HOME > インタビュー > アナログターンテーブルブランド「ウェルテンパード」の“独創性”とは? ― フランク・デンソン氏に訊く

物理学者が生み出した「ユニーク」

アナログターンテーブルブランド「ウェルテンパード」の“独創性”とは? ― フランク・デンソン氏に訊く

公開日 2017/03/14 19:45 井上千岳
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■どの部分も極めて合理的に設計されたターンテーブル

ターンテーブル自体は決して重くはない。またシャーシも強固ではあるが、重量で安定させているわけではない。回転を支えるだけの強度があればいいという考え方で、これも理に適ったものである。重ければ重いなりの共振が生じるはずだからで、この点もユーザーによく考えてもらいたいところである。

ウェルテンパードのアナログプレーヤーに秘められた合理性を語るデンソン氏。話を聴けば聴くほど、同社が比類なきアイデアを盛り込んだブランドであることが分かる

さらにターンテーブル自体に重い必要はない。よく誤解されているところだが、いくら重くてもレコードの振動を吸収してくれるわけではないからだ。重量級ターンテーブルが珍重されるのは、慣性モーメントを高めて回転を安定させるためである。それだけのことだということぐらいは知っておいて欲しい。

さてどうだろう。こうして各部を見てくると、どの部分も極めて合理的、つまり理屈にぴったり合った構造になっているのが分かるはずだ。そこがウェルテンパードの最も大きな特徴である。全てが理に適っている。

このため余計なコストはかからないし、設計が明快である。信頼性も高く、使い勝手もいい。アナログのスタンダードという位置付けがぴったりのブランドと言っていい。

ウェルテンパードの最新モデルとなる「Simplex MkII」(¥320,000/税別)

なお音質も十分に素晴らしいことを確認しているが、ここでは触れない。いずれあらためてレポートする機会があるかと思うので、そちらに譲りたい。

(取材協力(通訳):スティーグ・ビヨルゲ、ジョナサン・カー)

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE