[ PR ] 評論家・山之内正がブランドのキーマン秋元氏と対談
伝統と革新の「ビクター」ブランドが本格再始動。その意義と強みを“音質マイスター”に訊く
秋元:そうですね。原音探究とは、入っている音をそのまま届ける、色付けをしないということとも言えます。しかし、製品を形成する素材はいろんな色を持っています。ものづくりをするときに必ずその素材の色が製品に出てくるんです。ですので、そういう素材の色をうまく融合させてなるべくフラットに音を届けるものづくりをするというのは、実は非常に高度な技術なんですよ。そういった高度な音作りもビクターは目指しているのです。
山之内:しかもアナログ時代からノウハウを蓄積してきたブランドですからね。近年またレコードに世間の関心が集まっていますが、レコードの音はまさにいろんな音の変化、どうしてこういう音になるのかという情報の蓄積を最終的にバランスよくまとめて最終的に原音に近いいい音にしていくことが重要なのだと思います。そういったノウハウを持っているブランドというのはこれからの時代に強いのではないでしょうか。
秋元:オーディオの技術は飛躍的に進歩していますが、最終的にはやはり人間の耳で聴く、アナログの世界ですしね。そこはスペックが高いだとか特性がいい悪いというのとはまた別の世界かなと思います。そういう意味で、音楽をどう伝えるか、ニュアンスをどう伝えるかといったアナログで培ってきたノウハウや考え方が脈々と受け継がれているのは強みだなと感じますね。
山之内:言い換えれば、スペックの先の領域、つまり感性があるということですね。感情を持った人間が聴くわけですから、人間が感動しないといけませんよね。
秋元:JVCケンウッドがビクタースタジオを持っている強みはまさにそこにあります。ものづくりでは、ややもすればスペックや特性に注目して『こっちの部品のほうが電気特性がいい』みたいな部分だけで製品を作りがちになってしまいます。しかし、実際の音楽制作現場の機材はアナログのビンテージ機材だったりすることもあります。そんなビンテージ機材は15kHzから上が歪んでいて特性的には伸びていないんですが、実際に音を聴くとものすごく音楽的だったり温かみがあったりするんですよ。そういう現場のことを製品づくりに基準として取り込めているのが一番の強みですね。
■これからの時代のビクターらしさ
山之内:さて、ここに今回発表された新製品のうちのひとつである「HA-FW10000」があります。今までずっと我々が親しんできたビクター製品と、これから生まれてくる新しいビクター製品とに、共通して流れている思想的なものはなんなのでしょうか?
秋元:やはり原音探究ということですね。作っている音をユーザーに届けられるようにという想いです。
山之内:ビクターがどんな製品を出してくるのか非常に楽しみです。では、これからの時代のビクターらしさとはどうなっていくのでしょうか?
秋元:こだわりを持った製品であるということですね。アーティストやミュージシャンが作った音をそのまま届けるという点が根幹にありつつ、そればかりでなく、ユーザーの方の好みにあわせてバリエーションを持った多彩な製品が展開できるといいなと思います。
■来るべき自動運転時代も視野に?
山之内:音楽を楽しむ環境も幅広くなりました。家庭の中だけでなくどこにいても音楽を楽しめる時代です。そんな時代に、ビクターブランドとしてもそれぞれのスタイルにあわせた製品作りがされていくのでしょうね。
秋元:JVCケンウッドとしては車のなかでもそれをサポートできる点も大きな強みです。現代の住宅環境もあって大音量でオーディオを楽しめない方も多い状況ですが、そのなかで車は最高のオーディオルームと言えるかもしれません。
山之内:自動車環境もこれからさらに大きく変化していきますし、より静かになって音楽を楽しみやすくなりそうですね。
秋元:もっと先を見れば、自動運転になると音楽ももっとフォーカスされてくるのかなとも思います。
山之内:そうなると、JVCブランドでもケンウッドブランドでもカーオーディオには濃密なノウハウをもっていますよね。ビクターブランドとしても、ビクタースタジオを含めて音作りの豊かなノウハウがあります。これらを融合させて、車のなかでビクターブランドが活きてくることもあるのではないですか?
秋元:すばらしい質問をありがとうございます(笑)。これまであまりアピールしてきていませんが、ケンウッドのカーオーディオにも搭載されている独自のデジタル高音質化技術「K2テクノロジー」はビクタースタジオと当時の日本ビクターで共同開発したもので、まさにビクターを象徴する技術といえると思います。
山之内:となると仮定の話ではありますが、いずれはカーオーディオにもさらにビクターのスピリットが入ってきそうですね。
秋元:まだ具体的にお話できるものはありませんが、まさにその可能性はあると思います。
山之内:これまで築き上げてきたビクターブランドの歴史と、これから作り上げていく価値、付加価値がシームレスにつながっていくといいなと思います。期待しています。本日はありがとうございました。
(協力:JVCケンウッド)