Pyramixのサウンドを家庭で
高音質DAWの最高峰がオーディオ参入。マージングが投入する「NADAC」の全貌を開発責任者に聞く
9月下旬、東京・国際フォーラムにて開催された「東京インターナショナルオーディオショウ2015」。ここ数年のトレンドとしては、言うまでもなくパソコンやネットワークを活用するネットオーディオ分野に関わる製品が多く登場したことだろう。今年もさまざまなブランドからこうしたネットオーディオ分野の新製品が登場していたが、なかでもひとつ、これからのオーディオシーンにとって注目すべき製品が登場した。(株)エレクトリのブースで展示されていたスイス、マージング・テクノロジーズ「NADAC」である。
高音質レーベルから絶大な支持を受けるDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェア「Pyramix System」を手掛ける同社。このNADACはそんなマージング・テクノロジーズ初となるコンシューマーオーディオ機器だ。
今回、NADACの日本発表に合わせて同社のソフト・エンジニアリングを取り仕切る人物であると同時に、NADACの開発責任者でもあるDominique Brulhart氏が来日。NADACについてお話を伺いすることができた。
■「Pyramixのマージング」がコンシューマー市場へ乗り出した理由
―おそらく、日本のオーディオファイルにとっては、マージングというよりも「Pyramix(ピラミックス)」という名前のほうが浸透しているかもしれません。それほど最近のハイレゾ、特にDSDの分野ではPyramixを使用したことを主張するレーベルが増えています。まずはブランドについてご紹介ください。
Bruhart氏 マージングは、ナグラで「NAGRA IV-S」や「T-Audio」などの製品開発・設計に携わったClaude Cellierによって1990年に創立されました。当初からビデオソリューションやロスレスでリアルタイム・レコーディングなどを行うためのシステム開発を行っていて、2000年代の初頭には当時SACDのレコーディングやマスタリングに活用されたDXD(Digital eXtreme Definition)フォーマットをフィリップスとのコラボレーションにより開発しました。こうしたハイサンプルの処理を実現したDAWが、Pyramix Virtual Studioだったというわけです。
私たちのサウンドにまつわる基本的なポリシーは色のないソリューション、存在を感じさせないソリューションを作るといったところでしょうか。つまり、あくまで「黒子」に徹するということですね。
―2LやBlue Coast Music、そして日本のUNAMASなど、日本のオーディオファイルにとって馴染み深い高音質レーベルがこぞってPyramix Systemを採用していることもあって、制作に関わる方々だけでなくデジタルオーディオファイルにとっても「Pyramix=高音質」というイメージが付いた印象があります。
Bruhart氏 当然、私たちはPyramix Systemがベストなレコーディング・ソリューションであると自信を持っているわけですが、一般のオーディオファイルの方々が認識してくださるほど知名度が高いとは感じていませんでした。ですので、今回来日してオーディオファイルの方からPyramixの名前が出ることに非常に驚いています。特にDSDフォーマットへの関心の高さにおいて、日本は世界でもトップクラスだと感じました。
―今回のNADACは、マージング・テクノロジーズとして初めてのコンシューマー向け製品ということですが、まずはなぜコンシューマー市場へ製品を投入することになったのかを教えてください。
Bruhart氏 私たちのカスタマーは、先ほどお話にも出たとおり高音質を志向する音楽レーベルです。つまり、DSDやDXDでのレコーディングや、マルチチャンネルでの制作を積極的に行うレーベルですね。これらのフォーマットを最終的にリスナーの元へ届けるにはSACDやDVD-Audioとなるわけですが、現在、これらディスクメディアを再生することのできるドライブそのものが存続の危機とも言える状況となっています。そんな状況を受けて、Pyramix Systemをご愛用いただいている皆様からは、「自分たちが作ったサウンドを、そのままのクオリティで再生するためのD/Aコンバーターを作って欲しい」という要望が非常に高まっていたのです。これがNADAC登場の最も大きなきっかけですね。
私たちはPyramix Systemでハイサンプルを扱うためのサウンドドライバーの開発を行なっていましたし、ハードウェア面でもHORUSやHAPIといったAD/DAコンバーターを開発して、これらはサウンド面でも高い評価をいただいていました。であれば、私たちのソリューションをコンシューマー用にアレンジして開発しよう、とプロジェクトがスタートしたわけです。
高音質レーベルから絶大な支持を受けるDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトウェア「Pyramix System」を手掛ける同社。このNADACはそんなマージング・テクノロジーズ初となるコンシューマーオーディオ機器だ。
今回、NADACの日本発表に合わせて同社のソフト・エンジニアリングを取り仕切る人物であると同時に、NADACの開発責任者でもあるDominique Brulhart氏が来日。NADACについてお話を伺いすることができた。
■「Pyramixのマージング」がコンシューマー市場へ乗り出した理由
―おそらく、日本のオーディオファイルにとっては、マージングというよりも「Pyramix(ピラミックス)」という名前のほうが浸透しているかもしれません。それほど最近のハイレゾ、特にDSDの分野ではPyramixを使用したことを主張するレーベルが増えています。まずはブランドについてご紹介ください。
Bruhart氏 マージングは、ナグラで「NAGRA IV-S」や「T-Audio」などの製品開発・設計に携わったClaude Cellierによって1990年に創立されました。当初からビデオソリューションやロスレスでリアルタイム・レコーディングなどを行うためのシステム開発を行っていて、2000年代の初頭には当時SACDのレコーディングやマスタリングに活用されたDXD(Digital eXtreme Definition)フォーマットをフィリップスとのコラボレーションにより開発しました。こうしたハイサンプルの処理を実現したDAWが、Pyramix Virtual Studioだったというわけです。
私たちのサウンドにまつわる基本的なポリシーは色のないソリューション、存在を感じさせないソリューションを作るといったところでしょうか。つまり、あくまで「黒子」に徹するということですね。
―2LやBlue Coast Music、そして日本のUNAMASなど、日本のオーディオファイルにとって馴染み深い高音質レーベルがこぞってPyramix Systemを採用していることもあって、制作に関わる方々だけでなくデジタルオーディオファイルにとっても「Pyramix=高音質」というイメージが付いた印象があります。
Bruhart氏 当然、私たちはPyramix Systemがベストなレコーディング・ソリューションであると自信を持っているわけですが、一般のオーディオファイルの方々が認識してくださるほど知名度が高いとは感じていませんでした。ですので、今回来日してオーディオファイルの方からPyramixの名前が出ることに非常に驚いています。特にDSDフォーマットへの関心の高さにおいて、日本は世界でもトップクラスだと感じました。
―今回のNADACは、マージング・テクノロジーズとして初めてのコンシューマー向け製品ということですが、まずはなぜコンシューマー市場へ製品を投入することになったのかを教えてください。
Bruhart氏 私たちのカスタマーは、先ほどお話にも出たとおり高音質を志向する音楽レーベルです。つまり、DSDやDXDでのレコーディングや、マルチチャンネルでの制作を積極的に行うレーベルですね。これらのフォーマットを最終的にリスナーの元へ届けるにはSACDやDVD-Audioとなるわけですが、現在、これらディスクメディアを再生することのできるドライブそのものが存続の危機とも言える状況となっています。そんな状況を受けて、Pyramix Systemをご愛用いただいている皆様からは、「自分たちが作ったサウンドを、そのままのクオリティで再生するためのD/Aコンバーターを作って欲しい」という要望が非常に高まっていたのです。これがNADAC登場の最も大きなきっかけですね。
私たちはPyramix Systemでハイサンプルを扱うためのサウンドドライバーの開発を行なっていましたし、ハードウェア面でもHORUSやHAPIといったAD/DAコンバーターを開発して、これらはサウンド面でも高い評価をいただいていました。であれば、私たちのソリューションをコンシューマー用にアレンジして開発しよう、とプロジェクトがスタートしたわけです。