<山本敦のAV進化論 第144回>
<IFA>ソニー「Xperia XZ1」開発者インタビュー。HDRから3Dスキャニングまで進化の詳細を聞いた
筐体のメタル素材は強度を保ちながら厚みを薄くしたことで、本体が薄型になって片手持ちによる操作が一段と手に馴染みやすくなった印象だ。外形寸法は同じ約5.2型のXperia XZsの約72W×146H×8.1Dmmに対して、XZ1は約73W×148H×7.4Dmmと奥行きサイズを若干薄くした。質量も約161gから約156gに計量化されるという。
バッテリーのサイズは2,700mAhと、XZsの2900mAhよりもやや容量が下がっているが、CPUの低消費電力化などによってユーザーの体験に支障がでない範囲に落とし込まれている。
XZ1/XZ1 Compactは背面からフロントまで継ぎ目のないシームレスなデザインに仕上げている。筐体設計の柴田氏は押出し成形でアルミの厚い板材を作って、これを金型に入れて削り出すことで完全に一体の形状を作り出したと技法を説く。バスタブ構造のシャーシとしたことで「Xperia史上最高強度」をうたう堅牢なボディに仕上げた。
XZ1 Compactはウーブンファイバーと呼ぶガラスファイバーを編み込んだ強化プラスチックを採用。射出による一体成形にすることで剛性を高めた。筐体のシャーシは曲げやねじれによる外的負荷をかけてもダメージが加わらないか、自社で繰り返し耐久テストを実施した。またXZ1のシャーシはフルメタルなので、アンテナの感度が出せるようサイドに樹脂のラインを配置。デザインにも一体感を持たせている。
キーカラーは4色展開。定番のブラック、シルバーのほか、Xperia XZの頃からキーカラーとしてきた「ブルー」系のラインナップにはミドルトーンに整えた「ムーンリットブルー」が加わる。女性向けにはヴィーナスピンクも揃えた。ソニーがIFAで発表した新しいポータブルヘッドホン・イヤホンの「h.ear」シリーズに色調を合わせている。木山氏によれば、ソニーのオーディオ製品の開発チームとさらに密に連携を取りながら、生活に馴染むような中間色のトーンに整え、色の名称もディスカッションを重ねて決定したのだという。
■妥協せずにプレミアムクオリティを追求したコンパクト機
コンパクト機のXperia XZ1 Compactは、従来から人気の約4.6型モデルの系譜を継いでいる。今回のモデルはXZ1と合わせて高性能処理のプロセッサーSnapdragon 835シリーズを搭載した点にも注目だ。またカメラ機能もMotion Eyeカメラシステムを乗せて、オートフォーカスの連写や超ハイフレームレート撮影などが楽しめる。3D Creatorアプリもプリインストールされている。
コンパクトモデルの機能を充実させた理由について木山氏は「コンパクト機は日本のマーケットからは引き合いが強く、女性のユーザーを中心に好まれる方も多くいらっしゃいます。より大型のモデルと変わらない高い機能を使いたいという要望も多かったことから、プレミアムクラスのコンパクトが生まれた」と説明する。
コンパクト機はユーザーが“セルフィ撮影”に使うケースも多いことから、フロントカメラは画角を通常の28mm/80度のほか、18mm/120度に切り替えて被写体を広く撮影できるモードを揃えた。モード切替の仕組みについて高野氏は「カメラモジュールを従来モデルから刷新して120度の広角撮影を実現しています。ハードウェアで広角対応として、通常の撮影をする場合は120度の画角から切り出してズームをかけて、超解像処理を加えてから広角80度相当の静止画像に整えています」と手法を明らかにしている。
今度の新しいXperiaも、ユーザーに使い勝手の良さを感じさせる細かなところまでチューニングを徹底してきた高い完成度を備えるスマートフォンに仕上がっている手応えを感じた。今回はIFAでの発表を受けて、開発担当者へのインタビューというかたちで詳細を速報したが、HDR映像の画質や3D Creatorのアプリを含むハンズオンレポートはまた国内導入が決まった頃に機会を改めてお伝えしたいと思う。
(山本 敦)