<山本敦のAV進化論 第174回>
「Xperia 1」は“感動”スマホ。ソニーの総力結集、最上位モデル開発者インタビュー
新機能の「瞳AF」もαシリーズの技術資産を活用したものだ。一般的な顔検出を行うだけでなく、その他にも様々な情報を取得して瞳を検出、フォーカスを合わせるというディープラーニングの技術を活かした高精度なアルゴリズムを搭載している。
そしてXperia 1による動画撮影は、映画製作の第一線で活躍するソニーの業務用CineAltaカメラの「Venice」をベンチマークとして、画づくりやインターフェースの作り込みを行ったという新機能「シネマプロ」に要注目だ。神奈川県の厚木事業所に本拠地を構える業務用映像機器とXperiaの開発チームが密に連携を取りあって、開発が佳境の時には週に1・2回は往来しながら画質向上を図ってきたという。
今回のインタビューでは、シネマプロはアプリとして切り出されてXperia 1に搭載されることも判明した。筆者はシネマプロをカメラアプリの中の1モードとして配置してしまうと見つけにくくなり、一般ユーザーの目に触れることが減りそうだと懸念していたので、独立アプリになると聞いて安堵した。
シネマプロには「Look(ルックアップテーブル)」と呼ぶ色相/画づくりのプリセットが用意されていて、好みのLookを設定すれば映画のようなムービーが誰でも気軽に撮れる。Xperia 1ではRAWで撮影する段階でルックアップテーブルを当てて、動画の出力まで一気に行う回路構成としている。RGBの配分を変更した8種類のLookをフィルターとして載せ、各名称は現時点でまだ確定していないが、シネマプロアプリの中でユーザーが簡単に切り替えて使えるようになるという。
シネマプロ撮影時の画質は4K/HDRに固定されており、フレームレートは24fpsと30fpsから選択できる。H.265/HEVCのフォーマットで記録されたファイルをXperiaのSDカードに保存して、USBタイプのSDカードリーダーに装着して、ブラビアなど4K/HDR対応のテレビで見られる。
シネマプロの中にある「Grab」機能は静止画キャプチャ。プロが撮影シーンの記録を残す際にメモ的に画面をキャプチャするワークフローに合わせて作った機能だという。撮影開始前のプレビューからのGrabは2K、撮影後の素材からのGrabは4Kの画質にそれぞれなる。動画撮影中のキャプチャには対応していない。
シネマプロの解説だけでも話が尽きなくなってしまうほど、Xperia 1のカメラは機能豊富だ。筆者としては言葉を尽くすよりも、実際に体験して写真や動画に反映される「Xperia 1クオリティ」を味わった感想を述べた方が今回はベターなようにも思うので、いずれまた日本での発売が決まった時点で実機を借りてレポートしたいと思う。
最後に都築氏は商品企画担当者の目線から、Xperia 1のものづくりにかける思いを次のように述べてくれた。
「いまやスマホを簡単に開発できる時代です。ソニーだからこそできるプレミアムな価値体験をわかっていただける方にXperia 1をお届けして、その方たちがインフルエンサーとなって広く一般の方に魅力を伝えていただけるようなコミュニケーションを目指したいと考えています」(都築氏)
筆者はこの都築氏のコメントは控えめすぎると思う。なぜなら4K/HDRの有機ELディスプレイに映し出される映像、ドルビーアトモスのサウンドの臨場感、カメラの高画質とシネマプロ撮影の “楽しさ” は、誰もがすぐに感動を味わえるほど高いレベルに到達していると思うからだ。筆者も今から発売が待ちきれない。
(山本 敦)