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画期的な切り口のハイレゾポータブルオーディオ

RHAのキーパーソンに訊く、ニューフェイス「CL1」「CL750」「Dacamp L1」の魅力

公開日 2016/12/22 18:29 山本 敦
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■CL1のサウンドの核となるデュアル構造の振動板

CL1の個性的なサウンドの源となるデュアル構造の振動板にも注目だ。高域用にはピエゾ方式の振動板、中低域には新開発のダイナミック型振動板を各々配置して、8kHzでクロスオーバーさせている。再生周波数帯域は16Hzから45kHzをカバー。複合素材によって構成される高域用ドライバーにもセラミックが使われている。


CL1のドライバーの分解図。導電性の低いセラミックの前後を銀と亜鉛のプレートで挟み込んだ
「ピエゾ方式の高域用振動板は3種類の異素材プレートを組んで構成しています。導電性の低いセラミックのプレートを中央に配置して、前後が銀と亜鉛のプレートでサンドイッチされています。入力された音声信号は最初に銀のプレートに到達します。感度の高い銀素材の特長を活かして、ディティールを隈なく捉えた高域のサウンドを、セラミックのプレートが調音材のような役割を果たしながらパワーバランスを最適化します。信号は最終的にノズルの先端に最も近い亜鉛プレートに送り出されることによって、滑らかで自然な高域を再生します」(マクレランド氏)

振動板のサイズや各プレートの形状に関する詳しいデータについては非公開とされているが、「それぞれにミリグラム単位で計量し、形状もわずかな違いに気を配りながら幾度となくカット&トライとチューニングを重ねて、ようやく狙った音に辿り着いた」とマクレランド氏はエンジニアチームの苦労を代弁する。


わずかな形状の違いにも気を配ったうえで、ようやく狙ったサウンドにたどり着いたと語る
CL1、CL750ともに中低域の再生は、RHAが独自にデザインした「CL Dynamic」と呼ばれるオリジナルの振動板が担っている。PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)という安定性の高い樹脂素材をメインとした点は共通だが、上位モデルのCL1にはさらに振動板の片側に特殊コーティングを施すことで、音の分離感を高め、輪郭にシャープな切れ味をまとわせる。


中高域の再生にはRHA独自デザインによるPEEKを採用した「CL Dynamic」
CL1はケーブルの着脱が可能なリケーブル対応のイヤホンだ。パッケージにはバランス接続用と通常のアンバランス接続用、2種類のケーブルを同梱する。それぞれのケーブルにもRHAならではのこだわりを見つけることができる。


CL1は、ケーブルにφ3.5mmステレオミニ(シングルエンド駆動用)とミニXLR(バランス駆動用)の2種類を付属
「RHAのエンジニアが設計して、音のチューニングから品質のチェックまで徹底して追い込んできたケーブルです。バランスケーブルの導線は純度の高いOFC線をベースに、シルバーコートをかけた4本のコアリードを撚って構成しています。ネーミングの『Ag4x』はシルバーの元素記号であるAg、4がコアリードの本数を意味しています。そして『x』はプレーヤー/アンプ側の端子がminiXLRであることを示すもの。アンバランス接続用のケーブルにはピュアなOFC素材の撚り線を使っています。他社のアンプや単体のハイレゾプレーヤーにも組み合わせながらぜひ楽しんでもらいたいですね」(マクレランド氏)

ケーブルのイヤホン側には、RHAが独自に開発した「sMMCX」と呼ばれるコネクターが搭載された。一般的なMMCX端子に改良を加えたコネクターであり、アルファベットの「s」には“secure(セキュアー=安全な)”という意味を込めている。なぜ新たなコネクターを開発する必要があったのだろうか。マクレランド氏はこう答える。

「CL1はRHAにとって初めてのリケーブルに対応するイヤホンです。Dacamp L1と組み合わせてシステムとして提案することも早くから決まっていたので、この機会にイヤホン側のコネクターについても一般的なMMCXが指摘されていた接合精度の課題を解消して、音質面からも有利なものを自社開発しようというプロジェクトが立ち上がったのです」(マクレランド氏)

ベースはMMCXと同じ、同軸タイプのコネクターだが、イヤホン側のジャックにはめ込むとカチっとした着実な手応えが返ってくる。ジャックに装着後はコネクターがグラつかないように設計されているので、経年変化による音質の劣化も起きにくいことが特徴であるとマクレランド氏は語る。今後、RHAでは独自にsMMCX対応のリケーブルの種類を増やしていく用意があるという。今後はケーブルメーカーに技術仕様を公開して、サードパーティーの参加も活性化させる構想まで描いているようだ。

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