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技術や音への基本的考えに迫る

SHUREキーマンに訊くモノづくりの哲学。カスタムIEMやBluetooth対応イヤホンの展開は?

公開日 2016/11/09 10:00 高橋 敦
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ーーー ということはシュアとしては、カスタムのイヤーモニターへの参入もあり得ませんか?

シュア 我々は我々の製品の均質性や一貫性を保つことを重視しています。個人個人に完全にローカライズされるカスタムイヤモニでは、我々が自らに求めるタイトな均質性や一貫性を備える製品として提供することは現在は難しいのです。将来的にはわからないですが、いまはこのソフト・フォーム・イヤパッド(以下ブラックフォーム)で十分と考えています。

ーーー ブラックフォームイヤーチップは僕も気に入っています。日本では「シュアの弾丸」と呼ばれて親しまれていますよ。

「シュアの弾丸」こと独自のブラックフォームイヤーチップ(写真手前)

シュア 弾丸!ベリーナイスです!最初のブラックフォームの開発には2年をかけました。そしてショーンは2005年に入社してから1年半はブラックフォームを特に担当していたんです。イエローフォームも遮音性はよいのですが、円筒形そのものの見た目からして耳に入れるものっぽくないですよね。ブラックフォームはテーパーがあるので視覚的にも耳に入れるものに見えやすいし、そして実際に入れやすいです。


ーーー そのブラックフォーム、最初に登場してからいくつか変更されていますよね?先端のフィルターはごみの侵入を防ぐため、ノズルをはめる軸の内側の溝はノズルとの固着などで外しにくくなり過ぎてしまうのを防ぐためのものかと思います。こういった改良は目に見えるイヤーピースなどだけではなく、内部も含めた様々な部分で常に行われているのでしょうか?

シュア コンスタントに!かなりやっています。製品が発売されて出荷されてそのあともずっとです。発売されて売れればよいだけではなく、市場の声に応えて改良していこうとしています。ブラックフォームも最初と今の間に5バージョン…合計で7バージョンありますね。先ほどの例の他にもサイズを区別しやすくするドットを付けたり。でも主には製造面での均質性や一貫性を保つための改良が多いです。製品を変えるためではなく製品を持続させていくための改良ということです。先ほど触れたマイクの「SM58」も登場から50年の間に100箇所くらいの改良をしていますよ。

以前のモデルで採用されていたイエローフォーム、初期のブラックフォーム、そして最新のブラックフォームチップ。最新のものはチップの着脱がしやすくなるよう孔のかたちが六角形に変わっている。こういった小さな改良が積み重ねられているのだ


リケーブル、Buetooth、そしてアナログについて

ーーー イヤーピースの他に交換可能な部分としてはケーブルですが、「リケーブル」についてはどうお考えですか?

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