画期的な切り口のハイレゾポータブルオーディオ
RHAのキーパーソンに訊く、ニューフェイス「CL1」「CL750」「Dacamp L1」の魅力
■注目のRHA新製品を聴いてみる
iPhone 7にDacamp L1をつなぎ、CL1とCL750のサウンドを確かめてみた。
CL1は非常に高域の解像度が高く、中域が明るく煌びやかな印象だ。ジャズボーカルのシルキーな質感の声を、ひんやりと静まりかえった空気の中にきりっと定位させる。空間再現も上下左右方向に伸びやか。細部までみっちりと濃密なサウンドを描き込む。アコースティック楽器は音色の彩度が高く、オーケストラは抜群の聴き応え。低音は芯が強くシャープで切れ味豊かな素性。もしロックやEDMなど低音を分厚くして聴きたい場合は、アンプの機能から量感の強弱を簡単に調節できる。
CL750は独自設計によるダイナミック型ドライバーのパフォーマンスを十二分に引きだした、スムーズにつながるバランスの良いサウンドが魅力だ。CL1と同様に、解像感が高く透明な中高域を特長とする。CL1に比べると空間再現の傾向はタイトだが、それでもダイナミック型の常識を飛び越えるワイドな音場感と見通しの晴れやかさに息を呑む。オーケストラは弱音のエッセンスを一粒ずつ丁寧に引き出す。ジャズボーカルではメロディの甘やかな色気を漂わせながら、芯の引き締まったピアノの音色とのコントラストを鮮やかに描き分けてみせた。
Dacamp L1につなぐと、様々なヘッドホン・イヤホンのパフォーマンスが素直に発揮される。筆者がレファレンスに使っているカスタムIEM「FitEar Air」との組み合わせでは、ディテールに富む高域と力強い中低域のバランスを一段と引き立たせた。無音時に発生する残留ノイズも非常に少ないアンプだ。
ベイヤーダイナミックの「T1 2nd」は600Ωのハイインピーダンス設計なので、とても鳴らすのが手強いヘッドホンだが、Dacamp L1は余裕たっぷりにその実力を引き出してくれた。ゲイン設定はLowからでも十分なゆとりがあり、ゲイン設定を変えて音をカスタマイズできる楽しさも味わえる。T1 2ndは元もと中高域の透明感に個性があるヘッドホンなので、アンプの側で低域を+4前後、高域を-1あたりに設定してみたところ、オーケストラでは堂々とした定位感と柔らかく溶け合うハーモニーの絶妙なバランスを味わうことができた。
最後にAK300のUSBオーディオ出力をDacamp L1で受けて、CL1を鳴らしてみた。AK300は単体でもハイインピーダンスなヘッドホンを鳴らせるパフォーマンスを備えるプレーヤーだが、Dacamp L1を介することでさらに悠々とCL1の実力を引き出しながらハイレゾ再生が楽しめる。AK300の場合、USBオーディオ出力にモードを切り替えるとプレーヤー側のボリュームが最大値に固定されるので、いったんアンプの出力をゼロに絞ってからボリュームを調整していく使い方をおすすめしたい。
「Dacamp L1は、パワフルで色付けのないサウンドを、あらゆるイヤホン・ヘッドホンとの組み合わせで実現してくれるでしょう」。マクレランド氏は誇らしげに胸を張る。ヘッドホンジャックが無くなってしまった最新のiPhone 7を音楽プレーヤーとして使っているユーザーにとってみれば、再びお気に入りのイヤホン・ヘッドホンで快適に音楽を聴くための必携アイテムになるかもしれない。今回はCL1、CL750ともにAstell&Kernの「AK300」に直接つないでみたが、ハイレゾプレーヤー単体でも十分に鳴らし切ることができた。アナログのライン出力も備えているので、据え置きのオーディオシステムに組み込んでUSB-DACとしても面白い用途が広がりそうだ。RHAブランドのヒストリーにまた、重要なマイルストーンを築く3つの強力な製品が勢揃いした。