HOME > インタビュー > オンキヨーのスマートスピーカーをいち早く体験。“いい音”を実現する工夫とは?

<山本敦のAV進化論 第142回>

オンキヨーのスマートスピーカーをいち早く体験。“いい音”を実現する工夫とは?

公開日 2017/08/25 10:00 山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE


自動車メーカー大手のトヨタとフォードが立ち上げた非営利団体「スマートデバイスリンクコンソーシアム(SDLC)」にオンキヨーが加盟することもニュースになった(関連ニュース)。同団体のメンバーにオンキヨーが加わることにより、車の中にスマートスピーカーが組み込まれたり、より音質の良い車内エンターテインメント環境が実現される期待感も高まる。オンキヨーがコラボレーションの枠組みを広げている理由を宮崎氏に訊ねた。

「AIやビッグデータを活用するクラウドベースのビジネスでは、複数分野の企業や団体が技術とノウハウを持ち寄ることが重要になると考えているからです。自社が持たない技術やサービスをクラウドを介して共有することで、ユーザーができることが広がり、より豊かな暮らしを提供できます」(宮崎氏)。

スマートスピーカーが音楽リスニングのスタイルを切り開き、ユーザーの生活を支える役割へと成長していくだろう、と宮崎氏

宮崎氏と八木氏に、これからのスマートスピーカーのビジネスの展望を訊ねた。宮崎氏は、日本市場では当初、音声入力UIに慣れるのに時間がかかるかもしれないが、いずれ大きく成長するだろうと語っている。

「日本人は音声入力で家電機器を操作することに抵抗を感じるかもしれないという声もあります。一方、音声認識UIが普及しはじめた地域を調べてみると、既に多くのデバイスがある英語圏だけでなく、中国語圏でも伸びているそうです。理由は諸説ありますが、ひとつには面倒なキーボードによる漢字の変換入力が、音声入力なら楽にできるようになるからと言われています。特に若年層は音声入力に抵抗感がなく、ウェブ検索などは音声入力でいとも簡単にやってしまうそうです。同じ漢字文化圏である日本でも、音声認識による操作がブレイクする可能性は十分にあると見ています」(宮崎氏)。

iPhoneなどスマホがアプリのSDKを公開して大きく成長したように、Alexaプラットフォームでも、多くの「スキル」が登場することで、スマートスピーカーへの注目がさらに高まるだろうと宮崎氏は語る。既に15,000前後のスキルが存在すると言われているが、その数がますます増えていけば、スマートスピーカーの新しい使い方ができるようになるはずだ。

宮崎氏は、さらに先の話として、スマートスピーカーがAIやビッグデータを活かしたディープラーニングとより深く結びつき、ユーザーの生活を支えるコンシェルジュのような役割を担うまでに成長するという期待を持っている。実際にAlexaプラットフォームでも、冷蔵庫を見ながら足りない食材を音声で買い物リストにメモをして、スマートフォンで確認する機能がすでに実現しているという。

同じようなサービスがスキルの拡大によって、エンターテインメントやセキュリティなど様々なサービスにまたがって、家の中だけでなく車の中でも使えるようになる未来はそう遠くないはずだ。

八木氏も、自身が開発に携わるようになってから毎日スマートスピーカーを使っているという。そしていまでは手放せなくなってしまったと実感を込めて語る。「使い慣れてしまうと、ちょっとした情報もスマホに文字をタイピングして調べるのが面倒に感じられるようになってきます。その便利さを逆手に取れば、スマートスピーカーでできたちょっとした空き時間で、人が色々なことを自由にできるようになります。スマホが人々の生活を変えたように、今度はスマートスピーカーが大きな変化をもたらすかもしれません」。

オンキヨーのGoogle Assistant対応スマートスピーカーもあり得るのか?

今年の5月に開催されたグーグルの開発者向け会議「Google I/O」では、グーグルの音声アシスタント「Google Assitant」がSDKを提供するパートナー企業リストに、日本企業ではソニーとパナソニックのほかにオンキヨーの名前も挙がっていた。

この先、もしかするとGoogle Assistantに対応するスマートスピーカーも、オンキヨー、またはパイオニアから発売される可能性があるかもしれない。

同様にパイオニアでは、アップルのLightningオーディオモジュールを活用した「RAYZ」シリーズを開発して注目を浴びている。先日はイヤホンの「RAYZ Plus」と「RAYZ」がイヤホン本体からSiriを呼び出せる機能にアップデートで対応した(関連ニュース)。

オンキヨー&パイオニアが展開する、AI/IoTに関連する様々な取り組みが、今年に入って少しずつベールを脱ぎはじめている。両ブランドの動きからますます目が離せなくなりそうだ。IFAでの続報も楽しみにして欲しい。

(山本 敦)

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE