「とんがった、期待を超えるものを」
東芝REGZAはこれからどうなる? '16年以降の戦略を本村氏・片岡氏に聞く
ーー 今後は早期に黒字化する必要があると思います。これに向けた道筋についてもかんたんにご説明頂けますか。
本村氏:ビジネスモデルは3つの軸で考えています。1つはこれまで通り、テレビを作ってご購入頂くというものです。2つめはクラウド。社内では「モノからコトへ」と言っていますが、今後クラウドサービスの重要性は間違いなく高まります。このクラウドは片岡が担当します。最後、3つめとして強化したいのはBtoBの分野ですね。
先日発表させていただいたREGZAの日本開発/生産モデル「S11」(関連ニュース)は、BtoCはもちろん、BtoB需要も意識して開発したモデルです。ホテルはもちろん、小型モデルの需要が大きい病院のベッド用などにもお使い頂けます。こういった需要の掘り起こしを積極的に行っていきます。
ーー よくわかりました。それでは続いて、「高付加価値製品」へ注力するということについて、具体的にご説明をいただけますか。おそらくここが、当サイトをお読みの方々が最も興味のある部分だと思うのですが。
本村氏:まず環境の面からいうと、2016年後半から「薄型テレビから薄型テレビの買い替え」が本格化します。振り返ると2006年、2007年頃から地デジ需要での買い換えが進みましたが、そこから約10年を迎えるわけです。2020年には東京オリンピックも控えていますし、リビング向けの大型テレビの需要は確実に拡大していきます。
そうなると、もっと大きく、もっと高画質に、というニーズがさらに高まるでしょう。直近でも、この年末商戦では49インチ以上の7割超が4Kテレビという構成になっています。我々の現在のフラグシップモデルであるZ20Xも大変評判が良く、「高画質を突き詰めたことがこれほど受け入れられるとは」と、意を強くしています。
ということで、まず高画質・大画面という方向性はこれまでどおり、あるいはさらに強化して進めていきます。
片岡氏:一方で、お客様の視聴スタイルの変化という側面も見逃せません。いわゆる「若者のテレビ離れ」問題ですね。スマホで検索することに慣れた若い方々は、「放送時間まで待とう」「とりあえずテレビの電源を入れよう」というカルチャーがない。特にひとり暮らしの方はそれが顕著です。
テレビがそもそも必要ない、買う必要がないということになると、見て頂く以前の話になってしまう。それを何とかしようということで、我々としても様々な試みを行っています。
ーー それが「タイムシフトマシン」であり「みるコレ」ですね。
片岡氏:はい。タイムシフトマシンやざんまいプレイは、能動的でない方にも、コンテンツとの出会いをお助けできるようにデザインしています。
さらに「みるコレ」では、放送だけでなくYouTubeや将来的には VOD も含め、横断的にコンテンツを見つけることができます。またタイムシフトマシンと連携して、過去番組や未来番組を含め、時間軸の制限を取り払い、5万人以上のタレント別、番組別や、ジャンルごとの人気別に表示する「みるコレパック」をご提供しています。さらに、人力でアニメやドラマ、スポーツ競技別、レシビなど、細かい分類をしたものも用意されており、選択すると、そのパックのテーマに沿ったコンテンツが、時間やメディアの枠を超えて表示される仕組みです。
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