新作「Zinger」をマランツ試聴室で聴く
ハイレゾの意義とは? “ジルデコ”towadaさんとマランツ・サウンドマネージャーが語り尽くす
ジャズやファンク、R&Bをベースにした唯一無二の楽曲と、高い演奏/歌唱力で人気と注目を集めている“ジルデコ”こと「JiLL-Decoy association」。同バンドでドラムおよびリーダーを担当するtowadaさんと、マランツのサウンドマネージャー 尾形好宣氏に、「音楽を創るアーティスト」「音楽を再生するオーディオ機器の作り手」というそれぞれの立場から「ハイレゾの魅力」について語っていただいた。
■ハイレゾの長所を引き出すために様々な実験を行ったジルデコ最新作
尾形さん 今回はジルデコさんの最新アルバム『Zinger(ジンジャー)』をマランツのオーディオ製品で聴きながら、ハイレゾの魅力について、それぞれの立場からお話できればと思います。
『Zinger』は5月2日にハイレゾとCDがリリースされましたが、これまでの“JiLL-Decoy association”ではなく、“JiLL-Decoy DUO”名義の作品ですね。『Zinger』という作品のコンセプトについてもまず伺いたいです。
towadaさん JiLL-Decoy DUOは、JiLL-Decoy associationのボーカルであるchihiRoと、ギタリストkubotaをメインとしたユニットです。私がプロデューサー的な立場で、録音からミキシングを行っています。
今は、自宅で扱えるサイズの業務用機器、民生向けの製作環境のスペックが上がってきていて、音楽に限らず様々な作品を、個人が高品質に発信できる時代です。それを最大限に活かして、宅録的な環境であえて音楽を作り込んだのが本作です。録音は96kHz/24bitのネイティブで行っていて、事務所にある小さなスタジオで録音からミックスまでを行いました。自主レーベルを立ち上げて、製作から販売まで自己完結できるようになったのも今回からです。
尾形さん 96kHz/24bitで録音された『Zinger』ですが、ハイレゾ音源に加えてCDも発売されています。今回はその両方を1台で再生できるマランツのネットワークCDプレーヤー「ND8006」で本作を聴きながら、お話を伺えればと思います。
towadaさん マランツの試聴室で自分の音楽がどのように鳴るのか楽しみですね。
尾形さん それでは早速、CD、ハイレゾの順で試聴しましょう。曲はtowadaさんに選んでいただいた「Now is the time ! (feat. ミズノマリ)」と「26の私 (feat. 澤田かおり)」です。
◇
尾形さん 聴き比べてみると、ハイレゾとCDで予想した以上に印象が異なりますね。今回、ハイレゾとCDでミックスは別々に行ったのでしょうか。
towadaさん ミックスはハイレゾもCDも同じ、基本は96kHz/24bitでミックスしています。ミックス終了後、最終チェックという意味合いも兼ねてマスタリングを外部の方にお願いしています。こちらはCDとハイレゾでそれぞれ行っています。自分としては、マスタリングを終えたファイルを聴き比べるより、プレスしたCDを聴く方がさらに96kHz/24bitとの差が出るという感覚がありました。
尾形さん 同じデータであっても、一度ディスクにしてそれを読み出したものとでは聴こえ方がちがうと。
towadaさん そうですね。そういう意味で今は、フォーマットの種類がものすごくたくさんあって、こうした音の変化がなかなか予測できないので、ある段階でフォーマットを2つくらいに絞り込んでマスターを作る必要があると思います。
尾形さん CDも素晴らしいのですが、私の印象では、96kHz/24bitの方がより音が立体的で、楽器にしてもボーカルにしてもひとつひとつの音の分離が良いです。より生音に近いと言ってもいいでしょう。
towadaさん 96kHz/24bitで録音したという点については、本作を録音するにあたって、44.1kHz/16bitで作業するより、96kHz/24bitで作業するほうが、“トリートメント” する必要がかなり減った状態でミックスできるのではないか、という見通しを持っていました。
尾形さん “トリートメント” というのは具体的にどのような作業を指すのでしょうか。
towadaさん マスター音源をCDの44.1kHz/16bitにコンバートして収める際に必要な、コンプレッサーやEQ(イコライザー)による調整作業のことです。
尾形さん 本作については、そうしたトリートメントを行うことなく、単純に変換するだけで音がまとまるのではないかと予測されたということですか。
towadaさん その通りです。今回マイクはスタジオでは定番のノイマン「U87Ai」を使って録音しましたが、ミキシングの際には録音された各パートを並べて文字通りミックスしていきます。そのとき、44.1kHzで録音した場合は、コンプレッサーやEQで調整しないとなかなか上手くまとまりません。それが96kHz/24bitで録音した場合は、自然な状態でミックスができるのです。
尾形さん 手をかけなくても自然なバランスになる、ということですね。
towadaさん はい。録音の鮮度を活かしてそのままアウトプットできるというのは、今の時代ならではの手法なのだと思います。
■ハイレゾの長所を引き出すために様々な実験を行ったジルデコ最新作
尾形さん 今回はジルデコさんの最新アルバム『Zinger(ジンジャー)』をマランツのオーディオ製品で聴きながら、ハイレゾの魅力について、それぞれの立場からお話できればと思います。
『Zinger』は5月2日にハイレゾとCDがリリースされましたが、これまでの“JiLL-Decoy association”ではなく、“JiLL-Decoy DUO”名義の作品ですね。『Zinger』という作品のコンセプトについてもまず伺いたいです。
towadaさん JiLL-Decoy DUOは、JiLL-Decoy associationのボーカルであるchihiRoと、ギタリストkubotaをメインとしたユニットです。私がプロデューサー的な立場で、録音からミキシングを行っています。
今は、自宅で扱えるサイズの業務用機器、民生向けの製作環境のスペックが上がってきていて、音楽に限らず様々な作品を、個人が高品質に発信できる時代です。それを最大限に活かして、宅録的な環境であえて音楽を作り込んだのが本作です。録音は96kHz/24bitのネイティブで行っていて、事務所にある小さなスタジオで録音からミックスまでを行いました。自主レーベルを立ち上げて、製作から販売まで自己完結できるようになったのも今回からです。
|
尾形さん 96kHz/24bitで録音された『Zinger』ですが、ハイレゾ音源に加えてCDも発売されています。今回はその両方を1台で再生できるマランツのネットワークCDプレーヤー「ND8006」で本作を聴きながら、お話を伺えればと思います。
towadaさん マランツの試聴室で自分の音楽がどのように鳴るのか楽しみですね。
尾形さん それでは早速、CD、ハイレゾの順で試聴しましょう。曲はtowadaさんに選んでいただいた「Now is the time ! (feat. ミズノマリ)」と「26の私 (feat. 澤田かおり)」です。
尾形さん 聴き比べてみると、ハイレゾとCDで予想した以上に印象が異なりますね。今回、ハイレゾとCDでミックスは別々に行ったのでしょうか。
towadaさん ミックスはハイレゾもCDも同じ、基本は96kHz/24bitでミックスしています。ミックス終了後、最終チェックという意味合いも兼ねてマスタリングを外部の方にお願いしています。こちらはCDとハイレゾでそれぞれ行っています。自分としては、マスタリングを終えたファイルを聴き比べるより、プレスしたCDを聴く方がさらに96kHz/24bitとの差が出るという感覚がありました。
尾形さん 同じデータであっても、一度ディスクにしてそれを読み出したものとでは聴こえ方がちがうと。
towadaさん そうですね。そういう意味で今は、フォーマットの種類がものすごくたくさんあって、こうした音の変化がなかなか予測できないので、ある段階でフォーマットを2つくらいに絞り込んでマスターを作る必要があると思います。
尾形さん CDも素晴らしいのですが、私の印象では、96kHz/24bitの方がより音が立体的で、楽器にしてもボーカルにしてもひとつひとつの音の分離が良いです。より生音に近いと言ってもいいでしょう。
towadaさん 96kHz/24bitで録音したという点については、本作を録音するにあたって、44.1kHz/16bitで作業するより、96kHz/24bitで作業するほうが、“トリートメント” する必要がかなり減った状態でミックスできるのではないか、という見通しを持っていました。
尾形さん “トリートメント” というのは具体的にどのような作業を指すのでしょうか。
towadaさん マスター音源をCDの44.1kHz/16bitにコンバートして収める際に必要な、コンプレッサーやEQ(イコライザー)による調整作業のことです。
尾形さん 本作については、そうしたトリートメントを行うことなく、単純に変換するだけで音がまとまるのではないかと予測されたということですか。
towadaさん その通りです。今回マイクはスタジオでは定番のノイマン「U87Ai」を使って録音しましたが、ミキシングの際には録音された各パートを並べて文字通りミックスしていきます。そのとき、44.1kHzで録音した場合は、コンプレッサーやEQで調整しないとなかなか上手くまとまりません。それが96kHz/24bitで録音した場合は、自然な状態でミックスができるのです。
尾形さん 手をかけなくても自然なバランスになる、ということですね。
towadaさん はい。録音の鮮度を活かしてそのままアウトプットできるというのは、今の時代ならではの手法なのだと思います。