今後のポータブルオーディオ戦略も
CHORDのキーマンが語る “全てが新しくなった” 「Hugo2」、そして「Poly」開発秘話
「Poly」の開発は“すべてがチャレンジ”。ノイズ対策にも注力
ーー Polyについてはどういう設計方針だったのでしょうか?
フランクス氏 Mojoの可能性を最大限に発揮できるようなものを考えていました。ただ、拡張モジュールはサイズを抑えたかったので、それにディスプレイを付けると画面が小さくなってしまいます。それならば、ないほうが良いのではないかと考えました。
じゃあ世の中に普遍的にあるスマートフォンとつなげたらよいのではないかなど、最終的なPolyのかたちにつながるアイデアがたくさん出てきたのは良かったのですが、そのためにはバッテリー持続時間が長く、小型で、さらに快適なスピードが必要となります。そこでこうしたアイデアを実現できる会社をイギリス中から探し始めました。それがラジフの会社です。
ラジフ・ディブ氏(以下、ラジフ氏) 我々の会社はさまざまなコンシューマーエレクトロニクスを開発しており、自社開発も共同開発も行っています。
ーー オーディオ機器の開発経験はあるのですか?
ラジフ氏 私自身がオーディオ機器開発を行っていて、マルチチャンネル・オーディオインターフェイスなど多種の機器を手がけてきました。
フランクス氏 実はラジフのことは前々から知っていました。というのも私がかつてBBCにCHORDのアンプを納品していた時、関連部門で開発を行っていたのが彼だったのです。
ーー Polyの開発でもっとも難しかったのはどこですか?
ラジフ氏 小さなサイズ、省電力、加えて高速性が要求されました。またスマートフォンと接続して、実に様々なアプリと通信しなければなりません。まさにすべてがチャレンジでした。
フランクス氏 Polyの回路基板は1mmに10層もあるのです。それにレーザーで穴をあけて加工したりします。
ーー それはすごいですね。
ラジフ氏 この技術はオーディオの域を超えていて、軍事や航空宇宙用のものなのです。
フランクス氏 またこうした機器ではRFノイズ(編集部注:無線周波数帯域における電磁波ノイズ)対策が重要になりますが、ラジフは携帯電話などのテレコミュニケーション関連の仕事もやっていて、その経験も役に立ちました。
ラジフ氏 その経験はRF干渉の排除だけではなく、他の機器との安定した接続を確立するのにも役に立っています。
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