「これまでで最も充実した内容のIFAだった」
AIにコネクテッド家電が花盛りを迎えた「IFA2018」 ー メッセ・ベルリン、ハイテッカー氏が語る手応え
■今年からIFAの展示が自動車にも広がった
2018年から、IFAは新たにオートモーティブのカテゴリーに出展分野の裾野を広げた。毎年春にスイス・ジュネーブで開かれるモーターショー「Salon International de l’Auto」と半年ずつ持ち回りで交互に開催することになった、コネクテッドカーをテーマとするイベント「Shift Automotive」のことだ。
ハイテッカー氏はイベントの位置付けについて、「オートモーティブを私たちのコネクテッドリビングの一部とした時に見えてくる、エレクトロニクスと自動車とのあるべき “コネクテッドな姿” を取り巻く最新事情を捉まえること」がテーマであると強調している。「ユーザーにとって新しい体験を、それぞれの業界が手を取って一緒に提案するという、これまでに誰もやったことのない挑戦なのです。」と、ハイテッカー氏は熱っぽく語っていた。
2018年が第1回目の開催となったShift Automotiveは、キーノートスピーチやパネルディスカッションが中心の催しとなった。ただ、IFAのメイン会場ではシーメンスがコネクテッドカー向けのサービスをコンセプトとして展示していたり、スタートアップが集まるIFA NEXTにもGerman Autolabsが後付けできる車載用AIアシスタントの「Chris」をお披露目してスポットライトを浴びていた。来年は日本からの出展も含めて、よりプロダクトやサービスの展示が増えることも期待できそうだ。
ところで、来年はIFAの姉妹イベントである「CE China」の開催が5月から9月に変更される。CE ChinaはIFAとアジア地域のブランドやスタートアップ、そしてトレードビジターをつなぐ架け橋的なイベントとしても、近年その存在感をますます高めている。開催のフレームワークが変更される理由について、ハイテッカー氏は「中国側のパートナーとディスカッションをして、彼らにとって中国市場に最もCE Chinaのインパクトが響くタイミングが9月であるということがわかったから」であると述べている。今年までの成長の流れを組んで、来年以降もどんなイベントに発展していくのか楽しみだ。
IFA2018には日本からも多くの来場者が訪れていた。ハイテッカー氏は「来年のIFAにもぜひ日本から多くの方々に足を運んで欲しい」と呼びかけている。
「日本の技術やサービスは、私たち海外の者にとって非常にユニークで革新的なものです。そして、コンシューマーの期待にしっかりと目を向けた洗練された内容に、私自身も毎年感心させられています。日本から出展されている皆様が成功を収めていることは、大勢の来場者で賑わうブースの熱気が証明しています。これからAIやIoTのテクノロジーが成長して行くエレクトロニクスの未来に日本がどんな提案をぶつけてくるのか、いま世界が大いに注目しています。ぜひ来年以降もIFAに出展、あるいはお越しいただいて、その期待値の高さを肌で感じていただきたいと思います。そして、もはや一つの企業だけでイノベーションを起こせるようなたやすい時代ではなく、皆が“コ・イノベーション=共創”によるチャンスを模索しています。市場全体がパートナーシップの重要性を説く中で、IFAを活用いただくことで最高のパートナーとの巡り会いとビジネスチャンスをつかんで下さい。」(ハイテッカー氏)
(山本 敦)