【特別企画】Bluetoothオーディオの疑問をクアルコムに聞いた
FiiOのワイヤレスオーディオも採用。Qualcomm aptX/aptX HDはなぜ音が良いのか?
Q8、送り出し側の機器によってBluetoothの音は変わるのか
島氏 お客様からもよく質問されるのですが、送り出し側のプレーヤーによって、Bluetoothの音質は変わるのでしょうか。この点はどのようにお考えですか。
大島氏 それはあり得ることです。aptX HDの場合で言えば、例えば192kHz/24bitの音源を再生する場合はダウンコンバートをして、44.1kHz/16bitの音源を再生する場合はアップコンバートをして48kHz/24bitにして、それをapt X HDのコーデックで伝送することになります。アップコンバート/ダウンコンバートの仕方や、その前段でフィルター処理などを行うかどうかで当然音は変わってくるでしょう。そこには、プレーヤーのメーカーごとの味付け的な処理が入っていることもあるでしょう。
Bluetoothのパイプを通ってからは、aptXやaptX HDのコーデックで処理されるのでそこに違いはありません。
島氏 出口側についても、先ほどお話しされたようにDACなど組み合わせるケースでは、そこで違いがでてくるわけですね。
大島氏 はい。それからBluetoothのチップ全体の話でいえば、DSPがBluetoothの処理を行った後のポストプロセッシングを担うのですが、ここにも調整可能なパラメーターが用意されています。チップによっては、メーカー側がプログラムを書き足すことも可能です。
島氏 そうなると、同じチップを使っていても、メーカー側のアプローチ次第で音質の差別化を行うことができますね。それは非常に興味深いことです。
Q9、今後、Bluetoothはどのように発展するのか
島氏 Bluetoothが担うのはオーディオ伝送だけではないというお話がでましたが、今後、Bluetoothはどのような方向に発展していくのでしょうか。あるいはオーディオメーカーは、Bluetoothまわりでどのような取り組みができるのでしょうか。
大島氏 音楽再生に限った領域で突き詰めることもまだまだあるでしょうが、様々なユースケースに取り組んで、それぞれのケースで音質を担保できるということも重要だと考えています。私たちは「ストリーミング技術」「ハイレゾオーディオ」「ワイヤレスオーディオ」「音声認識機能」「3.5mmヘッドホン端子の廃止」「ヒアラブルデバイス」の6つをメガトレンドと考えて、これらに対応できるチップの開発を行っています。現時点であれば、Alexa、Googleアシスタント、Microsoftをはじめとする音声認識との連携は大きな可能性があるでしょう。
私たちはこうしたトレンドを押さえながら、各メーカーが市場の要望に応える製品開発を実現できるチップやソフトウェア技術を提供していくことをこれからも目指していきます。
島氏 FiiOはこうしたトレンドを押さえつつ、やはりポータブルオーディオブランドとしてワイヤレスでも良い音を目指して製品開発を行っていくとのことです。その意味でも、aptXやaptX HDをはじめ、クアルコムのチップや技術が理想の製品を作る上での重要なカギになると考えているようです。
本日はありがとうございました。