【特別企画】9ドライバー構成で5g未満の超軽量イヤホン
シンガポールの新生イヤホンブランド「Stealth Sonics」。驚きの軽さ、技術、安全性を本国トップが語る
■耳に着けていることを忘れてしまう「驚きの軽さ」
各製品のプロフィールについては当サイトのニュース記事で詳細を報じているので、ここでは概略を振り返るところまでにとどめておく。
同社のユニバーサルIEMは「安価で良いものを多くのユーザーに届けること」をスローガンにして開発に取り組んでいるという。そして、もうひとつ大切にしているコンセプトは、音楽を聴いているユーザーに、イヤモニの存在を意識させないほど快適な装着性を実現することにある。
彼らの思いはブランドの名前である「Stealth(ステルス)」という単語に込められている。日本語にすると「隠れる」「忍ぶ」という意味の言葉だが、Uシリーズのイヤモニを手に取ってみるとその理由がすぐにわかる。耳に装着したことを忘れてしまうほど、イヤモニ本体がとても軽いのだ。
片耳の本体質量はU2が約4.1gと一番軽いのだが、BAドライバー4基を搭載するU4も約4.5g、さらに1基のダイナミックと8基のBAドライバーを詰め込んだ合計9ドライバー構成のU9も約4.8gにとどめているというから驚きだ。ラジェスパル氏は「心地良い装着感を持続させるためには、片側で5g以下の質量を実現することが必須。長年の聴覚支援事業の経験値から得られた鉄則です」と説く。
この軽さを実現できた理由は、軽くて堅牢なハウジングを実現できたことにある。下地に高い強度を確保した樹脂を置き、表面に特殊なナノコーティング塗装をかけた。落下や引っかき傷への耐性を高めるためだという。同社はこの独自技術を「Stealth Composite Nano Coating」と名付けている。
軽さと同時に強度を確保した背景には、カスタムIEMのユーザーから、ケーブルをひっかけて高価なイヤモニを破損した、傷つけたという声が数多く寄せられたため、ステルスソニックスの製品については強度の面でユーザーに安心感を届けたいという強い思いがあったという。なお、ステルスソニックスではユニバーサル機だけでなく、ユーザーのオーダーメイドに合わせて生産するカスタムイヤーモニターのビジネスも展開している。
装着感を高めるためにシェルを軽くするだけでなく、約8年に渡る聴覚関連のビジネスで得たノウハウのうち、約9,000の耳型データを活用。多くの人の耳にフィットするハウジング形状を見つけ出し、ユニバーサルIEMに採用した。
イヤモニ内側の肌に触れる部分の素材が、さらっとしたシルキータッチの樹脂であるところがUシリーズの特徴で、筆者も長時間身に着けて試してみたところ、確かにほとんど負担に感じなかった。
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