新作「Zinger」をマランツ試聴室で聴く
ハイレゾの意義とは? “ジルデコ”towadaさんとマランツ・サウンドマネージャーが語り尽くす
尾形さん 録音した音に手を加えないで、バランスだけ調整するようなことが96kHz/24bitだと可能になるわけですね。
towadaさん そういうイメージに近いです。CDのマイナス面を言うつもりはないですが、CDだとどうしても「ここはこうしておかなければいけなかったな」ということがおきますが、96kHz/24bitで録音するとそういうこともなくなりますね。
それから、96kHz/24bitで作業することで、音をドライブさせたり歪ませることで際立たせるような処理を避けることができます。これが44.1kHz/16bitでの作業だと、失われてしまった情報や表現を補うために、音を強調するようなことが必要になってきます。最終的なフォーマットが圧縮音源の場合は、先を見据えてこうした処理をさらにやっておかなければなりません。
尾形さん 録音時のフォーマットやスペックが、最終的な出音はもちろん、音楽を製作する作業過程をも左右するということですね。
今回の『Zinger』は、デュオということで全曲がギターとボーカルを中心に構成されていて、音数が非常に少なくてシンプルな構成です。例えば6曲目「おちちとバラード」は、ギターとボーカルのみで構成されていて、ライナーノーツも拝見したらスタジオで1発録りされたと書かれていて。そうした曲だと、ライブで聴いているような音の定位で、「こっちにボーカルが、そこにギターがいるな」というのが凄く生々しく感じられました。このあたりも、録音から一貫して96kHz/24bitで作業された成果なのでしょう。
towadaさん ありがとうございます。
■ハイレゾの情報量があるからこそ、マイクの配置で音が作り込める
尾形さん 事前に全曲を通して聴かせていただきましたが、曲ごとに、「音の広がりを出したいのかな」というような録音の狙いも感じました。
towadaさん 今回はレコーディングからミックスまで自分で担当したので、大きなスタジオに入ってしまうとなかなか試せないような、コンパクトな実験を曲ごとに試すことができたのは大きかったです。
96kHz/24bitで録音をすることで逆に後処理が少なくてすむことは先ほどお話しした通りですが、この処理の少なさが可能にする「ハイレゾの凄み」を引き出せる環境を、コンパクトな空間の中で作っていくというのは、本作におけるひとつのコンセプトでした。
尾形さん 具体的にはどのような録音の仕方をされたのでしょうか。
towadaさん 例えば昔のアナログ・レコーディングの手法なのですが、1つの楽器に対して単一指向と双指向マイクを一本ずつ使用し録音し、片方の音を逆相にすることで、独特のステレオイメージを作ることができます。今回、かなり狭い部屋で録音しているのですが、2曲目「26の私 (feat. 澤田かおり)」なら擬似的な広がりを、エフェクターを使わずにマイキングで表現しています。
こうしたアプローチを44.1kHz/16bitでやろうとすると、効果がうまく出なかったり、なかなか意図が伝わりません。マイキングで音を作るというのはハイレゾで録音するから可能なのだと思います。
尾形さん 確かに「26の私 (feat. 澤田かおり)」は、独特の広がり感が感じられました。
towadaさん このように、様々な“コンパクトな実験”を重ねながら、本作の音を作り上げていきました。
towadaさん そういうイメージに近いです。CDのマイナス面を言うつもりはないですが、CDだとどうしても「ここはこうしておかなければいけなかったな」ということがおきますが、96kHz/24bitで録音するとそういうこともなくなりますね。
それから、96kHz/24bitで作業することで、音をドライブさせたり歪ませることで際立たせるような処理を避けることができます。これが44.1kHz/16bitでの作業だと、失われてしまった情報や表現を補うために、音を強調するようなことが必要になってきます。最終的なフォーマットが圧縮音源の場合は、先を見据えてこうした処理をさらにやっておかなければなりません。
尾形さん 録音時のフォーマットやスペックが、最終的な出音はもちろん、音楽を製作する作業過程をも左右するということですね。
今回の『Zinger』は、デュオということで全曲がギターとボーカルを中心に構成されていて、音数が非常に少なくてシンプルな構成です。例えば6曲目「おちちとバラード」は、ギターとボーカルのみで構成されていて、ライナーノーツも拝見したらスタジオで1発録りされたと書かれていて。そうした曲だと、ライブで聴いているような音の定位で、「こっちにボーカルが、そこにギターがいるな」というのが凄く生々しく感じられました。このあたりも、録音から一貫して96kHz/24bitで作業された成果なのでしょう。
towadaさん ありがとうございます。
■ハイレゾの情報量があるからこそ、マイクの配置で音が作り込める
尾形さん 事前に全曲を通して聴かせていただきましたが、曲ごとに、「音の広がりを出したいのかな」というような録音の狙いも感じました。
towadaさん 今回はレコーディングからミックスまで自分で担当したので、大きなスタジオに入ってしまうとなかなか試せないような、コンパクトな実験を曲ごとに試すことができたのは大きかったです。
96kHz/24bitで録音をすることで逆に後処理が少なくてすむことは先ほどお話しした通りですが、この処理の少なさが可能にする「ハイレゾの凄み」を引き出せる環境を、コンパクトな空間の中で作っていくというのは、本作におけるひとつのコンセプトでした。
尾形さん 具体的にはどのような録音の仕方をされたのでしょうか。
towadaさん 例えば昔のアナログ・レコーディングの手法なのですが、1つの楽器に対して単一指向と双指向マイクを一本ずつ使用し録音し、片方の音を逆相にすることで、独特のステレオイメージを作ることができます。今回、かなり狭い部屋で録音しているのですが、2曲目「26の私 (feat. 澤田かおり)」なら擬似的な広がりを、エフェクターを使わずにマイキングで表現しています。
こうしたアプローチを44.1kHz/16bitでやろうとすると、効果がうまく出なかったり、なかなか意図が伝わりません。マイキングで音を作るというのはハイレゾで録音するから可能なのだと思います。
尾形さん 確かに「26の私 (feat. 澤田かおり)」は、独特の広がり感が感じられました。
towadaさん このように、様々な“コンパクトな実験”を重ねながら、本作の音を作り上げていきました。