力的な音や、その時代のサウンドを存分に楽しむことができる。デビュー以来停滞せず展開し続けてきた、キョンキョンというアイコンの魅力を余すところなく味わえるというわけだ。
ハイレゾ化にあたっては、マスターはアナログマスターテープとデジタルトラックダウンマスター(44.1kHz/16bit)を使用。デジタルマスターのものはK2HDプロセッシングを行った96kHz/24bit WAV/FLACでの配信となる。
小泉今日子を手掛けたプロデューサーである田村充義氏、当時の楽曲のレコーディングを担当しハイレゾ化の監修も行ったエンジニア高田英男氏、そしてハイレゾマスタリングを担当したFLAIRのエンジニア川崎洋氏に、当時の制作環境やハイレゾ化にあたっての秘話などをうかがった。(聞き手:鈴木 裕)
◇ ◇ ◇
― 田村さんが小泉今日子さんを担当していた時期はいつ頃だったんですか。
田村:1983年5月の「まっ赤な女の子」から、2008年8月配信スタートの「Innocent Love」までです。
― というと、デビューして1年くらい経ってからですね。
田村:そうです。以来2008年まで、その時代時代に合ったエンターテインメント性溢れる曲からしっとり聴かせるものまで、さまざまな方向の作品を作ってきました。サウンドも作品ごとに合うようなミックスです。今回のハイレゾ化は、今の時代の基準で作り直すという役割も持っています。時代に磨かれ生き残ってきた作品を、今の時代の目線で揃えるというような感じです。
高田:元々小泉さんの楽曲は、作品のコンセプトやサウンドの狙いが明確なんですよね。なので、音楽として表現したかったサウンドは当時と基本的に変わらず、今の時代の技術によってその中のある部分が引き出されるという感じだと思います。
― 川崎さんは、ハイレゾ化にあたってマスタリングエンジニアとしては何か意識しましたか。
川崎:特にハイレゾだからどうこうという意識は持っていません。そんな意識を持つと、音楽が変わってしまいますから。最初にまずマスターを聴いて自分がどう思うかというところからスタートしました。今回は当時を知る田村さん、高田さんに聴いてもらって方向性を確認・修正しています。
高田:当時の現場の制作スタッフとしては、インパクト重視の派手な音を目指していました。最終的にヒットする、売れるということが大事ですから。筒美京平さんが「“良い音”と“売れている音”は違うんだよ」と、とあるエンジニアの方にお話しされていたことを思い出しますね。
個人的にはリズムセクションのまとめ方を強く意識していました。ビート感、グルーヴ感といった部分です。あとは生のストリングスですね。透明感であったり、いい意味で色付けをするというのに気を配りましたね。
1980年代というのは、レコーディングエンジニアが各々自分のカラーを出していった時代でした。そして小泉今日子さんの楽曲は、それがつながっていっている感じがします。
小泉今日子の楽曲の魅力は、“アイドル歌手"という存在を超えるような高いクオリティだ。筒美京平、馬飼野康二、松本隆、秋元康、康珍化など超一流制作陣による歌詞とメロディはもちろん、今回のハイレゾ版では当時の第一線で活躍していたレコーディングエンジニアが作り上げた魅力的な音や、その時代のサウンドを存分に楽しむことができる。デビュー以来停滞せず展開し続けてきた、キョンキョンというアイコンの魅力を余すところなく味わえるというわけだ。
ハイレゾ化にあたっては、マスターはアナログマスターテープとデジタルトラックダウンマスター(44.1kHz/16bit)を使用。デジタルマスターのものはK2HDプロセッシングを行った96kHz/24bit WAV/FLACでの配信となる。
小泉今日子を手掛けたプロデューサーである田村充義氏、当時の楽曲のレコーディングを担当しハイレゾ化の監修も行ったエンジニア高田英男氏、そしてハイレゾマスタリングを担当したFLAIRのエンジニア川崎洋氏に、当時の制作環境やハイレゾ化にあたっての秘話などをうかがった。(聞き手:鈴木 裕)
― 田村さんが小泉今日子さんを担当していた時期はいつ頃だったんですか。
田村:1983年5月の「まっ赤な女の子」から、2008年8月配信スタートの「Innocent Love」までです。
― というと、デビューして1年くらい経ってからですね。
田村:そうです。以来2008年まで、その時代時代に合ったエンターテインメント性溢れる曲からしっとり聴かせるものまで、さまざまな方向の作品を作ってきました。サウンドも作品ごとに合うようなミックスです。今回のハイレゾ化は、今の時代の基準で作り直すという役割も持っています。時代に磨かれ生き残ってきた作品を、今の時代の目線で揃えるというような感じです。
高田:元々小泉さんの楽曲は、作品のコンセプトやサウンドの狙いが明確なんですよね。なので、音楽として表現したかったサウンドは当時と基本的に変わらず、今の時代の技術によってその中のある部分が引き出されるという感じだと思います。
― 川崎さんは、ハイレゾ化にあたってマスタリングエンジニアとしては何か意識しましたか。
川崎:特にハイレゾだからどうこうという意識は持っていません。そんな意識を持つと、音楽が変わってしまいますから。最初にまずマスターを聴いて自分がどう思うかというところからスタートしました。今回は当時を知る田村さん、高田さんに聴いてもらって方向性を確認・修正しています。
高田:当時の現場の制作スタッフとしては、インパクト重視の派手な音を目指していました。最終的にヒットする、売れるということが大事ですから。筒美京平さんが「“良い音”と“売れている音”は違うんだよ」と、とあるエンジニアの方にお話しされていたことを思い出しますね。
個人的にはリズムセクションのまとめ方を強く意識していました。ビート感、グルーヴ感といった部分です。あとは生のストリングスですね。透明感であったり、いい意味で色付けをするというのに気を配りましたね。
1980年代というのは、レコーディングエンジニアが各々自分のカラーを出していった時代でした。そして小泉今日子さんの楽曲は、それがつながっていっている感じがします。