アジアパシフィック社長が語る
4K/HDR時代をリードする存在となるか? BenQがプロジェクター「HT2550」で躍進に挑む
一般的に、外観デザイン、機構や電気設計、ソフトウェア開発は分業されることが多く、縦割りの開発体制のしわ寄せが製品に現れてしまうことは少なくない。ユーザーの視点で総合的な完成度を高めるには、「ライフデザインセンター」は先進的かつ合理的な体制と言える。論より証拠。製品を見れば、その違いは明らかである。筆者としては非常に興味を持った部分で、近い将来、別途詳細に紹介したいと思う。
そのほか、プロジェクターの心臓部とも言えるレンズを内部で設計し、LEDやレーザー光源への対応も先進的。解像度の尺度となるLine Pairの評価と数値の公開にも積極的だ。
■4K/HDRを “標準” に。BenQの次なるチャレンジ
BenQでは、W1070がヒットした後も、一般家庭のリビングで扱いやすい短焦点の「W1080」や、特に近年では4K解像度の「Home Cinema Series」を追加し、エントリーからハイエンドまでラインナップを拡充してきた。
整理すると、AVマニア向けに画質を優先したハイエンドクラスの「CineProシリーズ」(「HT9050」「HT8050」)、映画ファン向けに画質と手軽さを両立したミドルクラス「CinePrimeシリーズ」、そして、手軽に大画面を楽しみたいエントリーユーザー向けの「CineHomeシリーズ」(「W1070」)である。
そして、次なる大きな一手が、「CinePrimeシリーズ」として、4K/HDR対応のコンパクト&低価格を追求した「HT2550」である。
Jeffrey氏によれば、BenQの成功、ひいてはホームシアターの革命は「2L」(2つのLight/ライト=手軽さ)がキーワードで、1つは「小型軽量」、もう1つは「価格」という。もう4K/HDR時代は見えているが、一般家庭に広く浸透し、「4K/HDRが当たり前」となるには、同様に「2L」が必須で、そうした思いが込められたのがHT2550というわけだ。
HT2550は、フルHD解像度のDLPパネルを用い、画素ずらしによる4K解像度を達成。Line Pairは93をマークするなど実力は充分。ボディサイズも価格も、フルHDモデルの感覚に近いのが特徴だ。BenQにおいては、W1070が大ヒットして5年が経過し、そうしたユーザーの買い替え需要も見込んでいるという。
まずBenQは、DLPプロジェクターブランドとしてナンバーワンの販売台数を誇り、テキサス・インスツルメンツ社からDLPデバイスの供給を優先的に受けることができという。開発のスタート時期も一歩早く、充分に完成度を高めつつ、他ブランドよりも半年程度早く製品を市場に投入できる理由だ。
HT2550も新DLPデバイスを用いた第1号製品であり、4K/HDR大画面の導入を検討してきた幅広いホームシアターファンの注目の的となりそうだ。4K/HDRプロジェクターが “標準” となる日は近いのか? HT2550はもちろん、今後もBenQの動向から目が離せない。
(鴻池賢三)