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<山本敦のAV進化論 第63回>

「AWA」ロングインタビュー。AppleやLINEと競うための “秘伝のタレ” とは?

公開日 2015/07/23 10:55 山本 敦
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「8曲という上限を設定したのは、渾身のプレイリストに絞り込んでから公開して欲しいと考えているからです。また、日本人が通勤・通学などで1度に移動する時間がだいたい40分前後と言われていて、これが5分の楽曲をちょうど8曲ほど並べた時間尺と同じになります。女性が半身浴にかける時間や、人間が連続して集中力を出せる時間も40分とも言われていますので、色々な統計を並べてベストの長さと判断しました」。

1つのプレイリストに公開できる曲は8曲まで

確かに、CDのアルバムも40分前後の再生時間に揃っていることが多い。なお、1人のユーザーが公開できるプレイリストの件数は無制限だ。

タイトルと説明を付けて公開

プレイリストがAWAのサービス上に繁茂してしまうと、かえって雑然となって使いづらくなる心配はないだろうか。例えばApple Musicでは音楽に精通する“キュレーター”がつくったプレイリストが提供され、LINE MUSICも同様にサービス側が公式プレイリストを提供しているが、両サービスには、一般ユーザーがプレイリストをサービス上に公開できる機能がない。

「定額制音楽配信サービスの良いところは、月額固定の“聴き放題”な環境で膨大なアーカイブにアクセスできるところにあります。ですが、楽曲が増えると何を聴いていいのかわからなくなる方も多くなります。そこでAWAの場合も、他の定額制音楽配信サービスと同じく『レコメンド機能』に力を入れています」と小野氏。さら説明は続く。

「はじめは曲単位で波形や楽器の種類、バンド形態やボーカルの声質などを解析して、テクノロジーの力で『機械型レコメンド』のエンジンをつくってみました。すると、確かにユーザーの好みに合いそうな曲がレコメンドされるのですが、誰の曲かすらもよくわからず、再生してみようという気になれない曲ばかりが並ぶようになってしまいました」。

「そこで第2段階として、ユーザーがつくった “プレイリスト単位で機械レコメンド ”する仕組みをつくってみることにしました。AWAのレコメンド機能の仕組みは “2段階構成” になっているのが特徴です。1段目がユーザーの手によるキュレーション、2段階目がアルゴリズムによるレコメンドエンジンを活用しています。その結果、面白い楽曲がおすすめできるようになりました。これがいまのアプリに搭載されている『Discovery』メニューです」。

小野氏がホワイトボードに書いてくれたレコメンドシステムのイメージ

ユーザーが「My Favorites」としてお気に入りに入れているアーティストや、聴いている楽曲の傾向を分析し、それらと特に親和性の高いプレイリストを解析しながら表示しているのが、「Home」メニューの中にある「Discovery」だ。Apple Musicで言うところの「For You」に相当するものと捉えて良いだろう。ちなみにプレイリストには作成したユーザーの名前も表示され、そのユーザーがつくった他のプレイリストも参照できる。

ユーザーが公開したプレイリストをベースに、プレイリスト単位で楽曲をレコメンドする「Discovery」のメニュー

ちなみにDiscoveryの隣にある「Trending」はランキング専門のメニュー。「Top 100 Tracks on AWA」では音楽ジャンルに関係なく、直近24時間で再生回数の多い楽曲を表示する。ほかにもジャンルごとに、直近24時間の再生回数の多い曲がTop 20までランキングになっている。画面を下にスクロールすると出てくる「Playlist Top 100」も同じロジックで生成されている。

TRENDINGのメニューからはプレイリストのトップ100ランキングも参照できる

なお、浜崎あゆみや小室哲哉、VERBALなど有名アーティストも、AWAのユーザーとしてプレイリストを公開している。有名人は“なりすまし”が発生しないように、アカウントにオレンジの★マークが付いているが、AWAとしてアーティストのプレイリストを別セクションにまとめて特集したり、特別扱いしない方針だという。その意図を「AWAはユーザーが聞きたい音楽を自然に選べるよう、サポートする立場でいたいから」と小野氏は説明する。

浜崎あゆみ、VERBALや小室哲哉など有名人もプレイリストを提供している


■モバイル端末での操作性にこだわったユーザーインターフェース

AWAのユーザーインターフェースは、レスポンスが良くデザインも使いやすいと評判が高い。「ここは一番こだわって作ったところ」と小野氏も胸を張る。「AWAでは小手先のテクニックではなく、本当に出来の良いものが最終的にユーザーの支持を集めるという信念のもと、サービスを高めています。だから、最も本質的な部分であるユーザーインターフェースには力を入れています」。

次ページ楽曲のラインナップにも「AWAらしさ」

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