<山本敦のAV進化論 第104回>
VRに映像配信国内最大手のdTVが進出。関係者が語る詳細と将来展望
村本氏はdTV VRアプリの配信をはじめる以前より、いち早く取り組んできたことから、既にVR映像の制作に多くのノウハウを蓄積しつつあると説く。
このタイミングでdTV VRアプリがローンチされた背景には、スマホなどモバイルデバイスの処理能力が高まり、VRヘッドセット製品の種類も充実してきて「環境が整い、機が熟してきた」からであるという。
既存のdTVのプラットフォームに「VR」のカタログを組み込むのではなく、敢えて別アプリにした理由は、「dTVの中に置いてしまうと、お客様の混乱を招いてしまうし、通常のコンテンツの中に埋没しかねないと判断したから」であるという。
VRコンテンツの魅力について、村本氏はこう語っている。
「最大の魅力は、まるでその場にいるような没入感を視聴者の方々に味わっていただけることです。当社としても得意なコンテンツの一つである『音楽ライブ』はVRという表現方法と、非常に親和性が高いと捉えています。
ライブに足を運べなかった方のために、イベントの臨場感を体験していただけるだけでなく、ライブでも実現できないほどアーティストに近い距離まで迫って、迫力いっぱいのステージの空気に触れるような体感ができる、まったく新しいエンターテインメントになる可能性を感じています」。
村本氏は音楽ライブのほかにも、ストーリー性のあるホラー作品や、いわゆる“妄想女子”向けの恋愛シミュレーションなどがVR向きのコンテンツであるとして期待を寄せる。今後も積み重ねてきたVRコンテンツ制作のノウハウを積極的に投じていきたいと意気込みを表した。
■dTV VRのコンテンツ制作現場の背景を聞く
dTVが強みとする、VRコンテンツ制作の具体的なノウハウにも迫ってみたい。今回は、dTV VRアプリで配信されているコンテンツの制作を担当する、エイベックス・デジタル(株)デジタルビジネス本部 デジタルコンテンツ制作部 制作ルーム担当課長の近藤大輔氏と、同社のコンテンツ制作のパートナーである(株)TYOテクニカルランチのテクニカルプロデューサー、石ヶ谷宜昭氏を訪ねた。
dTV VRでは今後、週に1〜2本のVRコンテンツをコンスタントにアップしていくという。かなりのハイペースだ。しかも、アプリに追加されるコンテンツはすべてdTVの製作チームが内製したオリジナルになるという。